盗賊団
「うん。……しかも、それだけじゃなくて、街の近くにいる盗賊団の活動範囲が広がっているらしくてね」
「盗賊団の?」
「ああ。……なんでも、奴らは森の奥の方まで入ってくるらしいのだ」
「……そうなのですか?」
「そうだ。……おかげで、この辺りで取れる薬草なんかもほとんど採れなくなってしまった」
……な、なんてことだ。……まさかそんなことになっていただなんて知らなかった。
「……ちなみに、その盗賊団というのはどんな連中だったのでしょうか?」
「……それがよく分からないんだ」
「どういうことなんですか?」
「実はね―――」
……それから俺は領主さんの話を聞くことになったのである。……領主さんの話を簡単にまとめると、こういうことであった。ここ数日の間に、この街の近くの森で怪しい集団を見たという目撃情報が相次いでおり、調査に向かった兵士の報告によると、そこには数十人の武装した男たちがいたそうだ。
「……そいつらが盗賊なのかは分からなかったけど、少なくとも普通の人間ではないことは確かだと思う」
「なるほど。……ちなみに、他に何か分かったことはないのですか?」
「そうだなぁ。……あとは、彼らが何かを探しているような素振りを見せていたということぐらいかな」
「何かを探していた?」
「ああ。……その何かが何だったのかまでは分かっていないんだけどね」
一体何を探していたというんだろう?……もしかして、何か重要な物だったりするのだろうか?
「……あの、一つ聞いても良いですか?」
アリシアが手を挙げる。
「はい。何でも聞いてください」
「ありがとうございます。……えっと、さっきから気になっていたのですが、何故彼らは森の中に入っていったのでしょうか?」
「それは私にも分かりません。……ただ、兵士たちが追いかけていったところ、奥にある洞窟の中に入っていったようです」
……なるほど。……つまり、そこに彼らの目的があったってわけか。……うーん。ますます謎が深まった気がする。
「とりあえず、これ以上ここで話を聞いていても仕方ないでしょうから、一度戻りましょう」
シャーロットが提案してきた。
「それもそうだな。……よし、戻るとするか」
私達は領主さんにお礼を言ってその場を後にすることにした。その後は特に何も起こることはなく無事に村へと戻ってくることが出来た。
「ふう。やっと戻ってこれたか」
「そうね。……それにしても疲れちゃったわ」
アリシアがぐったりとした様子で言う。
「はは。……まあ、あんなことがあったからな」
「ええ……。……でも、本当にカイトがいてくれて助かったわ」
「そうか?」
「そうよ。だって、私一人だけだったら、きっとどうすることも出来なかったもの」
「まあ、そうかもしれないな」
「ふふっ。……ねえ、カイト」
「ん?なんだ?」
「ありがとうね」
そう言う彼女の顔には笑顔が浮かんでいて、とても綺麗に見えた。……そんな彼女を見て、不覚ながらドキッとしてしまって、思わず目を逸らしてしまう。
「お、おう……」
「あら?照れてるの?可愛いところもあるじゃない」
「う、うるさい!……それより、早く村長の家に戻るぞ!」
「はいはい。分かってますよー」
私達は家に帰ることにしたのだが、私達が見た光景はとんでもないものであった。
「これはひどいな」
目の前に広がる光景を見て、私は呟く。隣にいたアリシアも同意するように口を開いた。
「そうね。……それに、あちこちに怪我人がいるみたい」
「ああ。……それに、どうやら食料もほとんど残されていないようだな。……おそらくは盗賊団の仕業だろう」
視線の先には、傷だらけで倒れている村人の姿があり、中には息絶えている者も何人かいた。
「なんて酷いことを!」
アリシアはその姿を見て怒りの声を上げる。
「同感だな」
正直、こんなこと許されるはずがない。
「とにかく今は村の人達を助けることが先決ね」
「ああ。……そうだな」
私達は村中を歩き回って、倒れている人たちの治療をしていった。
「……これで全員か?」
「ええ。……多分、そうなんじゃないかと思うわ」
「そうか。……じゃあ、次は村の外にいる奴らの治療だな」
「ええ。急ぎましょう」
私達は外に向かって走り出した。ようやく私達は倒れた人の治療を終えた。
「それで、これからどうするつもり?」
アリシアの問いに対して、少し考えてから答える。
「そうだなぁ。まずは盗賊団について調べる必要があるな。……もし盗賊団の居場所を突き止められたなら、そいつらを潰してしまえばいい」
「な、なるほど。……確かにその通りよね」
「とはいえ、盗賊団がどこにいるのかなんて分かるのかしら?」
「それは分からないけど、少なくとも盗賊のアジトみたいなものがあるはずだ。……そこを調べてみればいい」
「でも、そんな場所があるかどうかも分からないのにどうやって探すつもりなのかしら?」
「……それにしても、一体何があったのかしら?」
アリシアが呟くように言った。この村を襲ったのは盗賊団だけではなかった。
「さあな。……ただ、これだけの人数が襲われたんだ。……ただ事じゃないことは確かだと思う」
「……ええ」
アリシアも私の言葉に納得する。
「それよりも問題は、誰が襲ってきたかってことだろ」
「そうね。……でも、それが分かれば対策が打てるんじゃない?」




