サークルの募集
病院内でサークルの募集があった。
サークルと云っても『認知症サークル』である。
八名の名前が書いてあった。
七八歳 S・七五歳 N・七三歳 K・八三歳 I・七六歳 Y・五二歳 O・六五歳 A・四三歳 T。
皆さんは認定証明書を持つ立派な方ばかりである。
『怒りっぽい方、表情の無い方、同じ事を何度も話す方、呼んでもテンポがずれて返事が返って来る方、絶えず落ち着かなく、椅子を立ったり座ったりしている方、診察室を自分の家と勘違いしてる方、無口の方』
私は九番目に名前を書いた。
すると後ろで待つ十番目の方が私の横顔を見て、
「吉田さん?」
と尋ねて来た。
「失礼ですが、どちら様ですか?」
「あ、やっぱり吉田さんだ。先日、法事でご一緒したじゃないですか」
「法事? さあ、覚えがないなあ」
「またまた〜あ、惚けてもらっては困るなあ。私ですよゴ・ト・ウ。オタクの親戚ッ!」
「え〜え?・・・あ〜あ・・・?、私は吉田ですか? そうでしたか。・・・覚えがないなあ」
「吉田さんもこのサークルの希望者ですか?」
「はい」
「良かったら認定証明書を見せて下さいな」
「認定証明書? 誰のですか?」
「吉田さんのですよ」
「あ〜あ、私のですか。私のはベランダの洗濯機の上に置いといたらカラスに持って行かれましてね。隣りの屋根の上に置いてあるんです」
後藤さんは・・・