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カガミ
深夜、トイレから出て来て鏡の前を通ってまた寝室についた。
うとうとしていると急に今通って来た鏡の事が頭を過ぎった。
あの鏡には自分は映って居たか?
いや、映ってはいなかった。
いや、私は鏡を見ていない。
通り過ぎただけだ。
だから自分が鏡に映ってるかどうか分からない。
つまらない事を考えてないで早く寝てしまおう。
翌朝、鏡の前で葉を磨いた。
ふと、鏡の中の自分を見た。
うん? おまえは誰だ?
私は振り返った。
誰も居ない。
鏡の中の自分を見たのは初めてだ。
今まで見ていたカガミの自分は映っている私だ。
鏡は自分を逆さに映しているのだ。
私は右手を上げて笑った。
カガミの中の自分は左手を上げ笑っていた。
私は・・・