表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/40

マルコ

 あれは私が、ガザ地区を放浪している時の事だった。

カーン・ユニスに入った時、イスラエル軍の猛攻撃に遭った。

建物は崩れ、あちこちから助けを求める『声』がした。

放浪者達はバールやシャベルを持って、潰された家から『声』の主を探していた。

私も仲間達に加わり、『声』を求めて潰された家の石を片付けていた。

すると子供の手が見えた。

手は確かに動いている。

生きているぞ・・・。

私は大声で『手』の主に声を掛けた。

 「今、助けてやるぞーッ!」

手の奥から

 「マルコーッ」

と言う声がした。

この瓦礫の下に『生』がある。

すると誰かが、

 「無人機が来るぞー」

と叫んだ。

私は『生』を放っといて一目散に穴の中に避難した。

暫くして穴から出て、あの『声』の場所に走った。

崩れた家はそのままだった。

マルコが必死に『手』の周りを掘っている。

シャツを着た男の子が見えてきた。

犬はシャツを歯で噛み、必死に引っ張り出そうとしている。

私も急いで周りの瓦礫を退かしていた。

するとまた、

 「無人機が来るぞー!」

と言う声が聞こえた。

私はまた急いで避難した。

もの凄い爆発音がした。

硝煙が落ち着いのであの場所に走った。

そこには片足を飛ばされたあのマルコが必死に男の子を引っ張りだそうとしていたのである。

私も急いで瓦礫を退かし、ようやく男の子をそこから出た。

男の子は亡くなっていた。

片足のマルコは男の子の顔を舐めていた。

私は・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