47/166
親友のもとへ
『よしまさ、聞いた!?』
電話越しの焦燥の声に、延寿は「聞いたよ。届いた」と頷く。
延寿は花蓮と別れたあとに帰宅し、自室の中にいた。
『すぐに行かなきゃ。行かないとっ……!』
焦る花蓮へ、「そっちに行く」と延寿は言う。
『すぐに来てよ!?』
「すぐに行く」
そして延寿は通話を終了し、すぐさま部屋を飛び出た。
正しくない、と考えていた。
何も正しくない。なぜ、彼らが。冬真と、汐音が。
その思考は矛先の定まらない怒りに染まり、深い悲しみに包まれていた。