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悪魔が来たりて  作者: ギャバン
フィリア編
2/4

美貌の少年

春__。


桜が咲き乱れ、ぽかぽかとした気温が気持ち良い季節。


新しい生活に新入生や新社会人が期待と不安で胸を踊らせる季節。


そんな素晴らしい季節に、似つかわしくない暗い雰囲気を纏わせた一人の少年が、江戸川の河川敷をとぼとぼと歩いていた。


年の頃は高校生であろうか、紺色のブレザー姿で、学校指定のバッグを肩に掛けて歩いている。


それだけならば普通の日常風景なのだが、少年の容姿が普通では無かった。


175㎝位であろう身体は、筋肉質ではなく、ガリガリに痩せている風でもなくどこかスラリとしており、モデル体型というのか、足も長かった。


髪も白髪など一本もあらず黒々としており、癖もなくさらりとしていた。


そして特筆すべきは、その美貌である。


なんというか、その、この世に居られる一定数の女性が、想像力……いや、妄想力?


何でもよろしいが、ともかく、その女性が考えれる限りの美少年要素を、この少年、阿蘇川 翔は持っていた。


それならばさぞかしモテるであろうと思われがちなのだが、この少年、恐ろしく恋愛運が無かった。


誤解の無いように記載させて戴くが、翔少年は何一つ悪くはない。


お縛り遊びやスカ__ああいや、ともかく、特殊な性癖がある訳ではないし、暴力的だったり浮気性だったりしている訳でもない。


全ての原因はその、類い稀な容姿にあった。


「イケメンなら人生簡単ゲー」


この様に述べる輩がいるが、それはある意味で正解であり、ある意味で間違っている。


モテるイケメンというのは、容姿が整っているのは当たり前なのだが、そんな整っている中に少しだが隙と思われる箇所がある。


だが、この翔という少年の容姿には、付け入る隙など微塵も無かった。


人間という生き物は、男女関係無く、大なり小なり容姿という物にコンプレックスを持っているものである。


見た目何か全然気にしないしとかのたまう男性や女性がいたりするが、そんなのウソっぱちであり、自分より秀でた部分を目の当たりにすると、嫉妬してしまうのだ。


そして、この少年を前にすると、それが顕著になってしまう。


世間で美人とか美少女とか言われる類いの女性達には、


「阿蘇川君と比べられるのは苦痛」


とか言われて、ならばブスと言われる程ではないが、普通に可愛い位の女性では、


「阿蘇川君とは釣り合わないから……」


とか言われる。ならばならばと思いきって、容姿が少々不自由な女性ならどうだと声をかけると、


「馬鹿にしてんのか?コロコロすんぞ?」


と凄まれる。


そんな見た目を持っている少年な為に、声をかけられる事も無く、声をかけても御覧の有り様。最近の悩みは少しホモ__いやゲイ__ハッテン場でハッスルドッキングしてそうな兄さん達に声をかけられる事であろうか。


今日もまた、気になる女子生徒に声をかけて、玉砕してからの下校中という訳である。



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