サタン
次の日、僕はいつものように訓練場に向かうとすでにサタンが待っていた。
「おはよう! 昨日の続きを始めよう」
「はい!」
僕たちは向かい合うと構えを取った。
「いくぞ!」
先に仕掛けたのは僕だ。一気に間合いを詰めると拳を振り下ろした。しかしあっさり避けられてしまい逆にカウンターを食らってしまった。
「ぐあっ!」
僕は吹き飛ばされ地面に倒れた。
「次はこっちからいくよ」
彼はそう宣言すると攻撃してきた。
「くらえ、ダークネススラッシュ!」
黒い斬撃が次々と飛んできた。
「うおっ!?」
僕は慌てて避けると反撃に転じた。
「はぁー!」
僕は気合を入れると渾身の一撃を放った。
「甘い!」
だが簡単に受け止められてしまった。
「くそ!」
僕は焦りながらも必死に食らいついていった。それからしばらく攻防が続いた。だが僕は次第に押されていった。
「これで終わりだよ!」
彼は叫ぶと魔力を込めた剣を叩きつけてきた。僕はそれをまともに受けて倒れ込んだ。
「く……まだ……負けるわけには……いかない!」
僕はフラつきながら起き上がると再び攻撃を仕掛けた。
「しつこいな!」
彼はうんざりしたように呟いた。
「それはお互い様でしょう!」
僕は力の限り叫んだ。
「そうだな……そろそろ終わらせるか」
彼は剣を構えると振りかぶった。
「はああああああ!!!!」
僕はありったけの力を込めると迎え撃った。
「はああああ!!!!」
二人の力がぶつかり合った。その衝撃で辺りに突風が巻き起こった。
「うおぉぉ!」
「おあああ!」
二人は雄叫びを上げると最後の一滴まで絞り出そうとしていた。だがその時、突然何者かが乱入してきやがった。
「そこまでだ!! 二人とも武器を収めなさい!」
現れたのはベルゼブブだった。
「ベルゼブブ様!?」
サタンは驚いているようだ。無理もない、魔王の息子とはいえ所詮は子供なのだ。
「あなたがベルゼブブ様ですか、お初に御目にかかります」
僕は恭しく頭を下げた。
「ああ、よろしく頼むよ」
彼は鷹揚な態度で言うと僕の肩に手を置いた。
「さあ、もういいだろう。そろそろ帰ろうか」
「わかりました」僕は素直に従うことにした。
「待ってくれ! もう少しだけ戦わせてくれないか?」
サタンが食い下がった。
「ダメだ。これ以上は危険すぎる」
「そんなことないよ! 俺はまだやれる!」
「いい加減にしろ!!」
僕は怒鳴ると睨みつけた。
「ひっ!?」
サタンは怯えた表情を浮かべた。
「お前の気持ちもわかる。だが今は我慢してくれ」
ベルゼブブが優しく諭すとサタンは渋々といった感じで引き下がってくれた。
「それじゃあ失礼します」
僕はそう言うとその場を離れた。
「サタン君、君は強くなりたいのか?」
帰り道の途中、ベルゼブブは唐突に聞いてきた。
「はい、俺はもっと強くなって父上のような立派な魔王になりたいんです」
「そうか……」
彼は少し考えるような仕草をすると口を開いた。
「それなら私と一緒に来ないか?私が鍛えてあげよう」
「本当ですか!? ありがとうございます!!」
サタンは嬉しそうな顔で言った。
「よし! そうと決まれば早速出発しよう」




