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そうして旅人は自由に生きる~魔と法を巡る物語~  作者: 宿木ミル


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第7話【空飛ぶ街】

 まっすぐ歩く。

 地面を蹴って前に進む。

 普段の私は当たり前のように地に足を付けて生きている。

 しかし、街によってはそれが逆に日常になっていないところもある。

 これは、地面と無縁の生活をしている不思議な街のお話。






 ゆったりと歩いて進む旅。

 行き先は決めてない。

 自由に、気ままに私の思うがままに生きている。

 気になった街が見つかったらそこに向かい、そこの暮らしを見つめる。

 お腹が空いた時も、気になったお店に立ち寄ってお砂糖いっぱいのコーヒーを飲む。

 マイペース。その言葉が私にはちょうどいいだろう。


「さて、面白い街には出会えるか」


 トマトとハムを挟んだパンをお昼に食べ終わって進む午後。

 今日はなかなか街が見つけられずにいた。

 理由は簡単だ。


「うーん。街道外れには面白い街があるかなぁって思ったけど、流石にないのかな」


 そう、今日の私はわざと街道を外れて、道がない場所を歩いている。

 現在地は見知らぬ森。

 草木が生い茂っている空間には、人の気配を感じない。

 風によって心地よい葉っぱの音が聞こえるだけだ。

 このまま森林浴するのもいいかもしれない。けれども私は人と話したりするのが好きな方だ。

 だから、なにか街に入っておきたい。


「……っと、そろそろ森を向けるかな?」


 森をまっすぐ進んだ先。

 林が少なくなってきたところに向かって歩いていく。

 森を抜けたら何かがある、というのは定番だけれどもはたしてどうなるか。

 歩いて、先に進んでいく。

 森を抜けた先。

 遠くには高原が広がっていた。


「うーん、なにもないかな……って」


 ぼんやり歩こうとした時、気が付いた。

 目の前は崖。

 つまり、まっすぐ歩いて向こう岸の高原にはたどり着くことはできない。

 下手に前に進んでいたら落下しているところだった。


「危ない危ない」


 これ以上進まないようにしながら、横を確認する。

 懸け橋のようなものはない。つまり、行き止まり。普通に歩いていくのは不可能だ。


「この場合は飛んでいくのが無難かな」


 魔力を展開して、身体全体を浮かせる。

 私は『魔の法律』という力を使うことによって不可思議な現象を引き起こすことができる。

 街に寄り添う法律を作る、というのが力の本質だけれども、ある程度は融通が利くので自分の身体を浮かせたりする使い方もできる。

 

