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死神と云う名のコロン
あの男が立って居る。
痩せて眼の窪んだ背の高い男。
男のコロンの香りが私を包み込む。
あんな男は私の世界には居ないはずだった。
どこから現れたのだろう。
雑踏の中でも仕事中でも、電車の中でもあの男のつけているコロンの香りが私を追いかけ来た。
気持ち悪いほどの荒い呼吸の男。
黒いスーツを纏い、黒いタイを絞め、私の生気を吸い取るように立って居る。
痩せて眼が窪んだ坊主頭の男。
コロンの香りが私を包み込む。
コロンの香りが染み込んだ白い布。
白い布が私の顔にかけられた。
私は・・・