実戦訓練
「さあ、早速だがお前達にやってもらいたいことがある。まずはそこの奴と戦ってくれ」
そう言って王様が指差したのは、先程からこちらを睨みつけている男であった。
「おい!俺はこんなガキどもと手合わせする気なんてねえぞ!」
「黙れ!これは命令だ!いいからやらんかい!」
「ちっ!わかったよ!やりゃあいいんだろうが!」
「よし、それでは両者位置に付け。ルールはどちらかが戦闘不能になるまで戦い続けるのだ。そして相手を殺めた場合は即刻死刑とする。以上だ。何か質問はあるか?」
「いえ、特にありません」
「ねぇよ」
「では、はじめ!!」
「ウオォー!!!」
「オラァッ!!死ねやぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」
男が叫びながら突っ込んでくる。しかし、遅い。遅すぎる。
「身体強化」
俺は素早く男の懐に入り、腹パンを食らわせた。「グハッ!?」
男は勢いよく吹っ飛び、壁に激突した。
「勝負あり!勝者、斉藤 零」
「オオオーーーーーーーーー!!!」
……え?終わりなの?なんか呆気なかったんだけど……。
「次は俺とやらせろ」
今度は大柄な男が話しかけてきた。
「おう!かかってこい」
「では、はじめ!」
「ウォラアアー!!!」
おお!結構早いな。でも、まだまだ俺には及ばないけどね。
「ぐはああああっ」
俺の拳が見事に鳩尾に入ったようだ。これで決まりか?と思ったら、
「くそがああああ!!!」
「は?嘘でしょ?」
「「「オオオッ!!!」」」
なんと立ち上がった。しかも、あれだけのダメージで。……もしかするとこいつらって意外に強いのか? その後も次々と兵士が挑んできた。全員一撃で沈めていったのだが、全員が立ち上がる。流石におかしいと思い王様の方を見ると……ニヤリと笑っていた。……まさか!
「王様!今すぐ止めさせてください!」
「何故じゃ?」
「もしかしたらこの人達はわざと負けてるかもしれません。だからもう十分です。これ以上やる必要は……」
「何を言っておる。そんなことをして何になると言うのだ。それに、もしそうだとしても止める理由にはならぬ。このまま続けさせるがよい。のう、皆のもの?」
「「オオウッ!!!」」
「……わかりました。でも、次が最後ですよ」
「わかっておるわい。さて、最後の相手じゃ。準備せよ」
「チッ!わあったよ!」…………数分後……
「用意はいいかの?」
「いつでも来いや!」
「では、はじめ!」
そこから先は一方的な展開だった。相手への攻撃は全て見切られ、カウンターを叩き込まれる。相手が疲れたところにさらに追い討ちをかけるように攻撃を繰り出す。そして、ついに……
「ハアッ……ハアッ……ま……参りまし……た」
「うむ、それまで!」
……こうして俺達の初めての実戦訓練が終わった。
「お主の実力はよくわかった。これからお主を兵士として鍛えていくことにする。よいな?」
「はい」
「それと、今日からお主にはこの城に住んでもらうことになる。部屋は既に手配してあるのでの。ついてまいれ」
そう言われ、案内された部屋にはベッドが二つ置いてあった。
「あの、これは一体どういうことですか?」
「それはのう、わしからのささやかなプレゼントというわけじゃ。遠慮なく使うといい。ではな」
「ちょっと待てよ!こんな豪華なもの貰えないぞ!」
「うむ、ならばこうしよう。その家具はお前達への先行投資ということにしておいてはくれんか?いずれ返してくれればそれで良いから」
「そういうことでしたら」
こうして俺は王様から豪華過ぎる部屋を与えられた。