「……うん、久しぶりに魔法少女っぽい感じになったかも」


 『魔の法律』を扱う少女だから、魔法少女。

 なんとなく、お洒落だし、たまに言いたくなる。

 浮遊して、先に進もうとする。

 その時、ふと下を見た瞬間だった。


「あ、あれ?」


 そこには風変わりなものが浮かんでいた。

 窓がある浮遊物。

 小型の風車が空を飛んでいる。

 よく見るとお店みたいなものも浮かんでいた。

 私の下……つまり、崖と崖の間に何かがある。


「見てみよう」


 ゆっくりと下降して、崖と崖の間の場所を調べてみる。

 下に向かっている間に気が付いたことがいくつかあった。

 翼が生えた人がいくつか見かけた。

 鳥人だ。

 そして、私のように魔力によって浮遊している人もいれば、箒で飛んでいる魔法使いもいる。

 けれども、そのいずれかも地面に足がついていない。

 みんな、崖の間の建物を利用しながらも、浮遊して生活している。


「……まさか、ここ全体が街!?」


 そう、この空間全体が街になっている。

 街の境界もない。強いていうのなら、渓谷の間、それも空中が街なのだろう。

 凄い空間だ。


「そら、気を付けろよ! しっかり持っていけ!」


 翼を羽ばたかせた鳥人が魚を捌く。

 まな板を使わないで、魔法を利用しながら魚を空に固定して、切っていた。

 かなり器用だ。


「待ってー! 捕まってよぉ!」

「誰が待つもんか! 追って来いよー!」


 立体的に空を浮遊して子供が追いかけっこしている。

 地に足がついてない分、自由に動いているように思える。

 上に、下に、右に、左に、笑顔で浮遊するふたりの子供は元気を貰える。


「物珍しい顔をしてるな。お前さん、旅人か?」

「そんなところ」


 街の景色を見つめていたら、不意に鳥人の青年に話しかけられた。

 翼だけが人についている、というわけではない。顔も鳥のような形になっている。

 鷹のような顔が私を見つめる。ガタイもあり、私の頭ひとつと半分くらい大きいだろう。


「高原に向かおうとしたらこの場所に目が付いたってわけだな?」

「なんだか建物があったりして気になっちゃってね。街なんじゃないかなってついつい足を止めちゃった」


 私にいくつか質問を飛ばしたのち、鷹の顔の鳥人は大きく笑った。


「そうかそうか! そりゃラッキーだったな! この【空飛ぶ街】は狙っていける街じゃないからな!」

「街までの道がないから?」

「正解だ。それに、空を飛ぶ技能が必要だっていうのもある。旅人にとっちゃあ難易度が高い街なのさ」

「意識しないと建物も気にしなそうだってこと考えると……うん、やっぱりついてるのかも」


 足を止めて、空を飛んで、下を見つめてみないと気が付かないだろう。

 それらのことを考慮しても、なかなか発見するのは大変そうだ。

 私の顔のところまで位置を調整して、彼が言葉を繋げる。


「俺はクウホっっていうんだ。お前はなんて名前だ?」

「リベラ・マギアロア。リベラでいいよ」

「そうか、リベラか! いい縁だし街の面白いところを紹介してもいいか?」

「気になるね、是非」

「よし、ついてこい!」


 そう言葉にしながら力強く羽ばたくクウホ。

 私はその後ろをするりと浮遊して移動していく。

 風が全身を包み込む感覚が心地よい。


「『地に足を付ける生き方をしてはいけない。何故なら我々は空の民なのだから』」

「それが、この街の法律?」

「そうだ。空飛ぶ街を支える力の源だな」

「みんなが空を飛んでるから、安定して街が活動していけてそうだね」

「ま、その分苦労もあるけどな。ほら、あいつを見ろ」


 クウホが視線を向けた先では、なにか落としている人がいた。

 光り輝くコインのようなものが落下していく。


「ああぁ! 俺のお金がぁ!」


 慌てる男性は対応することができない。

 私も急いで拾おうとするものの、届かない。

 そんな時、クウホだけが慌てずに行動を起こしていた。


「ふん!」


 彼が片手をあげ、掛け声を言葉にする。

 すると下から上に突風を吹いた。


「わ、わっ」


 両手で普段着のスカートとコートを抑えて、突風に飛ばされないようにする。

 いくら私でも、捲れあがってしまうのは恥ずかしい。

 私がそんなことをしている間に、コインは慌てている男性の元まで戻っていった。


「気を付けろよ。貴重品が落ちた時の対応は難しいからな」

「ありがとう! クウホ!」

「保険は入っておいて損はないぞ。繰り返すようなら意識しとけ、な?」

「あぁ!」


