説明
「さて!そろそろいいかしら?」
「……はい」
母親の言葉を聞いて、俺達は居間に移動した。
そして、ソファーに座って向かい合う。
「最初に、あなたの名前を教えてくれる?」
少し迷ったが正直に答えることにした。
「俺の名前は『大空大地』です。よろしくお願いします」
母親は笑顔でうなずいた。
「はい。じゃあ次はあなたのことについて教えてもらえるかしら?」
やはり、ここは素直に従うことにした。
「わかりました……」
それからしばらくの間、俺は自分のことを話し続けた。
「なるほどねぇ……。つまり、あなたはこの世界とは別の世界の人なのね?」
「はい」
皆は真剣に耳を傾けてくれていた。
俺は異世界から来たこと、魔王を倒すために旅をしていることなどを説明した。
「そうだったのか……」
父親は腕を組んで考え込んでいた。
「あの、信じてもらえるんですかね?」
不安になって尋ねると、母親は笑いながら言った。
「もちろんよ。だって、私達も同じだからね」
「えっ!?」
驚いている俺に構わず、母親は話を続けた。
「私達の本当の名前は『天野美雪』じゃないの。私は女神、メイは天使なのよ」
……俺はしばらく呆然としていたが、やがて我に返ると質問をした。
「えっと……、どうしてそんな姿なんですか?」
「それはね……」
母親の話によると、二人は元々人間だったが、ある出来事がきっかけで姿を変えられたらしい。そして、元の世界に戻れないことを知った二人は、この世界で生きていくことを決めたのだという。俺は黙って話を聞いていた。すると、母親が優しい声で語りかけてきた。
「私達がこうして生きていけるのは、全てあなたのおかげよ。ありがとう」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥から熱いものが込み上げてくるのを感じた。
「……グスッ!」
「あら?どうしたの?」
メイが心配そうな顔で見つめている。
「いえ、何でもないんですけど……。ただ、嬉しくて……」
「うふっ♪」
しばらく泣いていたが、なんとか落ち着きを取り戻すことができた。
「良かったわ。それで、これからどうするの?もし良ければここにいてもいいんだけど……」
俺は首を横に振った。
「いいえ、まだやるべきことがあるんで……」
「……そう。残念だけど仕方がないわよね……。それならせめて……」
母親がメイの方を見て微笑んだ。
「娘のことを守ってあげてちょうだいね」
「はいっ!」
俺は力強く返事をして立ち上がった。
「それじゃあ、そろそろ行きます」
俺は頭を下げると玄関に向かった。
「あっ!ちょっと待ってください!!」
外に出ようとしたところで呼び止められた。
「これを持って行って下さい」
「これは?」
渡されたものを見ると、銀色に輝く指輪だった。
「きっと役に立つはずですよ」
「ありがとうございます!それじゃあ、またいつか会いましょう!!」
俺は再び旅に出ることになった。振り返らずに歩き続ける。しばらくして、メイが追いかけて来た。
「大地さん!あの、これを!!」
差し出されたものは小さな箱だった。
「開けても?」
「はい!」
中には綺麗な装飾が施されたネックレスが入っていた。俺はそれを首にかけると、改めて礼を言った。
「ありがとう。大切に使わせてもらうよ」
「はい!大地さんも、どうかご無事で!!」
「ああ!」
そして、俺達は別れた。




