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旅立ち

「今日もお客さんがいっぱいだったなぁ」

「そうだな」

「なあ」

「何だ?」

「お前ってさ、将来はどんな仕事をしたいとかあるのか?」

「うーむ、今のところは特に無いな」

「そっか」

「そういうお前はどうなんだ?」

「正直、まだ全然分からないんだよな。ただ漠然とした思いはあるんだがな?」

「ほう、それは一体どういうものなのだ?」

「いつかは冒険者になって世界中を旅してみたいなと思っているんだ」

「なるほどな……」

「だからその前に、まずはこの国を出て色々な場所を見て回りたいと思ってさ」

「そうか」

「おう!」

……まあ、それがいつになるかはまだ分からないけどさ。

「よし! そうと決まれぱ明日は早速出発だ!!」

「おお!」

というわけで翌日になり、私達は再び旅立った。


「そういえば、今回はどこに向かう予定なんですか?」

「うむ、実は王都から東にある街に向かっているのだが、その道中で盗賊が出るらしいのだ」

「盗賊ですか……」

「ああ。しかもかなりの大所帯らしく、かなり危険だと聞いたことがあるから気を引き締めていくぞ」

「分かりました」

「それともう一つ、今回向かう場所には有名な温泉があると聞く。よって、できればそこに寄りながら行きたいと考えている」

「へぇ~。そんなものがあるんですね」

「ああ。なんでも疲れた体を癒すのには最適の場所と噂されているようだ」

「そうなんですか」

「うむ」


それからしばらく馬車を走らせると、やがて前方に大きな門が見えてきた。

「あれが目的地の街みたいですね」

「うむ」

「それじゃあ、俺は先に宿を取ってきますので皆さんは少しだけ待っていて下さい」

「分かった」

私は一人、この街で一番の高級宿屋へとやってきた。

「すみません。部屋を取りに来たのですが」

「はいよ」

「えっと、二人一部屋のスイートルームを二つお願いできますか?」

「あいよ。じゃあお兄さんの方は銀貨2枚ね」

「えっ!?」

「ん? どうかしたかい?」

「いや、あの、えっと、……はいこれ」

「はい、確かに。それじゃあこれが鍵だよ。無くさないように注意して持っていてくれよ」

「わっ、分かりました。ありがとうございます」

私は慌ててお金を支払うと、そのまま逃げるようにしてその場を離れた。

「ふうっ、危なかったぜ」

しかし、あの受付のお姉さんめ。

「絶対わざと間違えやがったな?」

まあでも、結果的には安く済んで良かったし別にいいかな?


私は、急いで皆の元へと向かった。

「お待たせしました。それで、今晩泊まる場所は取れたんですか?」

「ん?……いや、残念だが見つからなかった」

「あらら……」

「なので悪いが今日は野営するしかない」

「えっ? マジですか?」

「うむ」

「うわぁ……」

……まあでも、仕方ないか。


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