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7  作者: りな


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誓い

子どもを抱いていると、

ときどき、不思議な気持ちになる。


こんなにも小さくて、

こんなにも柔らかくて、

こんなにも愛おしい。



泣けば、抱きしめられると信じている。

呼べば、応えてもらえると信じている。


その信頼の重さを、

私は毎日、腕の中で感じている。


夜、寝息を立てる顔を見ながら、

ふと思う。


私は、

この子の前では、

消えたいと思わなくなった。


いなくなりたい夜も、

終わらせたくなる衝動も、

この子が生まれてから、

私の中から姿を消した。


代わりに残ったのは、

怖さだった。


もし、この手を離してしまったら。

もし、あの頃の自分みたいに、

独りにしてしまったら。


だから私は、

何度も確かめる。


大丈夫。

ここにいる。

私は、あなたの味方だ。


声に出して、

伝える。


泣いてもいい。

怒ってもいい。

あなたは、ここにいていい。


それは、

この子に向けた言葉であり、

同時に、

過去の私に向けた言葉でもあった。


杏樹のことを、

忘れたわけじゃない。


今も、

ふとした瞬間に思い出す。


公園でびしょ濡れになった夏。

夜中に抜け出した道。

カラオケで朝を迎えた日。


杏樹は、

私の中で、

生き続けている。


義母との日々も、

胸の奥に沈めたままだ。


消えない。

なかったことにはならない。


それでも私は、

ここにいる。


過去を抱えたまま、

未来に手を伸ばしている。


私は、

母になった。


完璧じゃない。

強くもない。


それでも、

この手だけは、

離さない。


あの日、

誰かにしてほしかったことを、

私は今、

この腕の中で繰り返している。


それでいいと、

今は思える。


生きることは、

特別な意味を持たなくてもいい。


ただ、

守りたいものがある。


それだけで、

十分だった。


私は、

今日もこの子を抱いている。


確かな重さと、

確かな温もりを、

胸に感じながら。


――この手を、

絶対に、

離さない。


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