禅修行
坐禅は脳と心が向き合うには最高の修行だ。
先日、沼津の立派なお寺に『この修行』に行った。
最初、老いて、もの静かな禅僧がモンペの様なパンツを履いて丁寧なご挨拶をして来た。
そして、これからの修行日程を説明して部屋を出て行った。
私達は道場に集合して座布団に座った。
暫くして、さっきの老禅僧が出て来た。
老禅僧は奇妙踊りの様なものを私達に披露した。
少林寺拳法の一つだそうだ。
その後、警策と云う人を叩く板棒を持って現れた。
最初、警策をバットの様にブンブンと振り回し、カラダの凝りを取た。
そして座って居る全員を眼で一周して、
「覚めるまで寺から出さないからな!」
と言った。
・・・いよいよ修行が始まる。
左端に座る私を睨んで怪しげな笑いを浮かべて、
「蚊が居るぞ」
と、問うて来た。
「そうですね」
と答えた。
すると、あの警策が唸りをあげて私の肩に振り下ろされた。
「いてーッ! 何するんですか」
「足りんッ! 『ソウデスネ』は答えにならず。もう一度思い直せ!」
「は?」
そこに本物の修行僧が現れた。
先生が修行僧を見るや、
「そもさん! 蚊が居るぞ」
と叫んだ。
修行僧は何も言わず去って行った。
先生はニッコリと笑い、
「出来た」
と言った。
私は先生に、
「何ですか? それは」
と聞いた。
先生は、
「人に聞くな! 蚊に聞け。門前の掃き掃除をして蚊に聞いて来い」
私は蚊に刺されながら今日も朝から掃き掃除を続けている。
が、蚊は何も教えてくれない。
先生が私の前を通り過ぎた。
私は、
「蚊が居ますね」
と問うと、
「刺されるな」
と言う答えが返ってきた。
私は・・・