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神が終わりを告げた世界で  作者: てんま
第1章 変わる世界

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後始末 後編

俺の話の後集まってくれた人達は男性8名、女性7名の計15名だ。男性陣には明日から作業があることを伝え、解散してもらった。女性陣には、この後の炊き出しを行ってもらうので、残ってもらっている。


「お疲れの所申し訳ないですが、皆さんには、このあと炊き出しをお願いできないでしょうか?」


「疲れてるのはみんな一緒だよ、大丈夫よ任せてちょうだい」


少し小太りな40代ぐらいの女性が、俺にそう返事を返してくきた。他の女性陣も同意見のようで、頷いて返事をしてくれる。


「では、念のため冷蔵倉庫までは俺達が護衛を務めますので、皆さんはそれに付いてきてください」


俺はそう伝え、物資調達メンバーにも準備をしてもらうように声を掛けた。準備を終えた俺達は、女性陣を引きつれ冷蔵倉庫までやって来た。女性陣は手慣れた動きで必要なものを、小太りの女性に指示されながら集めている。


「そういえば、食料の管理とかって母さんがやってたのかな」


「そうだな、俺達はにはこういう裏方の事あまり話してくれていなかったよな」


俺の言葉に誠が返してくる。


「食料もだけど、倉庫にある物の管理も今後は俺達でやって行かないといけないな」


「え、えっと、いいですか?」


俺がそう言うと青山先生が話に割って入って来た。


「食料の管理や、倉庫内の物資の管理は、私も手伝っていたので大体は把握できています」


「ホントですか!そうなると1から数え直す必要がない分、かなり助かります!管理ってあのノートPCでやってるんですか?」


「そうですね、私の使っているノートPCで纏めて管理しています」


青山先生は意外にも母さんの手伝いをこなしていたんだな。何時も意味もなく、ノートPCを弄って居た訳ではないのか。


「青山先生あとで、そう言った情報の交換をお願いしますね」


「は、はい。わかりました」


青山先生との会話を終えると、すでに女性陣は食料集めを終えており、俺達は次に母屋のキッチンへと向かって行った。キッチンでも女性陣はテキパキと料理を作っており、俺達が手伝うようなことは無いようだ。


「なぁ新」


キッチンの入り口近くで待機している俺に、誠が声を掛けてきた。


「ん?なんだよ」


誠は何というか難しいことを考えている様な顔をしている。


「いや、今後のことについて少し考えてたんだよ。今までは静香さんが、この避難所の代表者だったわけだろ?今後はどうするんだろうなって思ってさ」


「そんなの俺に言われても。まぁ、今度また話し合いの場を作って、避難民全員で考えればいいじゃないか?」


誠が考えていることは、俺も早く解決しなくてはいけない問題だと思っている。人の集まりでその場を仕切る者がいなければ、色々な問題が起きた時に対処ができないからだ。


「そうか、お前やる気とかあるか?」


「なんでだよ、俺以外に適任者なんて沢山いるだろう。ましてや大人が、こんなガキの命令なんて聞くわけないだろ」


「まぁな、その通りだとは思うだけど、、、」


誠は歯切れが悪い言葉を言って、この会話は終了した。炊き出しの準備も終わり、俺達は作られた料理を持って道場に戻っていた。道場の入り口で炊き出しの受け取りを行い、避難民全員に配っていく。


「はい。これがあんたたちの分よ」


「すいません、ありがとうございます」


「いいのよ、あんた達1番頑張ってくれている事は、みんな知ってるんだから」


小太りの女性が俺達に炊き出しを持ってきてくれた。今ここに居るのは調達メンバーと青山先生だ。

俺達は何時ものように円状に座り、道場の入り口近くで食事を始める。


「食事中に申し訳ないですけど、明日の事について少し話させてください」


俺がそう言うとみんな食事をしつつも、俺に視線を向けてくる。


「明日は手伝ってくださる男性陣達と、デットウォーカー死体処理を行っていく予定です。もしまだ生きているデットウォーカーが居たら、此処に居るメンバーで処理してください」


俺が話を伝え終えると珍しく秀樹が手を挙げた。


「デットウォーカーの死体処理ってなにすんだ?」


「今考えているのは、1か所に集めて燃やすことだな」


埋めたりするのが良いかとも考えたが、しっかりとした深い穴を掘らないと腐臭などの異臭問題が起こるかもしれないので、燃やすのが1番楽な方法だと思う。


「師匠も燃やすのか?」


その質問に俺は一度固まってしまったが、はっきりと答えた。


「ああ、そのつもりだよ」


「そうか、お前がそう決めたなら俺はなんも言うことないぜ」


母さんの死体を燃やすことは、まだ葉月には話していなかったので、先ほどからこっちを見る葉月の目が怖い。あとで、ちゃんと説明しないとな。


「でも、死体を燃やすってことに、反対する人もいるかもしれないから、燃やす前に1度、避難民全員と話し合うつもりだよ。取り合えず、明日は今話した内容の通りに、行動するのでよろしくお願いします」


俺が話終えると全員が頷いて返事を返してくる。食事を終え、後片付けの護衛を終えると、時間は夜になっており、俺達は母屋で暮らしていたメンバーで固まって寝ることにした。


