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神が終わりを告げた世界で  作者: てんま
第1章 変わる世界

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後始末 中編

簡易居住区に着いた俺達は、1軒1軒しらみつぶしに建物を回っていた。時折建物内にはデットウォーカーがいたが、俺と誠の連携で難無く処理している。


「ここも誰も居ないか」


「まぁ、もともと可能性が低いと分かっていて救助に来たんだ、しょうがないだろう」


俺の呟きに誠がそう返してくる。


誠の言う通りだダメ元で捜索に来たんだ。誰かいればラッキーだと思う程度に思っておこう。


その後も捜索を続け、全ての簡易住宅を回り終える。結果から言って生存者は発見できなかった、今この敷地内で生きている人間は、道場に避難した人たちだけということだ。


「大将そんな気を落とすなよ、全員が死んだわけじゃないんだからさ」


「そうだな」


その後は、敷地内を右回りでぐるりと回っていき、倉庫、母屋などの建物の中の安全確保を行ったが、道中デットウォーカーも、生きている人間も誰とも出会うことはなかった。俺達は1度道場へと戻り、今後のことについて話し合うことにした。敷地内の安全が確保されたので話し合いには、警備を担当していた武田さん達も参加している。


「では、話し合いを始めたいと思います。現状の確認からしていきますね」


俺達は円状に座っており、俺が最初に話し始める。


「敷地内のすべてを探索したところ生存者、デットウォーカーの存在はこれ以上確認できませんでした。なので敷地内においては、安全が確保されたといって問題ないと思います」


俺の説明を聞いた後、吉田さんが手を挙げた。


「敷地内の安全が確保されたのは理解したけど、この後はどうするんだ?このまま簡易居住区に戻って、今まで通り生活するってことでいいのか?」


「えっと、それは現状まだ難しいです。簡易住宅の損耗や、デットウォーカーの死体が転がっていますので、今すぐに元の生活には戻れません」


安全確保の為に簡易住宅を確認したが、窓ガラスが割られていたり、ドアがけ破られたり、デットウォーカー死体がそこら中に転がっていた。


「そうなると、修復や掃除で2、3日はここで生活することになりそうだな」


「そうですね、俺もそう考えています。ですが、他にも問題がありまして、人手が足りないんです。此処に居るメンバーで行ったとしたら、2、3日以上かかると俺は考えています」


俺がそう伝えると武田さんが手を挙げた。


「それなら問題ないと思うよ。ここにはまだ沢山の生存者がいるじゃないか」


「ですが、かなり悲惨な光景を見ることになると思うので、協力してもらえるか、、、」


俺が言うのもなんだが、簡易住宅の辺りはデットウォーカー死体がそこら中に転がっている。そんな物を見て辺然としていらる人などごく僅かだろう。なので、協力してもらえるか正直言ってわからない。


「そんなの聞いてみないとわからないだろ。きっと大丈夫だよ」


武田さんはなぜか確信がるような言い方をしてくる。


「わかりました。では、このあとこの道場内に居る人達全員と、話し合いをしてみようと思います。それまでの間は、皆さん自由に休憩などをしていてください」


1度話し合いを終わらせ、再度、道場内全員を含めた話し合いを行うまでの間、各々自由に過ごしてもらうことにした。俺はこの後の話し合いで何を話すべきかを1人考えている。


