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残 像
療養所から小学校が見える。
その小学校が解体されてしまう。
新しく市のバスケの競技場が出来るそうだ。
私の観ている存在した景色が、もう直ぐ残像に変化してしまう。
私の脳裏には此処に来た時からの七年間の残像が詰まっている。
残像が断片的に脳裏を横切って行く。
それは普通、思い出と云うのかも知れない。
しかし私の思い出は思い出では終わらない。
連綿と続く残像だ。
今、小学校の植栽の周りを犬を連れて散歩している女が観える。
数秒でその女と犬は見えなくなった。
これも小学校と云う残像の中の一部に変化し、脳裏のフイルムに焼き付いて行く。
残像は全て白黒の映像で脳裏に焼き付いて行く。
校庭に朝日が当たって来た。
子供達が集まって騒ぎ始めた。
運動会の練習の様だ。
この残像はもう直ぐ練習を見ていた自分に変わって行く。
私は・・・