次の日朝食の炊き出しが終わった後、手伝いを申し出てくれた男性陣を連れ、俺達は簡易居住区にやって来ていた。


「そこら中に死体が転がってるな、、、」


男性陣の1人がそう呟く。先頭に居た俺は、振り返り全員の方を向く。


「皆さんには、この転がっている死体を一か所に集めてもらいます。正直言ってキツイと思いますが、よろしくお願いします」


俺はそう伝えると、男性陣と物資調達メンバーを何人かのグループに別け、作業に移ってもらった。男性陣は、最初はかなり抵抗があったようで、作業のペースがとても遅かったが、終盤になると死体を見慣れてきたのか、淡々と死体を運んでた。


「これで最後ですね」


最後の死体を運び終え、集まっている全員に俺がそう告げた。


「この後はどうするんだ?埋めたりしないのか?」


男性陣の1人が俺にそう質問してくる。


「そのことについては、道場に居る人達も交えて話し合いたいと思うので、一度道場に戻りましょう」


道場に戻ると丁度昼時だったので炊き出し準備が出来ており。俺は手伝ってくれた人たちに、一度解散することを伝え、自分たちも昼食を取ることにした。


「そんで、この後はどうするんだ?」


昼食を食べていると誠が俺に質問してくる。


「どうするって、全員に死体を燃やすことを、了承してもらう予定だけど」


「身内や、知り合いが死んだ人もいると思うから、勝手に燃やすってのは無理だと思うぞ」


誠の言うことは俺も理解している、その為に一度、死体を集めたのだ。


「わかってる、うまく説明してみるよ」


俺がそう言うと、誠は特に何も言い返してこず、昼食を終えた。話し合いまで少し休憩することになったので、俺は葉月の隣に座っている。


「なぁ、勝手に母さんの死体を燃やすことを決めたの、怒っているか?」


葉月は俺の方を向かずに答える。


「別に、でも少しぐらい相談してほしかった」


「相談しなかったことは悪かった、ごめん」


俺が謝ると、葉月はそれ以上は何も言ってこなかった。話し合いの時間になったので、俺は道場の入り口へと移動する。葉月も俺の後をついて来ていた。いつものメンバーも揃ったので、俺は道場内の全員に聞こえる様に話し出す。


「皆さん、後始末のご協力ありがとうございました。今から、今後のことについて説明させてもらいます」


俺は全員に死体を燃やすこと、埋めるなどの選択が出来ない事を説明する。


「身内や知り合いの方が亡くなった人もいると思います。俺達も母さんを亡くしました。ですので、最後の別れを言う時間を作ろうと思います、その後は全員で見送りましょう。敷地内はもう安全なので、自由に移動してもらって構いません。俺からは以上です」


俺が話し終えると、特に誰も何も言うことはなく。ただ全員が俺の言ったことを、真摯に受け止めていた。暫くすると、移動する者達が現れ、俺も最後の別れをすべくその場から移動する。


俺は道場の入り口近くに寝かされている母さんのもとへとやって来た。みんなも俺に付いてきたようで、俺の後ろに立っている。


「母さん少し移動するよ」


俺は母さんを包んでいる布ごと、背負うように持ち上げ、死体を集めた場所へと向かう。道中葉月は俺の隣をずっと歩いていた。


これが親子での最後の散歩だな。


そんなことを考えていると、あっという間に目的地へとたどり着いてしまった。俺は母さんを地面に寝かせ、顔部分の布をそっと外す。母さんの顔は昨日と同様に、優しく微笑んでいる様に見えた。


「みんなも最後のお別れを言ってあげてくれ」


俺は後ろから付いて来ていた、みんなに向かいそう告げる。すると、誠が最初に母さんの隣へと移動してきた。俺は少し離れた位置に移動し見守ることにした。


最後のお別れだ、誰かが傍で聞いていたら言いづらい事もあるだろう。


誠、青山先生、秀樹、麻陽瑠、雪音と順番に別れの挨拶をして行った。みんな母さんに何かを言っていたが、離れた位置に移動していた為、何を言っていたのかは分からない。そして、全員が別れを終えた後、俺と葉月が母さんの隣へと移動する。


「ママ、ママが居なくなって、お兄ちゃんが1人で頑張ってるの。ママの代わりにでも、なろうとしてるのかな?でもね、私がもっと強くなって、お兄ちゃんが1人で頑張らなくてもいいようにするから、安心て天国で見守っていてね」


葉月は母さんに向かいそう話しかける。母さんに話しかける葉月の顔には、涙がポツポツと流れ出ていた。


「母さん、母さんは何でも1人で頑張りすぎだよ。母さんが居なくなってから、母さんの存在がどれだけデカかったか、すごく痛感するよ。でも、これからは此処に居るみんなで協力して、こんな世界で生き抜いて見せる。だから、心配しないでくれ、安心して天国で見守っててくれよ」


俺が話し終えると、暖かい風がスッと俺達を通り過ぎる。


なんだろう、最後に母さんに抱きしめられた感覚が蘇って来た。まぁ、母さんだからな何でもできるのか。


俺達は母さんに別れを済ませ、火葬の準備を進めていく、木材を組み、ガソリンを浸み込ませ火をつける。その間、母さんのもとへ何人もの人が別れの挨拶をしていた。


母さんは本当にみんなに信頼されてた、すごい存在だったんだな。


俺達は火葬を進めていったが、最後まで母さんのもとには人が訪れていた。そして、最後に母さんの死体の番が来る。俺は母さんを抱え、そのまま火の中へと投げ込んだ。周りを見ると、全員が手を合わせていた。俺も、みんなと一緒に手を合わせる。


母さん、俺はこんな世界を作った神にこう言ってやるつもりだ。「こんなクソゲーだれもやらねぇよ!」だから、それまで絶対にこんな世界で生き抜いて見せるよ。

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