 お金を大切そうに握りながらも、男性は去っていった。

 クウホは呆れながらも、ほっとした様子で私に話しかけてきた。


「空飛んでる以上、こういうトラブルもあるのさ」

「下に落ちたらどうなるの?」

「まず、取り戻すのは難しいだろうな」

「それは大変そう」

「だから、保険も賑わってるのさ」

「保険?」

「あんな感じのやつ」


 クウホが指を向けた先。


「やや! 貴殿、ものを落としてばっかりですねぇ!? そんな貴殿にはこれ! 風の加護!」

「か、風の加護?」

「えぇ、えぇ、物が落ちそうになったら街の法の風力によって自動的に貴殿の手元まで届く便利な保険です!」


 そこでは、眼鏡をかけたフクロウ顔の鳥人が魔法使いの女の子にセールスをしていた。

 珍しい保険だ。

 風で物を拾い上げるのが、保険になるというのはこの町独特の文化を感じる。


「うーん、確かにわたし……結構素材落としがちだからなぁ、よし、保険に入る!」

「わかりました、ではこちらにサインを……!」

「うん、書いてくね!」


 手早くサインを受け取った鳥人は、ささっと次のお客さんまで飛んでいった。

 なんだかんだで困っている人は多いのか、フクロウさんのビジネスはどこまでも続いていく様子だった。


「ちなみに、この保険は飲食店を経営してる奴は必ず入るように言われてたりする」

「食品ロスとかは致命傷になりそうだから?」

「そういうことだな。あとまぁお客さんとのトラブル防止の為だ。ドリンクもお皿も手渡しが多いからな」

「なるほど」

「風の加護がないと困ることがかなりあるから、保険はほぼ絶対に入れるっていうもある」

「困ること?」

「こっちに来てみろ、この街の調理方法を見せる」

「わかった」


 ゆったりと移動するクウホについていく。

 すると屋外で料理している魔法使いの場所まで到達した。


「クウホ君じゃん! やっほ!」

「ポテトを揚げてくれ。旅人に少しだけ珍しい光景を見せたい」

「あいよ!」


 彼女が油が入った油鍋を手に持つ。


「よいっしょ!」


 両方の手を離し、油鍋が空に舞いかける。


「風の加護!」


 落ちると思った瞬間。

 鋭い風が吹き、油鍋が宙に浮かんだ。


「いくよ、ファイヤー!」


 空飛ぶ油鍋に炎魔法が下から放たれる。

 派手な勢いで燃える炎。

 油の温度が上がっていく。宙に浮かびながら、油鍋の調理が行われて行く。


「そして、ポテトを投与!」


 じゃわ、と勢いよく音が響く。

 炎魔法の勢いは調整されていく。

 そしてしばらくの時間が立ったのち、ポテトは無事に揚がっていった。


「どうする? お皿に盛りつけ? それとも風使いながら直で行く?」

「今日は旅人がいるからお皿に盛りつけておけ」

「はーい」


 魔法使いの後ろの食器棚からひとつ深皿が出てきて、私の目の前でポテトが盛り付けられていく。

 ケチャップを端において、できあがりだ。


「はいよ! 完成!」


 片手で私にお皿を手渡される。

 私は右手で受け取って、左手でポテトを摘まむ。


「おいしい……!」


 サクサクした食感はなんだかすっきりした空の印象を感じさせる。

 空に飛びながらポテトを食べるなんて、そうそうない体験かもしれない。


「みんな、こんな感じに料理してるのかな」

「ん? そうだよ? まぁ、魔法の代わりに街の法の力で調理してる人もいるけどね!」

「テーブルとかは使わない?」

「使わないね! 最低限使うとしたら机くらい! それ以外は風の加護でなんとかする!」


 笑顔でそう言葉にする彼女。

 それが日常であるということが伝わってくる。


「ちなみにオムライスとか、そういうタイプの片手で食べにくい料理は風の力で宙に浮かせることが多い」

「浮遊飯っていって、ちょっと噂になってほしいなぁって思うよ!」

「まずないがな。旅人なんてそうそう来ないんだからな」

「なんとかしてよぉ!」

「それは風のゆくままに考えるべきだ」

「うぅ」


 店員の魔法使いとは仲良しなのだろうか。

 かなり砕けた会話をしていた。

 見ている私もほっこりするような雰囲気に、思わず頬が緩む。


「……よし、そろそろ時間か。この街一番の変わり者に会えるタイミングだ」

「おっ、ワッシーに会うんだね! 元気してたって伝えといて!」

「あぁ、そのつもりだ」

「ワッシー?」


 首を傾けて疑問を表現する。

 そんな私を見て、クウホはわかりやすく説明してくれた。


「この街で気まぐれカフェをやってる鷲の鳥人さ」

