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マナ板
板前だった蟻は『マナ板の広さ』の中で『味と観た目』を創作していた。
その蟻は五十年を超えて板前の仕事を続けて来た。
そして最近、この病を発症したそうだ。
蟻は退職して団地の掃除のアルバイトを始めた。
私はその蟻の掃除の仕方を見て怒った。
「もっと、広く周りを見て仕事をしなさい」
その蟻は何回言われてもまな板の広さしか見えて無いようだ。
仕方なく私は、草むしの仕事をさせた。
蟻はまた、まな板の広さの草を真剣に毟っている。
私はまた怒鳴ってしまった。
「もっと広く、周りを見て草を毟れ! 」
「はい、すみません。頑張ります」
「頑張ります?」
すると少し移動して、まな板の広さだけの草を真剣に毟っていた。
私は・・・