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細胞シート

 皮膚と同じ『フイルム(細胞シート)』を一枚取り出した。

そして、腕の血管部に貼る。

重要なのはその細胞シートである。

この細胞シートは療養所の研究員の『門松医師』が開発した傑作である。

シートは癌の浮遊因子ウィルスを呼び寄せる役を担っている。

実は門松医師は若干世に知られた料理研究家でもある。

茗荷ミョーガ料理の天才と本人は自負している。

この細胞シートに到達したのは茗荷に卵を和えている時である。

氏に言わせると、卵が泣いていると言うのである。

その言葉を発した後、研究室に閉じこもった。

 「ドクター、ご飯ですよ」

と看護婦が声を掛けても出て来ない。

五日して、氏は研究室を痩せたカラダで出て来た。

が、その顔は笑っていた。

 「出来た・・・。凄い・・・」

看護婦は何を言ってのか分からなかった。

 「これでガンが集まって来る」

 「???。ガン? 鳥ですか?」

 「違うッ! このテープは癌を集めるテープだ。これを医師が希望する所に貼る。たとえば尻だ。このテープに含まれる成分によって癌細胞は尻の肉の部分に集まって来る。そしてそに集まった癌細胞達を切除する。どうだ、画期的な発明だろう」

看護婦は門松医師に尋ねた。

 「ドクター、何を調合したのですか?」

 「君に言っても分からない」

看護婦は密かにノートを見た。

 『茗荷・鮭背骨・豚骨・ネギ・生姜・ワカメ・塩・アミノ酸・豚尿・鳥尿・・・』

まるで、ラーメン屋のスープの隠し味だ。

翌日、看護婦は療養所の癌患者にモニターに成ってもらった。

一カ月後、患者は尻の肉を切除して完治した。

今日は食堂でラーメンを食べていた。

私は・・・

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