第1章 第7話
今日の授業も終わり、帰りのHRがはじまろうとしていた。ついにこの時が来てしまった。
班決めだ。
今まで小、中と学校へ通って来たが、班決めというのに慣れることはなかった。いつも悠矢が俺を班に入れてくれていた。悠矢とクラスが違うときはいつも1人だったなぁ。俺が思い出に浸っていると、担任が入ってくる。うん、いつもの地味な眼鏡だ。
「朝も言ったと思うが、林間学校の班決めをするぞ〜」
俺に心の中でdisられた担任は、特に気にする様子もなく話を進める。まぁ気にするはずないよね?声に出してないし。
「好きなやつと4人組で班を組め〜」
これだ。俺を苦しめる魔法の呪文。これだけで俺のHPは80%削られる。そして、この後取り残された俺は、「誰か引き取ってやれよ」というクラスの悪意の視線に晒されることになる。これによって俺の、残りHPは削りきられる。目の前がまっくらになるのだ。それだけは回避しなければ。
「葵ちゃん、同じ班になろ〜 」
「じゃあ私もそのはーん☆」
「え〜ずるい私もぉ〜」
「私だって水原さんと同じ班がいい〜」
さすがの水原、大人気である。一方俺はというと、
「悠矢〜頼むよ〜」
と情けない声を出していた。ちなみに悠矢は、
「月島く〜ん、私もと同じ班になってよ」
「はぁ?アンタが月島くんと同じ班?無理無理なるのは私よ」
「月島くん〜おねが〜い♪」
うざい奴らに囲まれていた。さすがにこちらも人気である。別に羨ましいとか少ししか思ってないから。少ししか!
「すまない。先約があるんだ」
そう言うと、悠矢は如月の元へ行った。うっわ、コイツ彼女いんのにサイテー。お〜いここで堂々と浮気しようとしてるやつがいるぞ〜。するとそこに水原もやって来た。
うっわ、リア充編成かよ。こん中に入れられる奴の気がしれねぇ。いや、でも人気どころ3人が同じ班ってことはそこに入れたら全員と話せるってことじゃん!まぁ俺は興味ないけど。水原にはずっと口撃されるし、悠矢の有難い(笑)話も聞きたくない。如月は可愛いけど2人きりになったらいつあの「いもラブ」マシンガンが暴走することか……
というわけでこの班は絶対嫌だ。俺がこんなことを考えたのがいけなかったのかもしれない。ふと悠矢達の方を見ると、怖〜い笑顔を貼り付けた水原さんが私に手招きをしていた。
読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!