「彼の作るドリンクは美味しいよ! ただ、運が悪いと飲めないけど……」

「ま、風の流れ的に今日はなんとかなるだろ。行ってくる」

「いってらっしゃい!」


 魔法使いの店員さんに手を振って、クウホに付いていく。


「ワッシーは俺と同じ鷹の鳥人だ。ま、俺よりは変人だけどな」

「どういうところが変なのかが気になるね」

「妙なところで律儀で、愚直に街の法律に従ってるのが面白いのさ」

「……どういうこと?」


 街の法律は住民の暮らしをよくする為に存在するもの。

 だから、ある程度従って行動するのは自然だろう。

 だけれども、それが変だという。イマイチよくわからない。

 ピンと来ていない私に微笑みながら、クウホは私をそのワッシーのところまで案内した。


「おーい、ワッシーいるか!」


 ワッシーのカフェ。そこはカフェと言い切るのが少し勇気がいるような空間になっていた。

 椅子がないのは空飛ぶ街の性質上わかる。

 屋根のようなものもなく、屋外なのもまだわかる。

 しかし、ミキサーのようなものもない。

 コーヒーメイカーもなければ、しっかりとした設備もない。

 そこにいるのはすらっとした体格の鷹の鳥人。そして規則性のないフルーツが浮いている。

 グラスはあるけれど、そのグラスの数はなんと3つ。潔いくらいカフェらしくない。


「いいところに来たねぇ! 今日のボクのドリンクはパーフェクトに作れそうさ」

「そうか、よかった。で? 保険には入らないのか?」

「ぜっったいに入らないね! ボクは失敗を恐れないタイプなのさ!」

「はいはい、そういうと思ったよ」


 呆れて肩を落とすクウホ。

 定番のやり取りという感じなのだろう。

 つやつやした毛並みをしたワッシーはクウホとはまた違いタイプのようだ。


「旅人くん。ワッシーのカフェにようこそ! 何を飲みたいかね? ま、あるものしか作れんがな! ハハッ!」

「メニューとかはないんだ」

「ないねぇ! 理由? それは明確だ。型に嵌った生き方なんてつまらないからだよ!」

「な、なるほど」


 なんだろう。

 すっごい勢いで生きてる感じがある。

 カラッとした笑い方も潔さを覚えさせる。


「あるものでドリンクを作るってことでいいんだよね」


 ワッシーの周囲に浮いているものは果実だ。

 リンゴ、ブドウ、オレンジ。ある程度の種類はある。


「問題ないよぉっ! ただ、ボクとしては近くの森で取って来た巨大オレンジを使ってみたいと思ってるねぇ!」


 ……けれど、ダイレクトにワッシーがオススメするのはオレンジだった。

 目を輝かせながら使ってみたいオーラを発している。

 いや、それでいいのだろうか、カフェ店員として。

 でも、私もちょうどさっぱりした味が堪能してみたかったから素直に彼の言葉に頷くことにした。


「じゃあ、オレンジジュースをお願い。お金も渡すね」

「はいよぉ! ちゃちゃっと作ってあげるさ!」


 そういうと、ワッシーは大きなオレンジとコップを風で運び、私たちから離れていった。


「ボクの情熱のハリケーン!」


 ワッシーは翼を羽ばたかせ、突風を引き起こす。

 その風がかまいたちになり、オレンジの皮を剝いでいく。


「皮だって後々有効活用!」


 籠を風で運び、その中皮をしまっていく。かなり器用だ。


「そして果汁全開のオレンジジュースを提供する為に、さらに果実を絞ろうじゃあないか!」


 オレンジを中心にさらに風が強くなる。

 私は風に引っ張られないようにスカートとコートを抑える。

 かまいたちが内側の皮も削り、果実を風が徹底的に絞っていく。

 風が空から恵みをもたらす。

 絞られた果汁はグラスに溜まっていき、あっという間にドリンクになっていった。


「ほい、できあがり!」


 手渡されたオレンジジュースをゆっくりと味わう。


「酸っぱさがいいね、おいしい」


 とりたての新鮮さを感じる味わいだ。

 誰かに凍らせてもらっていたのか、少しシャリシャリした冷たい食感もある。

 頭がシャキッとするような適度な甘さとすっぱさがとてもいい。


「そりゃあよかった! 駄目なときは本気でダメだからねぇ!」

「ん? どういうこと?」

「コイツのメニューに同じレシピは存在しないってことだよ。毎日果物を拾ってきてるからダメな時は作れなかったりもする」


 もうひとつのグラスに注いであったオレンジジュースを味わいながらクウホがそう言葉にする。


「ボクのポリシーだよ」

「その日暮らしは心配になるが?」

「実際何とかなってるからいいじゃないか!」

