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耳があー無い
私が入院したばかりで血気に逸って居た頃の事だ。
担当医から掃除の班長をやる様に言われた。
掃除なんかした事はない。
過去に居た部屋はゴミ屋敷だ。
ある日、
「9号室から嫌な匂いがするから見てきてくれ」
と週番の看護婦から頼まれた。
行って、9号室のドアーを叩いたが返事がない。
「掃除に来た。世話を焼かせるなッ!」
私は怒鳴った。
「開けるぞ!」
と言って力一杯、ドアーを開けた。
中には三人の男が居た。
私は睨みをきかせて、
「臭いと言う苦情がきたぞ。なぜ臭い」
と怒鳴った。
「耳を焼いている」
「耳を焼いてる? ウソを吐くなッ!」
「ウソではない」
男は耳を見せた。
血が出ている。
他の二人も耳を見せた。
・・・耳が無い。
私は、
「何で耳な無いのだッ!」
と怒鳴った。
「ゲームで負けたら耳を切って焼いて食べるんだ。今回はオレが負けたから切って焼いている。オマエもやらないか」
「オマエ等はバカかッ! ・・・で、何と云うゲームだ?」
と、問い詰めた。
「ミミガーだ」
私は・・・