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Intro

「不老不死なんてものは、神が気まぐれに発した冗談だったようだ」

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「俺は鬼気迫る表情で、人生を捧げ、人倫を放棄してまで実体のない虚妄を掴もうとしているだけだった。笑っているだろうよ、神《あいつら》は。一場を沸かすには少々気の利きすぎたジョークを言ってしまったと満足げにな」

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「『カナデ』」

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「籠の出入口は今まで通りで、窓も開けておいた。あとはきみの好きなようにするといい」

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「死後の世界なんてあるわけがないんだ。死んだらそれまで……モニターの電源を落とした時みたいにぷっつりと映像が途切れて、それ以降は真っ暗闇。どうやら俺は自分のモニターの電源が〇(オフ)にされる瞬間を見届けるために、今まで生きてきたらしい」

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「心の底から、今は虚しい気分だよ。今まで積み上げてきたものすべてが無意味になる瞬間が心から恐ろしいものであることを、俺はとっくに予想して、子供の頃から恐怖に震え続けてきた。怖いものは、避けたくなるだろう？　俺はそうだった。……あったと思ったんだがなあ、怖いものを避ける為の手段を講じるだけの能が、俺に……自惚れにしては、迷惑をかけすぎてしまった。凝り固まった利口さで退屈な聡明さをひけらかす連中を俺は嫌い、軽蔑すらしていたが……ハハハッ、彼らは俺のような愚かしい振る舞いを採らないほどには賢明だったということだ。蓋を開けてみれば俺は憎しみに近い羨望を抱いていただけなんだとさ、正しきを平気な顔で行える鉄面皮な彼らを……その、強靭さを……」

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「もうそろそろ、その〝怖いもの〟がこの屋敷の玄関扉をノックする時刻になる。手が震えているし、動悸も激しい、俺は子供のように怖がっているらしい。まあ、あとは仰臥《ぎょうが》し待つのみだ、もう黙るよ、長々と喋るのは苦手なんだ、知っているだろう。饒舌は俺に何の満足も与えなかった。今みたいに、きみの歌声に包まれ黙考に沈む時間の中にしか安らぎはなかった。どうか歌い続けてくれ、覚めない眠りにこれから落ちる、怖がりで自惚れ屋な、一人の子供のために……………………」

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「……………………結局、避けられなかったというわけだ、ハッ…………怖いな、本当に、恐ろしい…………」

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「だから俺は、死にたくなかった」

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"19C5H5N51188(30-7)92."

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