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風の音  作者: 燦〜aki〜
2人だけのライブとココア
6/8

フラペチーノとお友達











ワイ『おそい…』


24歳独身 元カノに好きな人ができたの


とだけ言われてもう1年が経つ男が


渋谷のハチ公前で苛立っている


ワイ『自分で10時っていったろあいつ…連絡もでねーし』


そう今日は土曜日


明日の彼女と会う約束を前に


勝負服を買いに来たのだが


新入社員の榊原が来ない


JK『この新曲のMVかっこよくなぁい?』

JK『めっちゃいいよね!私三回は見た!』

JK『なんかこのボーカルの人と知り合いの人が言ってたんだけどよく渋谷にいるらしいよ』

JK『え!まじ?今日いたらどーする?』

JK『え!まじまんじぃ!』


はいはいはいはいまじまんじー卍


てかこの時期にショーパンって


早すぎるだろ


なんだ世の男達をバカにしてるのか


そんな格好で見ない方が失礼だろ


綺麗な太ももしやがって


なめまわs


榊原『あ、いたいた、たちばなさん!』


ワイ『おせーぞ榊原ぁお前のせいでもう少しで犯罪者になるとこだったわ!』


榊原『その発言がもう死刑ですよ』


榊原『行きましょ!俺の知り合いの店あるんで!そこ掘り出しモンとかいっぱいあるんすよ!』


榊原は薄ピンクのプルオーバーのパーカーに


外国人女性の半裸の写真がプリントされた服を着ている


そこだけ見てしまうとそこらへんのモブと変わらないが


榊原が着るとお忍び俳優なんじゃないかと


疑うぐらい似合っている


それに比べて俺は


買って2年ぐらいだろうか


グレーのパーカーにジーパン


ここまで露骨な差が出るとは思わなかった


榊原『スタバ新作出たらしいですよ!なんかめっちゃ甘いらしくてかなり美味しいとか!』


まぁせっかくの休みに付き合ってもらったんだし


ワイ『そーなんか…喉乾いたしそれ飲むか?』


榊原『あ、俺甘いの苦手なんでコーヒーで大丈夫です』


ワイ『じゃなんで話したんだよ…』


榊原といると常に調子が狂う


2人でスタバに向かうと


女の集団『あ!シュウじゃない?久しぶりー!』


とモブが近づいてきた


シュウ?誰だそれ


榊原『あ!えくちゃんにみのりちゃん!久しぶりだねー!』


こいつ…


榊原『みんな元気してたー?最近仕事始まったから全然遊べてなくてさー!』


モブ女『えーもーまじまんじー』


実際こんな事は女の子達は話していなかったが


内容が全くを持って入ってこなかった


この時の気まずさはみんなわかってくれるはず


ただただつまらない(笑)


