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ファンタジー転生記  作者: 林田力
記憶喪失と魔王討伐
35/40

ベッドの上

「おーい! こっちだ!」

「久しぶりぃ~!」

「元気だった?」

「うん、まぁね……」

「仕事はどうよ? 順調か?」

「う~ん……ボチボチかな」

久しぶりに会う仲間との会話は弾んだ。

「うん、そうだね。数え切れないほど、いっぱい、冗談言い合って、いっしょに笑ったりしてたなぁ。でも、あの時は、ほんとうに楽しかったよ」

「そうですね。わたしも楽しい思い出ばかり、思い浮かぶわ」

「ああ……」

「ねえ、また会えるよね?」

「もちろんさ。いつかまた必ず会おうぜ!」

「ええ、約束ですよ!」

「じゃあな、みんな! 達者で暮らせや!」

「バイバ~イ!!」

こうして、俺とメイの意識は現実世界へと戻っていった……。


……気がつくと俺たちはベッドの上にいた。ここは病院の一室らしい。

「あれっ!? なんでこんなところにいるんだろう!?」

「ふぇっ!?……あっ!! そっか! 私、事故に遭ってここに運ばれたんですよね!?」

「おっ、覚えてないのか?」

「はい……なんか頭がボーッとしていて、よくわかりません……」

「マジかよ……」

「はい……」

……まさか、夢オチってことはないだろうな? 俺は自分の頬をつねった。痛かった。これは現実なのか? それともまだ夢の中なのか? わからないが、とりあえず今は、目の前にある現実の世界を生きるしかないようだ。

「うぅ……頭がまだズキズキします……」

「それにしても、おまえの記憶喪失には驚いたぞ」

「本当に何もかも忘れちゃっていて……」

「気にするな。記憶なんてそのうち戻るさ」

「だと良いんですけど……」

「それより、これからのことだが……」

「はい?」

「まずは退院してからの話だよ」

「あっ、そういえば……」

「しばらく入院する必要があるみたいだから、そのつもりでいろよ」

「そうなんですか?……わかりました。ではお言葉に甘えて、もう少しだけ休ませてもらいますね」

「ああ、ゆっくり養生しろよ」

「はい。ところで、あなたのお名前は?」

「名前?……そんなもんねぇよ」

「えっ!?」

「だって俺、人間じゃないからさ」

「えええっ!?」

「実は悪魔なんだ」

「えええええええっ!?」

「まぁ、そういうことだからよろしく頼むわ」

「はいっ!?」

「俺の名前は『サタン』だ。ちなみに性別はない」

「ええええええっ!?」

「というわけで、しばらくの間、世話になるぜ!」

「ちょっ、ちょっと待ってください!……あなたは一体何者なんですか!?」

「だから言ったろ? 悪魔だってば!」

「えええっ!?」

「まぁ、細かいことは気にせず仲良くしようぜ!」

「ええっ!?」

「じゃあな!」

「ええっ!?」

こうして俺とメイの奇妙な共同生活が始まった……。


「はい、どうぞ」

「おおっ!サンキュー!」

「熱いうちに食べましょう♪」

「そうだな。いただきますっと……」

「いっただっきまーす♪」

……病院での一件以来、俺はずっとメイと一緒に暮らしている。彼女の両親も最初は戸惑っていたが、今ではすっかり慣れてくれたようで特に問題はなかった。むしろ歓迎されているくらいである。そして今日もまたいつものように二人で食卓を囲む……。

「美味いなコレ! メッチャうめぇじゃん!!」

「本当!? 嬉しいわ!たくさん作った甲斐があったわね!!」

「うんうん! マジで最高!!」

「えへっ?」

……彼女は料理が得意だった。毎日、朝昼晩と三食欠かすことなく作ってくれる。しかもどれも超が付くほど絶品なのだ。おかげで俺の生活水準は格段に向上したと言ってもいい。しかし、この俺が女の子の手料理を食べる日が来るとは……。人生は何が起こるかわかんないものだぜ……。

「ごちそうさまでした!!」

「はい、お粗末様でした」

「いや~!マジで幸せすぎるわ~!!」

「ふふっ、大げさだなぁ……」

「いやいや、ほんとに感謝してんだぜ?」

「えっ!?……そっ、そうなんですか?」

「うん。俺のために毎度ありがとね」

「いえ、好きでやってることなので……」

「でもさ、こんなに良くしてくれると申し訳ないというかなんと言うかさ……」

「いいんですよ! 気にしないで下さい!!」

「そうか?……じゃあ遠慮なく甘えることにするよ」

「はい!……ふふふっ」

「はははっ!」


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