「お前をパーティーから追放する!」 「うるせーーーーーー!!!!」パキャーンッ!!!(ビール瓶で頭をぶん殴る音)
「お前をパーティーから追放する!」
「うるせーーーーーー!!!!」
――パキャーンッ!!!
咄嗟にビール瓶でぶん殴っていた。
彼はアンダーソン……いや、アップトクだったか。わかんね。忘れた。
「こういう時には酒を飲むのが一番なんだ。酒は嫌なことを忘れさせてくれる」
そうビール瓶を咥える。が、なぜか中身が出てこない。なんで?
「あ、割れてる。おい、店主。このビール瓶割れてんじゃねぇか。割れてちゃビールは飲めねぇよな。おい」
ガヤガヤと賑やかな酒場の客の間を縫って、店主が隠れるキッチンへ向かう俺。
そうして長い交渉を経て、俺は新たなビール瓶を手に入れ席へと戻る。対価に数枚の銅貨を失ったが、オーケーだ。
酒は嫌なことを忘れさせてくれるからな。
「ん、なんか騒がしいな」
「あっ、ノヴァ! リーダーがやられたッ!!」
「な、なんだってーっ!?」
見ると、さっきまで元気そうだったリーダーが床に倒れていた。頭から血を流して。
「即死だ……リーダーともあろう人がこんな無防備に……!」
仲間たちが嘆いている。
ちょうど彼らが席を外したタイミングを狙われたのか……!?
「そういえば、ノヴァ。どうして君は席を外していたんだ」
「どうしてって……」
「我らはリーダーがノヴァと話があると言われたからだが……」
「そりゃあ……えーと……」
なんで俺は席を立ったんだっけか。ああ、そうだ。思い出した。
「酒を貰いに行ってたんだ。ビール瓶に穴が空いてたからな」
「ビール瓶に穴が?」
「ああ、それでリーダーが取りに行けって言ったんだと思う。ほら、リーダーってそういうところあるだろ? 神経質っていうか。靴下の表裏も間違ってると落ち着かないタイプっていうか」
「それは……確かにそうだな。」
ふふふと笑う仲間達。その目には薄っすら涙が。
そうだよな、自然とリーダーを忍ぶ雰囲気になってしまった。
けれど、リーダーだって冒険者だ。それなりに恨みも買っていただろうし、いつかこんな日が来るって俺達も分かってたのかもしれない。
「でもな、リーダー。仇は必ず取るぜ……! アンタの無念、俺達が晴らしてやる……!」
「よし、ノヴァ。リーダーもしみったれた雰囲気は嫌いだろう。今日は思いきり騒ぐぞ!」
「おうよっ!!」
こうして俺達は酒を飲み、酒に呑まれ、リーダーを弔った。
きっとリーダーもあの世から笑っていることだろう。
ありがとうリーダー。フォーエバーリーダー。
「ところでリーダーの名前って何だったっけ?」
「ノヴァお前……まぁ、リーダーはリーダーって感じだったもんな」
そう呆れつつ、仲間は改めてリーダーの名前を教えてくれた。
そして、俺達はリーダーの分までと冒険者として飛躍を遂げる。
やがて英雄などと持て囃されるほどに至るわけだが、しかし、俺達は揃ってこう言った。
全てはかつてのリーダー……センタートントンのおかげだ、と。
広告下のサッポロを5本並べると幸せになれるらしいです。