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ファンタジー転生記  作者: 林田力
悪魔への転生
30/40

ベルゼブブ

それからしばらくして敵を倒し終えた僕たちは休憩を取っていた。するとそこに一人の女性が現れた。

「あなたたち、ここで何をしているのですか?」

女性は厳しい口調で尋ねてきた。

「えっと……あの……その……すみません!」

僕は何も言えず謝ることしかできなかった。

「ここは危険ですのですぐに立ち去りなさい!」

「はい、すぐ出ていきます!」

僕は慌てて荷物をまとめるとその場を後にしようとした。だがその前に女性が近づいてきて首元に剣を突きつけられた。

「おい! 何してるんだ!」

男は女性に怒鳴りつけた。

「黙りなさい! この方は魔王様の御子息、ベルゼブブ様なのです!」

彼女は勝ち誇ったような顔で言うと男を睨み付けた。

「な、なんですと!?」

男は驚きの声を上げるとその場に膝まずいて頭を垂れた。

「そんなわけなので失礼します」

彼女はそう言い残し去っていった。

(なんだったんだろうか?)

僕は不思議に思いながらその後を追いかけた。それからさらに歩くと城が見えてきた。

「あれはまさか!」

僕は目を疑ったが間違いなかった。

「ああ、あれが俺の住んでいる城だよ」

男は平然と答えると門番に話しかけた。

「ただいま戻りました」

「お帰りなさいませ、ベルゼブブ様」

門番は恭しく頭を下げると中へと通してくれた。

「こちらで少々お待ちください」

案内された部屋に入るとソファーに座るよう促されお茶が出された。

(なんか落ち着かない)

僕はそわそわしっぱなしだった。

「緊張しなくてもいいよ」

彼は苦笑しながら言った。

「ところで一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「はい、何でしょうか?」

「君は本当に人間族なのか?」

「違いますよ。僕は魔族の王、魔王の息子ですよ」

「そうなのか!? てっきりどこかの貴族の子だと思ってたぞ」

「まあ、見た目がこんな感じだから仕方ないと思いますけどね」

僕は自嘲気味に言うとため息をついた。

「でも、こうして会えたのも何かの縁だし仲良くしようぜ」

「ありがとうございます」

僕は礼を言って握手を交わした。

「そういえば自己紹介がまだでしたよね。僕はベルフェゴールと言います」

「俺はサタン。よろしく頼むよ」

「はい、これからよろしくお願いします」

僕は笑顔で答えた。

「それじゃあ早速だけど君の実力を見せてくれないか?」

「わかりました」

僕は立ち上がると軽くストレッチをして戦闘態勢に入った。そして目の前にいるブラックマンティスに向かって駆け出した。

「うおおおっ!!」

雄叫びを上げながら勢いよく飛びかかるとそのまま押し倒した。そして馬乗りになると何度も殴り続けた。やがて動かなくなったことを確認してから立ち上がった。

「どうやら合格みたいですね」

僕は振り返って言うと微笑んだ。

「凄いな!正直ここまでとは思ってなかった」

サタンさんはとても驚いた様子だった。

「ありがとうございます」

僕は照れ臭くて頬を掻いた。

「それでどうする? このまま続けるかい?」

「いえ、今日はこれくらいにしておきましょう」

「わかった。じゃあまた明日だね」

「はい」

僕は返事をすると家路についた。


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