本を読む
「あの、これは一体どういう事でしょう?」
「はい。実は我が国には学校が無いのです。なので貴方にはしばらくの間ここで勉強をして頂こうと思いまして」
……えぇ!? ちょっと待ってくれ。それじゃあ僕はしばらくここから出られないって事になるんじゃないのか?
「ああご安心ください。授業は全て私が行いますので。それに毎日とは言いませんが週に2~3回程度なら外出も出来ますよ」
なるほど。要するに家庭教師みたいなものなのか。確かにそれならば問題無いかもしれない。
「分かりました。それではよろしくお願い致します」
「はい。お任せ下さい」
こうして僕の異世界生活が始まったのであった。それから数日後。僕は教師から出された課題を終わらせた。と言ってもほとんど教師が教えてくれたのだが……。ちなみにその課題というのは、この国の歴史や文化についてだ。
そして今僕がいる場所は、先日案内された書庫である。ここは王族と一部の貴族しか入る事が出来ないらしい。しかし、そんな場所へ何故僕が入れるかというと……それは教師が特別に許可してくれたからだ。なんでも僕に興味を持っているらしくて、色々と質問したい事があるそうだ。まぁこちらとしても特に断る理由も無いしね。という訳で今は教師が指定した本を読んでいる最中なのだ。
「ふむ。どうやらこの本はこの世界の成り立ちについてのようだな」
そこには神様と呼ばれる存在が登場していた。そして様々な世界を創り出したと書かれている。
「なるほど。そういう設定か……」
僕は思わずそう呟いた。だってそうだろう。いきなり魔法とか魔物が存在するなんて言われたら普通は信じられないだろうけど、実際にあるんだもんなぁ。その後、僕は更に読み進めた。すると今度は魔王が登場する。彼は世界を闇へと変えようとしたらしい。だがそれを神によって止められてしまったのだ。
「うーん。なんとも都合の良い展開だなぁ」
だけど物語としては面白いと思う。何より絵があるというのが素晴らしい。挿絵付き小説といったところだろうか。その後も僕は次々とページを進めた。そして最後の方まで来た時、僕は違和感を覚えた。何故かと言うとその本の内容が途中から変わっていったからである。
「あれ? なんだろう。急に変わったような気がするんだけど……気のせいかな?」
不思議に思いながらも僕は最後まで読んだ。するとそこに書かれていた内容は驚くべきものだった。勇者と呼ばれる者が現われ、魔王を倒したという内容だったのだ。しかも倒した後に仲間達と共に新たなる大陸を作りそこで暮らし始めたのだという。
「おいおい。まさかこれが実話だとでも言うつもりじゃないよね?」
さすがにこんな内容を信じろと言われても無理だと思う。だけど現実として目の前にあるんだよねぇ。
「とりあえず続きを読むしかないか」
そう思った僕は次のページを開いた。するとそこにはまた別の話が書いてあった。それによると勇者達は元の世界に帰る方法を探したが結局見つからなかったようである。それで仕方なく自分達の国を作ったのだそうだ。
「なんだか凄いなぁ」
正直言ってここまで来るともう笑うしかなかった。まぁこういう話は嫌いではないけどね。ただ少し疑問なのは、どうしてわざわざ新しい大陸を作ってしまったのかという点だ。
「もしかしたら何か理由があったりするのかな?」
例えば海を渡る為に必要な船を作る技術が無かったとか……。あるいは単純に面倒くさかっただけかもしれない。
「まぁ考えても仕方ないか」
それよりも他にどんな本が置いてあるのかの方が興味はある。なので僕は他の本を読み始める事にした。それから数時間後。僕はようやく全ての本を読破する事に成功した。
「ふうっ。なかなか面白かったなぁ」
おかげで結構満足出来たよ。これで後は帰る方法が見つかれば良いんだけど……。




