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ラーゲリからの解放者

 昭和23年 春だった。

ラーゲリから解放されて、しばらく療養所に隔離された。

私を成長させてくれたあの大日本帝国は、ただの『日本』に変わっていた。

ラーゲリでは徹底した「赤色の石鹸」で髪と脳を洗われ、すっかり洗脳されてしまった。

久々に純日本人と語った。

カラスが数十羽、療養所の欅の樹に集まって二人の話しを聞いている。

赤い靴を履いた女の子が庭を歩いて来た。

声を掛けた。

 「赤い靴が似合うね。ソ連から解放されたのかい?」

女の子は元気良く、

 「ウン」

と答えた。

 「だれと来たの?」

と聞くと、

 「パパ」

と答えた。

 父親もラーゲリから解放されたのか・・・。

父親が赤い綿菓子を持って娘の所に来た。

菓子を渡しながら、

 「知らない人と喋ってはダメだぞ」

と子を叱った。

父親は赤色のショウチャン帽を被っていた。

私は父親に近づいて

 「赤が似合いますね」

と言った。

父親は怒った様に、

 「赤は嫌いかッ!」

とたたみ掛けて来た。

私は、

 「赤は大好きです」

と答えた。

黒のハンチングを被った刑事が二人の会話に割って入って来た。

 「ラーゲリから戻って来た方ですか? 少しお話しを聞かせてくれませんか」

私は・・・

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