第1章 第4話
次の日、俺はいつもより早く可愛い妹に起こされる。今日からは学校に遅刻する訳にはいかない。俺のラノベが掛かっている。俺は朝ごはんを作るべく、台所へ向かう。1人では広すぎる台所だ。俺は棚からフライパンを出して油を入れ、火にかける。おい。今誰か料理できるんだ意外〜。とか思っただろ?俺は昔から親が離婚してて父親しかいなかったから、家事はそこら辺の女子よりも出来るつもりだ。将来有望な主夫である。
「LINEだよ!おにーちゃん♪」
そんなことを考えていると可愛い妹がLINEの通知を教えてくれる。というかこれ学校で流れたら人生詰むな。あっLINEしてくれる友達なんていないんだった☆
そして、俺は誰からのLINEなのか通知を見る。水原からだ。なんだろう…嫌な予感しかしない。俺は恐る恐るメッセージを見る。どうやら今日林間学校の班決めをするらしい。だから必ず学校へ来いという内容だった。思ったよりも普通だった。嫌な予感しかしないとか言ってごめんなさい☆てかLINE来てたの4時って。アイツこんなに早く起きてなにしてんだよ。しかもなんだよこのゴリラが親指立ててグッドしてるアイコン腹立つな。とりあえず返信しておこう。
「了解。っと」
ピーピー
おっと、フライパンを温めていたのを忘れていた。よし、目玉焼きを作ろう。俺は卵を冷蔵庫からだし、フライパンの上で割る。俺は目玉焼きの黄身が固すぎるのは苦手なので時間をしっかり考えなくてはならない。
「LINEだよ!おに〜ちゃん♪」
そうするとまた通知音がなる。ふと見ると水原からだった。
目玉焼きなんて作ってないで早く学校へ来たらどうかな?
!?おいおいなんで俺が今やってることが分かるんだよ!ほんとこえーよ。そのゴリラのアイコンが怖さを強調してるよ。この家に隠しカメラでもあんのか!?そして俺はLINEを送る。
なんで俺が今やってる事分かるんだよ!
「LINEだよ!おに〜ちゃん♪」
君の考えてることなんておみとうしだよ。顔にでてるからね
今顔見えてねぇじゃねぇか!ほんとに隠しカメラあるんじゃねぇーの!?怖いんだけど、超怖いんだけど!てかなんか焦げ臭いんだが。あ。
「目玉焼き焦げてるじゃねぇかぁー!」
今日もあの女には苦しめられそうだ。
この後、真っ黒に染まった目玉焼きを食べたこと以外には特に問題がなく学校へ向かった。
学校へ着き、靴箱に靴を入れ教室へ向かう。俺のクラスは1年C組だ。まだ1年生なので教室は靴箱からすぐ近くにある。俺が教室へ向かおうとすると後ろから声がした。
「ハァハァ…葛島!お前どこか調子でも悪いのか!?保険室くるか!?大丈夫か!?」
そこには息切れしている沢城先生の姿があった。
「俺がそんな調子悪そうに見えますか?」
もし、俺の調子が悪そうに見えるのならそれはきっと朝の目玉焼きのせいだろう。あれを食べるのに精神を削ったものだ。
「いや、学校へ遅刻せずしかもこんな早い時間に来ていたのでな頭でも打ったのかと思って。本当に大丈夫か?」
こんの野郎!あんまり舐めてるとその乳揉むぞコラ!俺が早く学校に来ちゃ悪いか!確かに珍しいことは認めるけど。そんなに心配するならいつももっと心配してくれよ。
「たった今気分を害しましたが、大丈夫ですよ」
「大丈夫ならいいんだが。なぜ気分を害した?こんなに美人で巨乳の女教師に心配されたのにか?」
自己評価高すぎだろ。
「美人で巨乳の女教師ね。はいはい。中身も美人だったら気分を害さずに済んだんですけどね」
すると俺は腹部に強烈な痛みを感じる。
「私って中身まで美人だよな?」
コイツ生徒に手を上げやがった!しかも笑顔が怖い。だが俺は理不尽な暴力に屈したりはしない。
「はい。美人です。はぁ〜僕は幸せ者だなぁ〜」
俺は精一杯感情を込めてその言葉を発した。
「なんでそんなに棒読みなのか気になるが分かればいいんだ。分かれば。じゃあな」
と沢城先生は片手を軽くあげて、保健室の方へと歩いていく。というか…
え?俺棒読みだった?本気で感情を込めたのに。俺はどうやら演技が下手くそらしい。そういえば小学校の頃に劇の主人公がやりたくてオーディションを受けたら、先生に
「君は演技が上手すぎてみんながついていけなくなるから主人公はやめよっか……」
と言われた記憶がある。あれ優しさだったのか。当時の俺純粋すぎだろ。っとこんなことを考えている場合じゃない。そろそろ教室に行かなければ。そうして俺は教室へ向かった。
俺が教室に着くと、ちょうどチャイムが鳴った。このチャイムまでに教室に居なければ遅刻判定となる。要するにめっちゃ危なかったということだ。クラスメイトたちがぞろぞろと席に着き始める。水原を囲んでいる女子達も席に着き始める。そうすると今まで囲まれていた水原が見えるようになる。すると水原と目が合った。俺と目が合ったコイツは何をしたと思う?
「チッ」
舌打ちしやがったのである。おい。どんだけラノベ燃やしたいんだよ。それともあれか?俺と目が合ったから嫌だったのか?どちらにせよコイツは性格が本当に悪い。誰だコイツが美少女とか言ったやつ。綺麗なのは見た目だけだ。沢城先生にしろコイツにしろ本当に残念である。如月をもっと見習え。そんなことを考えていると、担任が入ってきた。
「じゃあHRを始めるぞー。今日は林間学校の班決めと実行委員決めだ。じゃあ実行委員から決めるぞー。やりたい奴、手を挙げろー」
水原が考えた「今を楽しむ方法」その1つ目が、俺が林間学校を楽しむことだ。その為に実行委員にならなければならない。というわけで俺は手を挙げた。
「おっ。葛島か珍しいな。じゃあ男子は葛島でいいな」
珍しいって…ほんとに俺がこうゆう事するのって珍しんだな。まだ高校入ってから3ヶ月しか経ってないはずなんだが…そんなにいつもやる気ない感じだったか?
「じゃあ女子は誰がやる?」
すると女子がざわざわし始める。そんなに俺とやるのが嫌かよ。まぁ分かっていた事ではある。だとしてもとても傷ついた。まぁ水原が手を挙げてくれるんだけど。だがその瞬間俺は、いや手を挙げようとしていた水原でさえも驚いた。予想外のことが起きたからである。俺達の視線の先には手を挙げている如月の姿があった。
「じゃあ女子は如月でいいな。じゃあ次は班決めだな」
キーンコーンカーンコーン
そこでHR終わりのチャイムが鳴る。
「おっと、では班決めは帰りのHRでやるぞー」
先生がそう言って、朝のHRはお開きとなった。
読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!