ベルゼブブ
それからしばらくして敵を倒し終えた僕たちは休憩を取っていた。するとそこに一人の女性が現れた。
「あなたたち、ここで何をしているのですか?」
女性は厳しい口調で尋ねてきた。
「えっと……あの……その……すみません!」
僕は何も言えず謝ることしかできなかった。
「ここは危険ですのですぐに立ち去りなさい!」
「はい、すぐ出ていきます!」
僕は慌てて荷物をまとめるとその場を後にしようとした。だがその前に女性が近づいてきて首元に剣を突きつけられた。
「おい! 何してるんだ!」
男は女性に怒鳴りつけた。
「黙りなさい! この方は魔王様の御子息、ベルゼブブ様なのです!」
彼女は勝ち誇ったような顔で言うと男を睨み付けた。
「な、なんですと!?」
男は驚きの声を上げるとその場に膝まずいて頭を垂れた。
「そんなわけなので失礼します」
彼女はそう言い残し去っていった。
(なんだったんだろうか?)
僕は不思議に思いながらその後を追いかけた。それからさらに歩くと城が見えてきた。
「あれはまさか!」
僕は目を疑ったが間違いなかった。
「ああ、あれが俺の住んでいる城だよ」
男は平然と答えると門番に話しかけた。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさいませ、ベルゼブブ様」
門番は恭しく頭を下げると中へと通してくれた。
「こちらで少々お待ちください」
案内された部屋に入るとソファーに座るよう促されお茶が出された。
(なんか落ち着かない)
僕はそわそわしっぱなしだった。
「緊張しなくてもいいよ」
彼は苦笑しながら言った。
「ところで一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい、何でしょうか?」
「君は本当に人間族なのか?」
「違いますよ。僕は魔族の王、魔王の息子ですよ」
「そうなのか!? てっきりどこかの貴族の子だと思ってたぞ」
「まあ、見た目がこんな感じだから仕方ないと思いますけどね」
僕は自嘲気味に言うとため息をついた。
「でも、こうして会えたのも何かの縁だし仲良くしようぜ」
「ありがとうございます」
僕は礼を言って握手を交わした。
「そういえば自己紹介がまだでしたよね。僕はベルフェゴールと言います」
「俺はサタン。よろしく頼むよ」
「はい、これからよろしくお願いします」
僕は笑顔で答えた。
「それじゃあ早速だけど君の実力を見せてくれないか?」
「わかりました」
僕は立ち上がると軽くストレッチをして戦闘態勢に入った。そして目の前にいるブラックマンティスに向かって駆け出した。
「うおおおっ!!」
雄叫びを上げながら勢いよく飛びかかるとそのまま押し倒した。そして馬乗りになると何度も殴り続けた。やがて動かなくなったことを確認してから立ち上がった。
「どうやら合格みたいですね」
僕は振り返って言うと微笑んだ。
「凄いな!正直ここまでとは思ってなかった」
サタンさんはとても驚いた様子だった。
「ありがとうございます」
僕は照れ臭くて頬を掻いた。
「それでどうする? このまま続けるかい?」
「いえ、今日はこれくらいにしておきましょう」
「わかった。じゃあまた明日だね」
「はい」
僕は返事をすると家路についた。




