「……消すよ」
この物語はフィクションです。
プルルルルッ
「もしもし」
「……」
夜中に電話がかかってきた。真っ暗な部屋で寝ている僕は、起き上がって、少し歩いて机の上にあるスマホをとり、「もしもし」と言うが、相手からの応答がない。
「もしもし、もしもし!」
応答は、ない。
「……消すよ」
何秒経っただろうか。その言葉が聞こえ、通話は切られた。
僕はそのことをあまり不思議に思わず、眠りについた。
**********
プルルルルッ
「もしもし」
「……」
夜中に電話がかかってきた。真っ暗な部屋で寝ている僕は、起き上がって、少し歩いて机の上にあるスマホをとり、「もしもし」と言うが、相手からの応答がない。
「もしもし、もしもし!」
応答は、ない。
「……消すよ」
何秒経っただろうか。その言葉が聞こえ、通話は切られた。
僕はそのことをあまり不思議に思わず、眠りについた。
**********
プルルルルッ
夜中に電話がかかってきた。真っ暗な部屋で寝ている僕は起き上がり、机の上にあるスマホをとるために少し歩く。
「おっと」
床に、少しつまずいてしまった。少しつまずいただけだったので、痛みは感じなかった。
「もしもし」
「……」
スマホをとり、「もしもし」と言うが相手からの応答がない。
「もしもし、もしもし!」
応答は、ない。
「……消すよ」
何秒経っただろうか。その言葉が聞こえ、通話は切られた。
僕はそのことをあまり不思議に思わず、眠りについた。
**********
プルルルルッ
夜中に電話がかかってきた。真っ暗な部屋で寝ている僕は起き上がり机の上にあるスマホをとるために少し歩こうとする。
「……?」
しかし、疲れているからか、立ち上がることができない。仕方ないので手で泳ぐようにして動く。
「もしもし」
「……」
そして、スマホをとり、「もしもし」と言うが、相手からの応答がない。
「もしもし、もしもし!」
応答は、ない。
「……消すよ」
何秒経っただろうか。その言葉が聞こえ、通話は切られた。
僕はそのことをあまり不思議に思わず、眠りについた。
**********
プルルルルッ
夜中に電話がかかってきた。真っ暗な部屋で寝ている僕は起き上がり机の上にあるスマホをとるために少し歩こうとする。
「……?」
しかし、疲れているからか、立ち上がることができない。仕方ないので手で泳ぐようにして動こうとする。
「……?」
しかし、疲れているからか、手を動かせない。仕方ないのでミミズのように動く。
「もしもし」
「……」
手が動かせないので、顎を使って電話に出て、「もしもし」と言うが、相手からの応答がない。
「もしもし、もしもし!」
応答は、ない。
「……消すよ。そして、さよなら」
何秒経っただろうか。その言葉が聞こえ、通話は切られた。
そして僕は、
――死んだ。
みなさん、意味は分かったでしょうか。
意味は……
……最初は、「疑問を持つ」ということが消され、
次に、「痛覚」が消され、
その次に、「足」が消され、
その次に、「手」が消され、
その次に、「心臓」が消された。