自室
私は自室で一人寛いでいるところなのだが、正直言って落ち着かない。何故なら、これからすぐにパーティーの準備を始めなければならないからだ。
「ふう……」
まあ、準備といってもそれほど大変なものではないから、そこまで時間はかからないと思うけどね。それよりも今は、この格好をどうにかしないとな。いくらなんでもこのままじゃあ動きにくいし、何よりも目立ちすぎる。……よしっ! そうと決まれば早速着替えるとするか。そう思った俺はクローゼットの中から衣装を取り出して身に纏った。
「うーん、やっぱりこれだよな」
そう呟きながら姿見の前に立った私は、改めて今の自分の姿を確認した後、軽くポーズを決めてみたりした。
「うむ、なかなか似合っているではないか」
……自分で言うのもどうかとは思うが、我ながら中々カッコよく仕上がっているんじゃないかと思ったりする。
「それにしても……」
鏡の中の自分を見つめつつ思わず苦笑を浮かべてしまう。なぜならば、そこにはどこからどう見ても女の子にしか見えない自分が映っていたからである。
「まさかこんなことになるなんてなぁ……」
一国の王からの招待を受けた挙句に女装までさせられる羽目になるとは思いもしなかった。
「ははっ」
……でもまあいいか。こうやって人生初の経験ができるというのは悪いことじゃないはずだもんな。……そうだろ?
「ふぅ」
いつまでも呆けていても仕方がないな。そろそろ時間も迫っていることだしさっさと行動に移すとしよう。それからしばらくして、ようやく身支度を整え終えた私は、メイド達に見送られながら城へと向かった。そして、そのまま謁見の間へと向かうと、既にアルス達が待っていた。
「やあ、来たようだな」
「はい、遅くなって申し訳ありません」「いや、構わん。まだ約束の時間前だからな」
「そうですか。それは良かったです」
「うむ。ところで、今日は随分と可愛らしい恰好をしているのだな?」
「えっ?」
アルスの言葉に慌てて自分の服装を確認してみると、いつの間にかフリル付きの白いドレスに身を包んでいた。
「……うわぁ」
マジかよ。
無意識のうちに女装していたのかよ?……っていうか、本当に女になりつつあるんじゃないのか!?
「……あの、これはですね……そのぉ~」
「くっくっく」
「ははははははははは」
「?」
「いやすまんすまん。別にお前のことを馬鹿にしているわけじゃないんだ。ただ、あまりにも可憐なものだからつい見惚れてしまっただけなんだぞ」
「……はぁ」
「うむ。それでだな、実はお前に頼みがあるんだが」
「はい、なんでしょうか?」
「うむ。実はな、今日のパーティーはリリアナも出席することになっているのだが、どうにも人前に出すには不安が残る状態でな……」
「なるほど、つまりは私にその代役を務めてほしいということですね?」
「そういうことだ」
「分かりました。その役目、謹んでお受けいたします」
「そうか、感謝する」
しばらく雑談を交わした後で私達は会場へと移動した。




