魔法を試す
「あっ! そう言えばまだ聞いてなかった!」
僕は慌てて教師の元へと向かった。そしてすぐに見つけ声をかける。
「あのすみません。実は聞きたい事があるんですが宜しいでしょうか?」
「はい。私で答えられる事であれば構いませんが」
「ありがとうございます。それではお尋ねしますが、この国には学校は無いんですよね?」
「ええ。ありません。ですがそれがどうかしましたか?」
「いえ、ちょっと確認しておきたかっただけです。ところでこの国には図書館はありますか?」
「はい。勿論ありますが、そちらの方にも行きますか?」
「はい是非お願いします」
という事で、僕と教師は一緒に移動する事になった。そして到着してから中に入るとそこはまさに別世界と言える場所であった。
「うわあ。これは凄いですね」
壁一面に大量の書物が並べられており、その数は優に千を超えていると思われる。
「えっと確かこの国の歴史書は……」
教師が棚から一冊の本を取り出した。
「こちらになります」
そして僕に渡してくれる。
「ありがとうございます」
お礼を言いながら受け取ると、早速中身を確認してみた。
「なるほど。確かにこの国の歴史は分かりやすいですね。それに文化についても詳しく書かれていますし。これなら理解しやすいと思います」
「それは良かったです。ちなみに他にも必要な物があれば遠慮なく仰って下さいね。可能な限り用意させて頂きますので」
「はい。その時はよろしくお願いします」
僕は再び本を読んでいく。すると今度は魔法について書かれているものを発見した。
「おっ。やっと見つけたぞ」
どうやらこの本によると、魔法の属性は主に火・水・風・土の四種類らしい。まぁ定番だよね。他には光と闇という珍しいものもあるみたいだけど、基本的にはこの四つが基本となるようだ。
「うーん。やっぱり魔法は使ってみたいなぁ。でも残念な事に魔法を使う為の方法については何も書いてないんだよなぁ。どうしよう……」
僕は悩んだ。だがここでふとある考えに至る。
「そうだ。こういう時は……鑑定さん出番ですよ」
『はい。承知致しました』
すると僕の目の前に半透明の画面が現れた。
「うーん。相変わらず便利な機能だね」
この機能は、ステータス画面に表示されているスキルの一つなのだ。ただし普通の人には見えないらしい。だから他人に見られる心配はないんだけど……
「だけどこんな能力があるなんて知られたら、絶対に変な目で見られるだろうなぁ」
だって普通じゃないもんね。だって他人の心の声まで聞こえるんだぜ? そんなの絶対おかしいでしょ?
『マスター』
「うん? 何だい?」
『もしよろしければ、私が代わりに調べましょうか?』
「ああ、そういう事か。じゃあお願いするよ」
『かしこまりました』
すると次の瞬間、頭の中に様々な情報が流れ込んで来た。
「おおう。なにこれ。まるで洪水だよ」
あまりにも大量だったので思わず目を閉じてしまう。やがて暫くすると落ち着いたのでゆっくりと瞼を開く。
「ふうっ。なんとか耐えられたかな」
正直かなりキツかったけどね。
「それで結果は出たかい?」
『はい。ご報告いたします。最初に申し上げますと、現時点では私でも魔法を使用する事は出来ません。ですがマスターならば可能だと思われます。但しその場合、膨大な魔力を消費する事になるでしょう。またそれに伴い体力も消耗するかと存じます。それでも宜しいでしょうか?』
「そうか……。まぁ仕方がないかな」
そもそも僕が使えるかどうかも分からないのだ。だったら最初から諦めるよりやって駄目だった方がマシである。
「分かった。それじゃあ頼む」
『了解致しました』
僕は意識を集中させた。
「さてさて、一体どんな感じになるのかね?」
ワクワクしながら待っていると、突然体の中から何かが抜けていくような感覚に襲われた。
「なっ!?? なんだこれは?」
慌てて自分の手を見る。
「うわっ! なんだこれ!」
そこには真っ赤に染まった手が見えた。
「もしかしてこれが血なのか?」




