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神が終わりを告げた世界で  作者: てんま
第1章 変わる世界

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後始末 前編

 暫くの間俺と葉月はその場から動けずにいた。そんな俺の肩に誰かが手を乗せてくる。振り返るとそこには、辛い表情をした誠が立っていた。


「ここは危険だ、少し場所を移そう」


 どのぐらい時間がたっていたのだろうか?


 いつの間にか俺と葉月以外の全員が近くに集まっていた。雪音はどこからか持って来た布を母さんへ掛ける。そして、動かなくなってしまった母さんを布で包み、布で包まれた母さんを、武田さんが道場の入り口まで運んでくれた。俺と葉月はみんなに支えられながら、道場の中へと入って行く。


 道場の一角で全員が固まって座っている。


「みんな、ありがとう。母さんも最後まで幸せだったと思う」


 俺の言葉を全員が黙って聞いていた。


 俺の心はまだ失意の真っ只中だが、俺にはまだやるべきことがある。


「俺達にはまだやらなきゃいけない事がある、この家の安全の確保だ。母さんが命を懸けてまで、守ったこの家を俺も守りたい。だから、みんなの力を貸して欲しい」


 下を向いて話を聞いていた全員が、俺の言葉を聞くと顔を上げた。


「バカ野郎、そんなの頼まれなくたって力を貸すに決まってるだろう」


 全員を代表して誠が俺に返事を返してくる、他の全員も同意見のようで先ほどまで沈んだ顔をしていたが、今は覚悟ができた表情をしている。


「ありがとう」


 俺は立ち上がり、そう言って全員に向かって頭を下げる。そして、もう一度座り直し続きを話し出す。


「今はまだ深夜で危険が多すぎる、行動を始めるのは日が昇ってからにしよう。道場の見張りは、もう暫く武田さん達にお願いして、後で俺達と交代だ。それまでは、全員しっかり体を休めよう」


「なんか、静香さんみたいだな」


 今後の事を話し終えた俺に、誠がそう言ってきた。


「母さんみたいに1人で何でも出来ないけどな」


 俺は誠の言葉に自嘲気味に返事を返す。


「誠、この話を武田さん達に伝えてきてくれるか?」


「わかった」


 そう返事を返した誠は立ち上がり、道場の入り口へと向かって行った。暫くして誠が戻って来た、武田さん達は話を聞いて、最初は反対していたようだが、誠が上手く説得してくれたようで、最後は了承してくれたらしい。俺達は交代までの時間、横になり少し眠ることにした。


 俺も横になり、ふと隣で横になっている葉月の方を見る、葉月は体を小刻みに震わせていた。俺は葉月の横に移動し、そっと抱きしめ頭を撫でてやる。


「無理に寝なくていいからな、大丈夫だ俺は此処に居るから」


 そう葉月に向かい呟く、葉月はその言葉を聞いて俺に抱き着いてくる。暫くそうしていると、いつの間にか俺達は眠ってしまった。次に目を覚ますと、日はしっかりと空高くまで上っており、完全に昼間になっているのが道場の窓から見えた。


「よう大将、ようやくお目覚めか?」


 俺の横で座っていた誠が話しかけてきた。俺はまだ腕の中で眠っている、葉月を起こさないように起き上がり返事を返す。


「おい!今何時なんだ!なんで交代の時間に起こしてくれなかったんだよ!」


「起きて早々にそんな怒鳴んなよ、葉月ちゃんが起きちまうぞ」


 慌てて葉月の方を確認するが、葉月はまだ眠っているようだ。俺は一安心し、再度誠へと向き直る。


「説明してくれ、今どんな状況だ」


「わかってるよ」


 この場には誠を含め全員が揃っている。誠は今までの経緯を説明し始めた。話を聞くとどうやら、交代の時間に俺と葉月以外で話し合って、俺達に気を使いできる限り休ませるという話になったそうだ。なので、道場の警備は誠、秀樹、麻陽瑠、雪音の四人が務めたらしい。今は休息を取り終えたダーサンズと、再度交代した状況の様だ。


「話は分かった。でも、危険すぎだ。四人で対応できないことが起きてたらどうするんだ」


「そん時はどうにかしたさ。まぁ、何も起きてないんだから問題ないだろ」


 結果論から言えば誠の言う通りだが、俺はまだ納得はできていない。


「母さんを失ったばかりで、もしお前らに何かあったら」


 俺がそう言おうとしたが、雪音が話に割って入って来た。


「私が居るんだから、もしもなんて起きないわ!男なんだから過ぎた事をグチグチ言ってんじゃないわよ。みんな貴方達を心配して気を使ったの、そのぐらい察しなさいよ」


「だけどな」


 俺が反論しようとしたが、雪音に睨まれてそれ以上何も言えなくなってしまった。


 なんだろう、雪音の有無を言わせない感じの方が、母さんに似ている感じがするんだが。


「気を遣わせちまったみたいだな、ありがとうみんな」


「最初っからそう言えばいいのよ」


 雪音がなぜか偉そうにそう言ってくる。


 まぁ、実際ゆっくり休ませてもらったおかげで、体の方は万全だ。ここの方は正直言ってまだ整理が付いていない、今は考えることより体を動かしていたいな。


「そんで大将、この後はどうする予定だったんだ?」


 さっきから大将ってなんだよ。俺はそんな役職に就いた覚えはないからな。


 誠の質問に俺は考えていたことを答える。


「ざっくりに言うとこんな感じだ、武田さん達にはここの警備をしてもらって、俺達でこの家の敷地内をしらみつぶしで安全確認していく。安全が確保された後の事は、その後にみんなで考えよう」


「了解っと」


 誠の返事に続いて全員が返事を返してくる。


「じゃあ、葉月が起き次第行動開始だ。みんなそれまでに休憩と、準備をしておいてくれ」


 俺の言葉を聞いて各々準備や休憩を取り始めた。俺は道場の床で寝ていて体が固まっていたので、ストレッチをして固まった体をほぐしていく。暫くして葉月が目を覚ますと、今後の予定について伝えた。


「お前は無理に参加しなくていい、どうする?」


「ううん、私も行く。今は考えるより体を動かしていた方が楽だから」


 葉月も同じことを考えてるんだな。まぁ、兄妹だし当たり前か。


準備を終えた俺達は全員で警備に当たっている武田さん達のもとへとやって来た。


「ということですので、武田さん達にはここの警備をお願いします」


「わかった。でも無理はしないでくれ、これ以上誰かに何かってほしくないからね」


「大丈夫ですよ。俺達母さんにそんなやわな鍛え方されていませんから」


俺がそう伝えると、俺達は道場から移動を開始した。


「大将、最初はどこに向かうんだ?」


歩いていると誠が声を掛けてきた。


「さっきから大将ってなんだよ、俺は大将になった記憶はないぞ。最初は簡易居住区の方から回っていく予定だ、まだ生存者がいるかもしれないからな」


「別にいいだろ、今仕切ってんのは新たなんだからよ。生存者だけならいいけど、デットウォーカーも居るだろうな」


「デットウォーカーに出合ったら倒すだけだ、先ずは生存者の救助が優先だ、行くぞ」


俺達は駆け足で簡易居住区まで向かって行った。

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