マネージャー
今回は回想無しです。
S君より勤務態度が悪いと思っていた店員が3人居たことは、
第1話を読まれた読者の皆様は周知であろうと思われる。
今回はその中の、F氏の話になる。
F氏はS君が働いていたコンビニ本部から認定されたマネージャーであるらしい。
元々は他店で働いていて、一時期は辞めていたそうだが、
お金が必要になったとかで、
求人広告を見て応募し、深夜勤として現場に復帰したんだとか。
何故、お金が必要になったのかはS君も知らない。
興味がないので俺も知りたいとは思わない。
で、このF氏、
「本部の規定でうんたらかんたら」
と言う割には、自分ルールじゃないと気が済まないようである。
S君によると、S君の店では客が少ない深夜に駐車場の掃除をしていたそうであるが
態々、夕方に来て
「掃除がなってない!」
「ゴミが散らかってる!」
「俺、勤務前やのに!」
などと怒りながら、駐車場の掃除をしていたらしい。
全く、ご苦労なことである。
F氏によると、
『駐車場は店の玄関みたいなモノだから、汚れていると見苦しい』
のだそうだ。
理解できなくもない。
ただ、自分の労働時間に掃除をするのが嫌なようで
夜勤の人間に掃除をするよう言っていたそうだ。
夜勤組からすれば、マネージャーの資格持ちの指示とはいえ
仕事を増やされたようなものである。
示し合わせたかのように
「駐車場の掃除は深夜の仕事ですし、言われても困る」
と答えたら、今の店長に直談判し
夜勤組の仕事に掃除を追加させたそうだが、
これに対して夜勤組は
「倉庫の棚卸、商品の品出し、
店内清掃に備品の補充に食品作りにレジ打ち。
あと1人は増やしてもらわないと、
駐車場まで手が回らない。」
と店長に反発し、2人が辞めたと聞いた。
その結果なのか、責任を取らされたのかは知らないが
F氏が出勤前に駐車場の掃除をすることになったようである。
繰り返すが、全くご苦労なことである。
S君と組んだ時はボソボソと小声で指示を出し
聞こえていなかったので無視する形になったら
「さっき言われたことはやったのか?
まだ?
はよやれ。」
とのたまい、
「やっと休憩取れるわぁ」
と、S君の終業間際に休憩をとるので
残業になっていたそうである。
ちなみに、残業分は
「残って遊んでる分にまで金を払えるか!」
と、話すら聞かない店長によって削られ
サービス残業扱いになっている。
俺ならバックれてるし
俺じゃなくても、バックラーに転職すると思う。
バックれついでに、労基と本部に洗いざらいブチ撒けていいと思う。
※バックラー:仕事をバックれる者。
C級(新人クラス)~S級(犯罪者クラス)に分類され
仮にS君がバックれた場合、
B級(主力クラス)バックラーになるものと推測される。
このF氏の自分ルールだが、以前の店で黙認(?)されていたことを
適用しようとする癖があるらしい。
S君の店では深夜0時からほぼ1時間おきに
雑貨、本、ジュース・酒類、パンと4時頃まで納品があるらしいのだが
その時間内に商品の廃棄もあるそうだ。
仮に賞味期限が午前4時の商品があったとしよう。
その場合、午前2時までに廃棄しなければならないらしく
大体、午前1時50分過ぎを目途に廃棄処理をしていたらしいが
F氏は0時前に廃棄していたらしい。
実に2時間のフライングである。
その2時間の間に、その商品が欲しい客が来たら買えないではないか。
という考えがあったら、しないであろう愚行である。
それだけでなく、返本にもルールがあり
S君の店では返本日に本に廃棄処理をし
ダンボール1箱分程度まで貯まったら、返本するのがルールだった。
ここでF氏は俺の予想の斜め上を爆走する。
あろうことか
「これ買うヤツ居らんやろ。」
という独断と偏見で、入荷と同時に廃棄にしていたらしい。
しかも、廃棄処理はしないので
不良在庫を抱えた状態である。
本の入荷状態によって
返本日が多少前後することはよくあることで
本部指定の返本日から
2週間程度は問題なく返本できるそうだが
いざ、返本しようとしても
廃棄処理が済んでるかどうか分からず
本人は覚えていないので
返本したくてもできない状態であるため
埃を被った本がダンボール3箱以上残っているらしい。
店長はS君に
「売り上げが落ちてきたなぁ、なんでやろう・・・?」
と言ってたらしいが
売り物を勝手に廃棄する人間が居りゃ、当然である。
F氏をクビにすれば戻るかもしれないが
S君の話では、店長はマネージャーという肩書を持つF氏を信頼しているようだし
俺は先述のTやF氏以上に今の店長が気に入らんので、言う気もないが。