話が終わりスタバで並んでいる


榊原『先輩ってどんな服着るんですか?』


ワイ『あー特には決まってないけど基本黒とかが多いかな』


榊原『えー地味っすね、もっとなんか明るい服着ればテンションあげあげーってなりますよ?』


ワイ『って言っても似合んねーk』


モブ女『あーシュウじゃん!ここのスタバ来るなんて珍しいね!』


こいつ…


駅で待ち合わせてスタバに寄って


榊原の知り合いの服屋に到着するのに


計5回話しかけられる榊原に


もはや怖さを感じる


ワイ『おまえ…どんな顔の広さだよ』


榊原『ふつーすっよふつー…クラブとかで知り合ったりー

声かけられたりして』


ワイ『てかよく顔と名前覚えてんな…』


榊原『あったりまえじゃないですかー!この中に未来のお嫁さんがいるかもしれないんですから!』


こいつのスペックは計り知れないものがある


榊原『ここですここ!』


まじでおしゃれな服屋というよりブティックである


ワイの第一印象は


ワイ『たかそぉ…』


店員『いらっしゃいませー』


ガラスの扉を開けると女性店員さん達が


声を揃えた


榊原『よっちゃん久しぶりー!この人会社の先輩なんだけど服欲しいって言ってたからここ紹介してあげたんだぁ』


女性店員『ありがとうね?今夏の新作取り揃えてるので是非ご覧ください』


すごい綺麗な女性がワイに一礼する


慌ててワイも顔を下げる


榊原『さて!先輩見ますか!』


ワイ『お、おう』


すごい数の服が並べられているが


すべて綺麗に整頓されていて


いたるところに立ち鏡がある


ガラスのショーケースの中に入ってるジャケットや


どんな磨き方したらあんなに光るんだ


とツッコミたくなるほどの革靴


やけに長いベルトや


お菓子のパッケージぐらい色鮮やかな下着まである


俺が今まで服を買ってきた店とは


世界が違った


そんなことを考えてる間に


榊原『とりあえずこれとこれとこれ 試着してきてください!あとこれも!』


ワイ『え?あ…はい』


もはやどっちが先輩なのかわからなくなってきた


榊原の着せ替え人形になってはや2時間


腹が減ってきた


榊原『んーーこれもいいなぁー!』


楽しそうで仕方ないが


さすがにそろそろ


ワイ『榊原ぁそろそろ休憩しない?腹も減ってきたし…』


榊原『そーですねっ!とりあえずこいつらレジ通しちゃいますか!』


金額を見て驚きのあまり声が出なかった


6桁…


榊原『あ、先輩待って!吉澤さん呼んでもらっていい?』


レジの若い女の子にそういうと


先程のすごい綺麗な女性が出てきた


榊原と女性が話している


榊原『おっけーでーす!これ貰っていきましょう!』


ワイ『は?え?どーゆこと?お金は?』


榊原『大丈夫みたいです!先輩!ランチ奢ってください!』


ワイ『え、ぇえ…』


こいつのスペックは本当に計り知れない…


その後も榊原の知り合いというお店をまわった


まずはカフェ、ブティック、古着屋、靴屋、帽子屋、


すべて榊原の一言で商品が渡されるだけであった


ワイ『お前なにもんなんだ?まじで…』


榊原『やっぱり持つべきものは友達ですよね!』


榊原『ランチで行った所の女の子可愛かったなぁ』


ワイ『お前美大の可愛い彼女いるんだろ?』


榊原『何言ってるんですかー!お友達ですよ!おともだち』


こいつと話してると感覚がぶっ壊れそうだ


ワイ『とりあえず今日はありがとな…こんなにたくさん服貰っちゃって本当大丈夫なのかわからんけど…わざわざ土曜日に付き合ってもらって』


榊原『何言ってるんですかー!俺と先輩の中じゃないですか!今度またランチ奢ってくださいねん!』


ワイ『お、おう!』


榊原は俺が改札通って見えなくなるまで手を振っていた


榊原は知り合いの所で飲んでいくらしい


それにしてもこの量…


1軒目で6桁越えだったろ…


総額いくらだろう…


給料2回分とかかな…


値札付いてなかったし…


怖っ…


そう思いながら電車に揺られていると


ピロンッ


"mi から新着メッセージが一件あります"


あれからなんだかんだで


ちょくちょく連絡を取り合っている


相変わらずの語彙力なので


こんなおっさんと会話してて


彼女は楽しいのか不安になるが…


mi


今日新作のスタバ飲んじゃいました!

地元だとスタバまで行くのに自転車で

1時間かけて行かなきゃだったので

東京最高です!すごい美味しかったです!

ついに明日ですね!明日楽しみです!



マイスイートエンジェル認定です


口を押さえなければ


可愛いという言葉が出てしまいそうになるほどだ


座りながらスマホを見て口を押さえて震えてる


24歳独身男性がいたら


間違いなく通報レベルだが


電車が比較的空いててよかった


明日かぁ


楽しみだけど


緊張するなぁ


電車に揺られながら


沈んでいく夕陽を眺めていた












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