母さんならこんな時、ビシッと一言上手いことを言って全員をその気にさせられたのにな。俺にそんなことが出来るとは到底思えない。


「何そんな深刻な顔してんのよ」


珍しい奴が俺に話しかけてきた。俺の前に立っている雪音がそう言って隣に座ってくる。


「なんだよ、別にそんな深刻そうな顔なんてしてたつもりないけど」


「まぁ、貴方の事なんて正直どうでもいいんだけど。大丈夫なの?」


雪音が少し心配そうな顔で俺を見てきた。


「大勢の前で話すなんて経験したことないけど、やれるだけやってみるさ」


「そうじゃないわ。静香さんの事よ」


今の今までなるべく考えないように、他の事を常に考えていた。雪音から突然そう言われ、俺は戸惑っている。


「珍しくそっちから声を掛けてきたと思ったら、母さんの事で心配してくれてたのか。大丈夫だって言ったら信じてくれるのか?」


少し嫌味っぽくそう返すと、何故か雪音の表情がむっとした感じになった。


「、、、信じるわよ。、、、貴方が強い事は、私はちゃんと知っているから」



「ん?何を知ってるって?」


ボソッと何かを呟いた雪音に俺はそう問いかける。


「なんでもないわよ!」


なんで突然キレるんだ?俺またコイツになんかやったのか?


「なんか悪いな、心配してもらってるのに」


「心配してるなって言ってない!貴方なんかより葉月ちゃんの方が心配よ!」


謝ったのになんでまた怒鳴るんだよ。こいつの地雷がどこにあるのか俺にはもう分からん、地雷系女って今度から呼ぶことにするか?


「そうだな。俺なんかより、葉月の事を気にかけてくれると助かる。俺には話しにくい事もあるだろうしな」


「わかったわ。でも、家族にしか吐き出せない物もあるってことを忘れないで」


俺の言葉にそう返事を返した雪音は、立ち上がり葉月がいる方へと立ち去って行った。


ふむ、、、。あれか、あいつから話しかけてきたってことは、今日この後雪でも降るんか?違うな、母さんとの最後のやり取りで、俺と仲直りしろって言われてたから、俺に話しかけてくれたんだろうな。


「あー自分が情けないな」


女の子に心配され、母さんにもこうやって助けられて、ホント情けないな。でも俺は変わるんだ、母さんや父さんの様な立派な人間に、だから先ずはやるべきことをしよう。


俺はこの後の話し合いで話す内容について再度考え込み始める。

少し時間が過ぎ、俺の合図で全員が俺の周りに集まって来ていた。


「そろそろ始めようと思います」


「そうか、新君なら大丈夫だよ」


俺の言葉にそう武田さんが返事を返してくる。


何故か分からないけど、武田さんは俺に対して謎な信頼を持っているんだよな。


俺達は道場の出入り口付近に移動し、俺が道場内に居る人に聞こえるように話し始めた。


「皆さん、いまから少しお時間をいただけないでしょうか?」


俺がそう伝えると道場内にいた人々の視線が、俺に向けられ始める。


「俺は神田静香の息子で神田新と言います。今現在皆さんが置かれている状況について少し説明させて頂きます」


そう言って俺は今の状況を道場内の全員に言って聞かせた。


「敷地内の安全は確保されました。ですが、この避難所の復興には人手が足りません。俺達、物資調達メンバーだけでは、復興に時間がかなり掛かってしまいます。ですので、皆さんにも復興を手伝って頂きたいのです。皆さんも昨夜の出来事で、疲弊していると思います。明日以降で構いません、手伝ってくれる方は、俺にこの後声をお掛けください。以上です。」


正直上手く話せたとは言えない。だけど、今の俺に出来ることはしたと思う。


俺が話し終えると、すぐさま何人かの人が俺達のもとへと近づいて来た。


「新君、僕達に出来ることがあるならやれせて欲しい。力仕事ぐらいしか役には立てないかもしれないが、ぜひ手伝わせてくれないか」


何名かの男性の1人が俺にそう伝えてくる。


「本当ですか!ありがとうございます!」


男性陣に続いて、女性陣が俺のもとへとやって来た。


「こんな子供達にすべて押し付けるなんて、静香さんが見てたら怒られちまうよ。私達だって、炊き出しをやる手伝いぐらいできるわ」


「よろしくお願いします!」


「静香さんに助けられた命だ、静香さんにはもう恩は返せなくなっちまったが。子供の君達を手伝っていくことで、恩を返させてもらうとするよ」


男性陣の1人がそう俺に話してくれた。


ホントに母さんには、居なくなった後でも助けられてばかりだな。だけど、今はそのおかげでことが順調に運びそうだ。母さんには死んでも足を向けて眠れないな。

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