コルタの町
Gを稼ぐには、人々の頼み事、いわゆる依頼を受けて遂行し、その報酬としてGを受け取るのが、職を持たない者の一般の稼ぎ方だ。
依頼は各地の酒場や、町の掲示板など、人目のつくところに寄せられる。
依頼を出すものも様々で、農民や市民、商人や貴族、はたまた傭兵からも寄せられる。
魔物討伐や薬草採取、馬車の護衛や庭の草むしりなど内容も豊富。
全てのGは依頼に通じると言われているほどだ。
ほかにも、商売で稼いだり、農作業や鍛治などがあるが、どれも物を売ったりとほぼ同じ。
ーーそしてアレクたちは、コルタの町へと足を運んでいた。
べつに、もっと近くにも村や町があったのだが、その魔道書が見たいというアレクの一存で、わざわざここで依頼を受けることにしたのだ。
町の規模は小さいが、売り子の呼び声が飛び交い、人の動きも活発。魔物対策だろう、三メートルはある塀に町全体が囲まれ、町の門には騎士も配置されているし、とても雰囲気の良い町という印象である。
町へ入るのにGは発生しないので、アレクは門の騎士に軽く挨拶をして、その五メートルはある石でできた門をくぐった。
「いい町だね」
一歩後ろを歩くレイスに、独り言のように話しかける。
「そうですね。貧困層の人間も見られないですし、ここの長はとても優秀な人物なのでしょう」
「Gが貯まったら、ここに住もうか?」
「実験の迷惑をかけたくないと言って山にこもったのはアレク様ですよ? わたくしはアレク様のお側にいられればどこでも構いませんが」
「はは、そうだったね。さて、魔道書が売れてなければいいけど……」
平和な会話を楽しみながら、人の流れに合わせて着実に足を進める二人。
とそこで、アレクは一つ思い出す。
「……ところで、その魔道書はいくらするんだい?」
魔道書とは言わば武器であり知の泉。
全て手書きで作られるので時間がかかり、古代のものや珍しいものとなると価値は跳ね上がる。
一般の魔道書の平均は四千Gほど。
三食付きの一般の宿で一泊千G、鉄の剣が一つ三百G、アレクの一日、0G。
これを考えれば、どれほど魔道書が高いのかは一目瞭然だ。
魔法を武器にするものか、アレクのような物好きしかまず手をつけない。
値段によっては、これからどのような依頼を受けるかが変わってくる。
それに、レイスはいつものように感情の抜けた超えで答える。
「そこまで大したことはないかと……ああ、あそこです」
どうやら目的の店についたようだ。
レイスが指をさして先導し、アレクはその後ろをついていく。