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編 集

 私は団地の八階に住んでいる。

朝めが覚めると必ずベッドから窓の下の景色を観る。

いつもこの時間に見える三人のヒト。

一人は犬を連れて散歩する人。

一人はビジネスリュックを背負って通勤する人。

一人は自転車に乗ってコンビニに向かう人。

だがその日は窓の下の景色が少し変わっていた。

いつも犬を連れて散歩している人が、今朝は『猫』を抱いている。

バックを背負って通勤する人が、『釣竿』を持って通勤して行く。

自転車に乗ってコンビニに向かう人が、『長靴を履いてリヤカー』を引いている。

 「あれ?・・・」

誰かが外の景色を編集したようだ。

私は室内を見回した。

室内も見た事の無い景色に変わっている。

どうなっているのだろう。

いったい此処はどこなんだ?

確かそこのテーブルにテレビのリモコンを置いたはずだ。

・・・削除してあるのです。

リモコンを置いたテーブルにはナースコール用のコードの付いたボタンが置いてありる。

寝ていたベッドは白い枠の病院のベッドに変わっている。

壁の時計を見た。

そろそろ母が私を起こしに来る時間だ。

母が部屋に入って来た。

が、よく見るとそれは母によく似た看護婦である。

母も編集されたようだ。

誰かが私を『編集』しているようだ。

部屋の中はいつの間にか真っ白に変わっている。

ベッドの周りは白いカーテンで区切られ、ベッドの傍には小さなテーブルが。

その下には屑籠が置いてある。

テーブルの上には水差しと紙コップが。

私はベッドから起き上がってもう一度窓の外を見た。

門が見える。

救急車が入って来た。

部屋は病院に編集されているのである。

急いでドアを開けて隣りの書斎を見た。

隣りは書斎はでは無く、奥に続く廊下に変わっている。

私の部屋の全てのものが編集され、削除されている。

振り返ってドアを見た。

ドアにはICU(集中治療室)と書いた札が挿してある。

私は通りかかった看護婦? に尋ねた。

すると看護婦は丁寧にな言葉で、ここの居場所を教えてくれた。

私はワタシの事を尋ねた。

するとワタシは、病気に成って居るそうである。

ワタシの頭の中に硬い石が隠れていると言う。

そして看護婦は丁寧に『余命宣告』までしてくれた。

ステージ4の進行性末期癌で、その硬い石を削除しないとあと一週間でワタシは全身が石に変化してしまうらしい。

私は・・・

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