見知らぬ部屋
目が覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。
「ここは……?」
「あっ、やっと起きましたか」
声の主はメイだった。ベッドの横に座っているようだ。
「メイ……」
「おはようございます」
「……」
「気分はいかがですか?」
「……」
「もしかして、どこか痛むとかあります?」
「……」
沈黙が流れる。……気まずい空気に耐えられなくなった俺は、とりあえず質問することにした。
「なぁ、ここって……」
「あっ、そういえばまだ言ってませんでしたよね?」
「ああ。聞いてなかったよな?」
「実は私、大地さんの彼女なんです」
「ええっ!?」
……衝撃の事実に驚く俺に構わず、メイは話を続けた。
「それで、このお家は私たちの家なんですけど……」
「家?……でも、何も無いぞ?」
「あっ、それはですね……」
メイの指差す方向を見ると、壁の一部がガラス張りになっていた。その向こうには、見覚えのある景色が広がっている。
「あれ?……もしかしてこれって……」
「そうですよ。外の風景が見えるようにしてあるんです」
「マジかよ……」
しばらくすると、扉の向こうから足音が聞こえてきた。
「あっ、お母さんだ!」
「えっ?」
ガチャッ!……勢いよくドアが開かれる。
「あら、もう起きたのね」
現れたのはメイの母親らしい人物だった。
「えっと……」
「はじめまして。娘の母の『天野美雪』といいます」
「あ~、どうも……って!?」
「うふっ♪驚いたかしら?……実は私、人間じゃないのよ」
「ええっ!?」
「正確には、半分だけどね……」
驚きすぎて言葉が出てこなかった。
「そんなことより、早くご飯を食べてちょうだい。せっかく作ったのに冷めちゃうわよ」
「あっ、うん……」
促されるままテーブルにつくと、目の前に朝食が置かれた。
パンケーキとサラダとスープというシンプルなメニューだが、とても美味しそうだ……。
「いただきま~す!」
メイは元気いっぱいに手を合わせると、真っ先に食べ始めた。
「いっただっきまーす!!」
それを見た俺は慌てて手を合わせた。そして、恐る恐る口に運ぶ……。……うまい!!
「どうしたの?」
俺は感動していた。こんなにおいしい料理を食べたことが今まであっただろうか……。思わず涙ぐんでいると、母親が優しく微笑みかけてくれた。
「いえ……。こちらこそ、ごちそうさまでした」
食事を終えると、今度は父親がやってきた。
「おっ!……やっと目覚めたか!心配させやがって!!」
父親は豪快に笑うと、俺を抱きしめた。
「ちょっ、苦しいって!放せよ親父!」
「ハッハ!照れるなって!お前はオレの息子なんだからよぉ!」
俺は抵抗したが、父親は全く意に介していないようだった。
「お父さんったら、本当に大地さんのこと好きなんですよ」
……しばらくして、ようやく解放された。




