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乾いた瞳は、だからこそよく燃え上がる。
いったい何を薪にしているのだろうか、ゆくゆくは灰にしかならないと知っているのだろうか……知っているのだろう。知って、分かったその上で、自らを激憤させて燃やし続けている。そうまでして達成したい何かがあることは分かった。絶対に言ってはくれないだろうけど。
でも、気づいていないみたい。
その何かを叶えたとして、決して幸せにはなれないこと。
そうまで瞳を揺らさなければならないほどの苦痛で達成した何かは、本当にあなたを幸せにしてくれるの? 私は、そう思えないよ。
「怨むぞ。呪ってやる。永遠に怨み続ける。死後も途切れず呪ってやる」
針の痛みは、やがて。
「来世でお前を見たとき、真っ先にビンタしてやる。唐突に頬を打たれて呆然としろ」
全身に凄まじい高揚と悪寒を、命の蠢動を生の胎動を。
大津波のように襲い掛かってくる、巨大すぎる生命に。
「……死後の世界なんて、あるわけがないだろう」
私は押し流された。
意識が。
自己が。
自我が。
生命の奔流に呑まれ、
希釈
され
る




