ペナルティー 前編
暫くして全員が居間へと戻って来た。各々残りの時間を自由に過ごしている。俺は秀樹に誘われて『アタックブラザース』、略してアタブラをプレイしている。このゲームは俺もかなりやり込んでいるので、秀樹をボコボコにしている最中だ。
「お前!なんだそれ!永遠に地上に戻れないじゃねーか!」
「対策を知らない奴が悪い」
そう言って、ひたすら秀樹をはめ技で倒していく。そんな俺を誠は冷ややかな目で見てい来るが、ゲームで俺は手加減はしない!(葉月以外)
丁度1試合が終わったタイミングで、母さんが夕飯の準備が出来たことを知らせに来た。俺達は、全員で外に出て炊き出しをもらう。いつも通り円になって地面で食事を取っていた。
「最近はみんな簡易住宅の方で食べてるよな」
周りを見渡しながら誠がそう言う。俺達以外の避難民は、炊き出しを受け取り俺が作った簡易住宅で、食事を取るようになっていた。
「外で食べる意味もないからな、落ち着いた場所で家族団欒で食事を取るのが一番だろ。1名を除いての話だが」
俺が雪音を見ながらそう返事を返す。
「なによ、私は親の許可も取ってるし。貴方と食事を一緒にしてるんじゃなく、葉月ちゃんと一緒に食事をしてるのよ」
俺の言葉に雪音が反論してくる。
「お前らってホント何時も言い合ってるよな。ホントは仲いいのか?」
何も考えていないであろう秀樹が話す。
「「なっわけないだろ」でしょ」
「いや、息ピッタリじゃん」
「「ちが!」」
2回も言葉がかぶってしまい、俺は恥ずかしくなり途中で言葉を止めてしまった。雪音も同様で俺と同じような反応をしている。
クソ気まずいじゃねーか!なんでお前まで黙るんだよ!
「あんま喧嘩すんなよ」
何も考えていない秀樹がそう発言して会話が終わる。雪音は気まずい空気に耐えかねたのか、そそくさと食事を終わらせ立ち上がる。
「私、家族のところに先戻るわね。葉月ちゃん、また明日ね」
雪音はそう言い残し、簡易住宅の方へそそくさと立ち去って行く。その後、秀樹が麻陽瑠にげんこつをされていた。
麻陽瑠がやってくれていなかったら俺がやっていたな。
食事を終え、俺達も居間へと一度戻って来ていた。いつも通り青山先生は全員にお茶を配っている。
「今更だけど、なんで新と雪音ちゃんは仲悪いだ?」
お茶を啜りながら、誠が問いかけてくる。
「知らねーよ。初めて会った時からあんな感じだし」
「新の言う初めてって、学校の事か?」
「そうだよ。その前からうちに出入りしてたみたいだけど、俺会った記憶がないだよ」
この家に出入りしていた人はかなり多かったけど、雪音を見た記憶が1度もない。
「普通に考えて完全に新が悪いと思うけど」
「なんでだよ?」
「考えてみろよ、雪音ちゃんは昔からお前を認識していて、その上、家が目の前だ。それなのに新は学校で、初対面って感じで接してきたんだぞ、誰だってムカつくだろ」
「う!」
何も言い返せない、、、。俺も逆の立場ならそんな奴が居たらムカつくし、あいつの様な対応を取ってしまうな。
「雪姉とお兄ちゃんって、何度か会話してるの私見たことあるよ」
ネットに繋がらないスマホを弄っていた葉月が話す。
「記憶にございません、、、」
「こりゃあ、完全に新が悪いな。このまんまだと、今後の物資調達に支障を来すから、早めに仲直りしろよ」
仲直りって言ったって、向こうがあの態度だから真面に話すらしてもらえるか、、、。
「どう仲直りすればいいと思う?」
「そこは、新が頑張ってどうにかしろよ」
俺が考えに浸り込み始めると、会話は終わってしまった。誠は秀樹に誘われてゲームを始め、俺は1人で雪音との仲直りの方法を考えている。
何か会話をするきっかけがあればな。
色々と考え込んでいると、あっという間に時間が過ぎ、全員が寝る準備を始めていた。俺は考えても答えの出ないので、みんなと同じく寝る準備を始める。
1人自室に戻り、着替えを済ませベットに横になる。
そう言えば、雪音はうちの道場に通っていたんだよな。道場で仲良かった同い年の奴って、、、。ああ、なんかやたら俺に近寄ってきて、話しかけてきた男子がいたな、、、。
昔のことを思い返していると、暫くして俺は眠りについた。
『あー、あー、テスト、テスト。人類の皆さん聞こえますか?』
突然寝ていた俺の耳元でそのような声が聞こえた。俺は目を開け、体を起こし回りを確認する。しかし、周りには誰も居ない。声の主は続けて話をする。
『人類のみんなさん、久しぶりです、私は神です。今皆さんの頭の中へ直接話しかけています』
聞き覚えのある声だと思ったが、国連会議場の壇上この世界の神だと名乗った奴だ。
『少しイレギュラーが発生しました。その内容は、どこかのおバカな国の政府が、核ミサイルを世界主要都市へ発射したのです。それを察したのか色々な国で核ミサイルの発射を確認しました』
神の話が本当なら、この日本が標的にされている可能性も十分にある。今の日本政府がどれだけ機能しており、自衛隊が核ミサイルに対応できるのかが問題だ。現状俺達には祈るしか選択はないが。
『でも、安心してください。発射された核ミサイル、まだ発射されていない核ミサイルすべてを、私が消しました。文字通り消滅させたということです。なので、皆さんの生活には問題ありません』
何で人類を滅ぼそうとしている神が、俺達を守るような行動をとったのかわからないが、現状の危機は去ったと考えていいだろう。
『私は、人類VSデットウォーカーの存亡を掛けたゲームを行っているのです。人類同士で殺し合って、私の作ったゲームを壊さないで頂きたい。正直、今回の行動には嫌気がさしました。なぜ自分たちの首を自分たちで絞めるのか、理解できませんね』
神は自分が作ったゲームの番面を壊されるのが不満の様だ、そのおかげで俺達は明日を無事に迎えられるのだが。
『皆さんがそんなに自分たちの首を絞めたいなら、私からささやかですが、今回の行動へのペナルティーを与えたいと思います。今回の核ミサイルの被害は、ざっくりですが人類の2割を殺したと想定されます』
神が言うペナルティーが何なのか分からないが、人類の2割が死ぬほどの規模で、核ミサイルを世界各地で撃つあったのか。正直、俺にもこんな世界でそんな行動をとる各国がバカに思えてくる。
『ペナルティーの内容ですが、今から人類の2割をデットウォーカーに変えたいと思います。ですので皆さん注意してくださいね、隣にいる人が今からデットウォーカーになるかもしれません。現状ですが、今回のペナルティーを加えると、人類の6割がデットウォーカーになっております。もう人類の半数以上がデットウォーカーになっちゃってますね』
俺は話の内容を聞いて慌ててインベントリーから警棒を取り出す。
『まだペナルティーは科してしません。私の会話が終わり次第ペナルティーを科すので、今は急いで身を守る準備をしてくださいね』
コイツは今の状況すらゲームの中のイベントの様に楽しんでやがる。
『では、このペナルティーがどのような結果をもたらすのか、私は楽しみに見守らせてもらいますね。それでは、皆さんよい終末を』
神がそう言い終えると同時に、家の敷地内から悲鳴が聞こえてきた。俺は急いで自室を出た。