「雨の日の雨宿りは風の加護で行うわけだが、お前はいつでも誰かに頼ってるよな?」

「一喜一憂の機会になるからボクはこの暮らしに満足してるよ!」

「はぁ、相変わらずで結構」


 そう言葉にしながらクウホはオレンジジュースの味を楽しむ。

 ちょっとしたにやけ顔。

 気にはなるけれども、スタンスは変えられないということに安心感を覚えてるようにも感じられた。


「僕はね、地に足を付ける生き方をしたくはないのさ」

「それはどうして?」

「それはボクが空の民だからさ!」


 自信を持って言葉にするワッシー。

 その生き方に迷いがないという強い意志を感じる。


「空というのは自由なんだ。青空を羽ばたくこともできる、風を感じることもできる。雨に打たれても飛び続けられる。行きたいところにいける」

「雲だっていつも同じ形をしてるわけじゃないよね」

「そうだとも。だからこそ、面白いのさ!」


 渓谷の間から空を見上げる。

 今日の空は快晴。

 どこまでも透き通っている。


「だが、安定も時には大切だろう。帰る場所、住む街がないと安心できない人もいる。街の規則に逆らうわけじゃないが、安定を求める人もいるだろう」

「でもボクたちはこうして飛んでいる。なら、ロマンを求めてもいいと思うけどね、ボクは」


 ふたつの話がそれぞれ主張としてぶつかる。

 どちらもきっと正しいだろう。

 不安定でも自由を求める考え。

 安定した生活を規則に従いながらも求める考え。

 どちらも間違いではない。


「旅人くんは、どう思うかい?」

「リベラの意見も聞いてみたいな」


 だからこそ、第三者の意見も聞きたくなるのだろう。

 私だって、同じ立場だったら問いかけたくなる。

 その上で私の意見を言葉にする。


「正解のない質問だから、私はあえてこう言うね。よりよく生きる方法を見つけていきたいって」

「それは……」

「第三の答えってやつだね」

「ずるい答えかもしれないけど、ここは自問自答するべきだと思うから」


 でも、今回の問いかけはふたつのどちらかの立場を示すものではない。

 だから、私は私の意思を伝える。


「クウホはきっと規則に従って生きてるから、ワッシーの自由な生き方をしようとすると苦しくなっちゃうよね」

「あぁ、精々やれて二日くらいだな」

「でも、ワッシーは保険を進めたりそういう堅実な生き方をしようとするともどかしくなる」

「違いないね! 会いたいときに会ったりするのがモットーだからね!」

「ふたりは、しっかり自分の生き方を見つけてる。でも、時にはしっくりきた生き方をできてない人もいるかもしれないんだ」

「だから、時に悩むべきだと?」

「そう。気になったら、迷って、迷って、自分らしく生きる方法を探す。それがきっと大切なんだと思う」


 私は、自分らしく生きる人のお手伝いをしたい。

 その思いは変わらない。

 きっと、これからも。


「私たちは、人生の旅人だから」


 地に足が付かなくても。

 足を付けて歩いていても。

 各々の生き方がある。

 それはきっと咎められない。


「いいねぇ! その言葉気に入った! おかわりをプレゼントするよ!」

「いいの?」

「しばらく、意識したくなったからね! さぁ、次はリンゴジュースだ!」


 誰かが笑顔になる。


「そういえば、ワッシー。伝言だ」

「なんだい?」

「風邪には気を付けろってさ。例のアイツからだ」

「ハハッ、この前ヘマしちゃったからね! 今度会いに行くよ、あの魔法使いさんに!」

「そうするといい」


 私がいてもいなくても、街は、世界は動き、色も変わっていく。

 だからこそ、楽しい。

 私は旅が続けたくなる。

 これからも、いっぱい。












 渓谷を抜け、高原まで進む私。

 今の私は自分の足で歩いている。


「飛び続けるのも久しぶりだったから楽しかったなぁ」


 また、今度飛び続けるのも悪くはない。

 そう思える体験だった。


「……それにしても、よくよく考えると旅人も空飛んでるような生き方なのかも?」


 『地に足が付かない』生き方。

 どこかに定住するわけでもなく、マイペースに過ごす日々。

 ある意味、私も空を飛んでいるのかもしれない。


「さて、次はどこに行こうか」


 自由に生きて、その中でも私なりの規則を大切にする。

 そんな私、リベラ・マギアロアの旅はゆったりと続いていく。


「風が気持ちいいな」


 吹き抜ける風や、雲のように、自由に。

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