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ショパンの幻聴即興曲

 砂浜に出て暫く『ショパンの幻聴即興曲』を聴いていた。

ショパンの曲はいつも潮が満ちて来る時に聞こえる。

今日は大潮である。

朝日を浴びて『ソ』の旋律から始まり夕陽を背にして転調しながら曲は消えて行く。

五線譜の中で誕生から始まり、少しずつ老いて行き、病いに蝕まれ、そして最後は潮が引く様に死んで逝く。

実に味気ない人生の名曲である。

毎日、この幻聴曲を聴きながらこの時間は砂浜を歩いている。

苦しい時は嘆き悲しみながら旋律を下がって行き、楽しい時は、はしゃぎながら旋律を上がって行く。

青い空には入道雲。崩れそうな砂の山。

砂に這う蟹はこの砂の山には登れない。

蟹よ、進め。怖くはない。

残酷な砂山はそこに見える幻想だ。

蟹達は爪で潮を招き、輪を広げて友を呼ぶ。

この五線譜の砂山を登って行け。

オマエ達は全て幻聴と錯覚の中で、この旋律を辿って生きて行くのだ。

私は・・・

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