ゲーム大会!
夕食を終え、俺は明日以降の午後をどうするか、考えていた。
「急に暇な時間ができても、やることないよな」
居間でのんびりお茶を啜りながら、俺はそう呟いていた。
「新は、学校以外の時間何をしていたんだ?」
同じくお茶を啜っていた誠が、そう話しかけてくる。
「ゲームしたり、マンガ読んだりしてたな」
「ゲームでもするか?」
「いいな!オリ鉄!オリ鉄やろうぜ!」
寝転がりながら、漫画雑誌を読んでいた秀樹が、そう提案してくる。
オリ鉄って、オリオン電鉄だっけ。たしか銀河を舞台にした、すごろくゲームだったか?
「うちにオリ鉄はないぞ」
俺がそう言うと、先ほどまでテンションが爆上がり状態の秀樹が、膝から崩れ落ちた。すると、どこからか母さんがやって来た。
「秀樹君!オリ鉄ならここにあるわ!」
母さんの手にはゲーム機本体と、オリ鉄のゲームカセットがあった。
いや、ホントうちには何でもあるな。
「さすが師匠!」
秀樹はなぜか、母さんにひれ伏している。
そんなに、やりたかったのか。
「秀樹、やるなら明日の午後だぞ」
「そうだな!明日の午後みんなでやろうぜ!」
秀樹の奴、何でこんなに目が輝いてるんだ。
そのあと寝るまで、秀樹はオリ鉄について熱く語って来た。次の日、午前の稽古を終え、昼食を取ったあと、俺達は秀樹に強制的にオリ鉄をやらされていた。ゲーム参加者は、俺、誠ペア、葉月、雪音ペア、秀樹、麻陽瑠ペア、母さんだ。
このゲームは銀河を舞台に、目的地まで競い合い、色々な手段でギャラクシー(お金)を集めるゲームだ。現在、1位母さん、2位葉月、雪音ペア、3位秀樹、麻陽瑠ペア、最下位俺、誠ペアだ。ゲームも終盤に差し掛かており、俺達以外は接戦を繰り広げている。
「このステーションに、到達したチームの勝ちね」
「師匠、この勝負勝たせてもらいます」
「お兄ちゃん、キングギャラクシーマンもらって」
クッ!ここは宇宙戦艦カードを使用して、必ず葉月のキングギャラクシーマンを受け取らなければ!
「おい、新。なんで目的地と逆の方向に進んでるんだ?」
葉月の尊さが分からない誠を、目で殺し目的地の葉月へと向かう。
「ありがとう、お兄ちゃん」
葉月の為なら、いくらでも借金できるさ。
葉月チームは俺にキングギャラクシーマンを渡すと、亜高速宇宙戦艦カードを使用し、1気に目的地まで近づく。他のチームも残り6マス以内に近づいていた。
「姉貴!頼んだぞ!」
麻陽瑠がサイコロを振る、残念ながら目的地には届かない。
「雪姉ぇ!がんばれ!」
「葉月ちゃん任せて」
雪音は気合を込めてサイコロを振る、1が出て強制転移マスを踏んでしまい、はるか遠くの惑星へと飛ばされていく。
雪音!貴様!俺がこれまでいくら葉月に貢いだと思ってんだ!
最後に母さんがサイコロを振る、母さんは見事目的地に到着し、優勝を勝ち取った。
「ゲームでも、現実でも、みんな私に勝てないようね」
母さんは勝ち誇った顔で、俺達を見下ろしてくる。俺は葉月に十分貢げたので満足だが、葉月は最後の最後で負けて悔しいのか、頬を膨らませて不満そうな表情をしている。その横で雪音は膝をと腕をつき、うなだれていた。
葉月かわいい。
満足そうな俺を、横で誠は残念な奴を見る目で見てくる。秀樹は勝ち誇った母さんに対し土下座をし。
「師匠!参りました!」
そんなことを言っていた。麻陽瑠は秀樹に崇められている母さに対し、恨めしそうな目を向けている。
各々、思うことはあったろうが、楽しいゲーム大会だった。そう言えば、青山先生は終始全員のお茶汲み係をしていた。
ゲームの後片付けの為、俺は母さんと一緒に母さんと、父さんの私室に来ていた。
「そう言えば、なんで母さんオリ鉄持ってたんだ?」
俺がそう問いかける。
「新は知らないみたいだけど、私とパパもゲーマーなのよ。私達のそんな部分が、強く新たには遺伝しちゃったのかしらね」
かあさんは、なぜか嬉しそうに、そう話してくれた。
「俺は、、、。もっと母さん達の見たいな、強くてかっこいい所が遺伝してほしかった」
「ふふ、大丈夫よ。新はパパ似だもの、心配しなくていいわ」
何が大丈夫なんだ、俺は今までそのことについて、どれだけ悩んできたか。
そんなこと思っていると、母さんが俺の頭を撫で始めた。
「焦らなくていいわ、新のペースで強くなればいいの」
「焦ってなんかないよ。あと、撫でるのはもうやめてくれ、恥ずかしいから」
俺は母さんの手から離れ、そう伝える。
高校生にもなって頭とか撫でないでくれ、もう子供じゃないんだし。
「もう、思春期はこれだから、ママは悲しいわ」
俺が離れると、母さんは少し名残惜しそうな顔でこっちを見てくる。
「思春期って、高校生にもなって親に頭を撫でられたら、誰だって恥ずかしいだろ」
俺はゲームをさっさと片付け部屋を出ていく。居間に戻ると、他のみんなは各々くつろいでいた。
「どうした?なんか顔赤いぞ」
居間に戻った俺に誠がそう尋ねてくる。
「別に、なんでもねーよ」
俺は誤魔化すように、顔を誠と反対にある外に向けると、外はもう夕暮れ時になっていた。
なんだか、外の世界が大変なことになっているのに、ゲームして1日が終わっちまうなんて、俺達はあほみたいなことをしているな。
「明日は何して過ごすか、、、」
独り言のようにそう呟くと。
「オリ鉄だろ?」
当たり前のことを聞くなと言う感じで、秀樹がそう答えてきた。
オリ鉄ってどんだけ好きなんだよ、俺も葉月と一緒にやるゲームは楽しかったけどさ。
「流石に、明日は誰もやらないともうぞ」
「なんでだよ!楽しかったろオリ鉄!な!」
もはやオリ鉄中毒だなこれは、秀樹の相手は俺には荷が重いぞ。
俺は目線で麻陽瑠に助けを求めた。
「秀樹、自主練はやらなくていいの?」
「そうだった!だが、オリ鉄もやりたい!」
ナイスフォローだ麻陽瑠、正直死ぬほど助かった。
謎の葛藤を始めた秀樹を無視し、俺はのんびりお茶を啜り始めた。
たまには、こういう平和的な日常的悪くはないか。




