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神が終わりを告げた世界で  作者: てんま
第1章 変わる世界

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世界が止まる日

昼食後、俺達は物資調達に向かうため玄関前に集まっていた。メンバーは俺達、雪音、ダーサンズ、有志メンバー2人の合計13名だ。雪音が居るってことは、両親の説得には成功したってことだろう。


「全員揃っているわね。では、この後の物資調達について少し話し合いをしましょう」


母さんはそう言って地面に座り込んだ。俺達もそれに倣って座る。


「現状この避難所で足りていない物は居住スペースね。でも、急ぎってほどではないわ。なので、インフラが止まる前にできる限り、食料調達をしていくわ」


全員が母さんの説明に頷く。


「インフラが止まってしまうと、生鮮食品や冷凍食品などが腐ってしまうので、そちらを最優先で確保していくわ。ここまでで質問がある人はいる?」


武田さんが手を挙げた。


「移動手段はどうするんでしょうか?」


「現状うちには大型トラックがあります。けど、これ1台で全員を移動するのは、難しいわよね」


母さんが顎に手を当て考え込み始める。


「それなら家にハイエースがあるんですが、それ使うのはどうでしょう?人も荷物も運べます」


武田さんは多分ここまで考えて、質問したんだと思う。

流石、大人はしっかり考えているな。


「それは良いわね。武田さんのお宅ってどの辺だったかしら」


「そこです」


武田さんは門の少し横の家を指差す。佐城家の隣の建物だ。


「あら近いわね、では最初に車の調達から向かいましょうか」


母さんはそう言って俺達いつものメンバーと、武田さんを指名し、車調達を命じた。門を出る際に武田さんは、母さんから盾のような物を受け取っているのが見えた。


多分あれって警察が使ってる、バリスティックシールドとか言うやつだ。ホント何でも出てくるな。


母さんは残りのメンバーにその場で待機するよう命じ、俺達は門を出る。ここ二日外での食事などで、騒音が響いているせいか、10体ほどのデッドウォカーが門の外にいた。


今後の為に、外を監視できるものが欲しいな。


母さんは勢いよく駆け出すと、一瞬で3体のデッドウォカーを屠る。しかし数が多いので、こちらにも3体のデッドウォカーが近づいてきた。


1体は葉月が軽く屠って見せる。

なんだか葉月のやつ、やっと戦えて満足そうな顔をしているな。


だが、まだ2体残っている。武田さんは盾をかしっかり構えると、1体のデッドウォカー目掛け突進を繰り出す、そのまま押し倒し完全に身動きが取れなくなったデッドウォカーに、俺が止めを刺した。残り1体は秀樹が対応しようと動いたが、その直後に麻陽瑠によって眉間に矢が突き刺さった。


俺達がそんな攻防を繰り広げている間に、残りのデッドウォカーは母さんによって屠られていた。

安全を確保した後は、武田さんの家に向かい、車を回収し自宅へと戻って来た。


「これで移動手段は問題ないわね。みんな乗り込んだら移動開始よ」


母さんの指示でトラックと車へ乗り込んでいく。トラックには青山先生、母さん、有志メンバー2人が乗りむ、それ以外のメンバーはハイエースへと乗り込んだ。


ハイエースでは、運転席に武田さん、助手席に吉田さん、後部座席に女子達3人、さらに後ろの荷物置き場に俺、誠、秀樹、山田さんが座っている。


「後ろの4人は乗り心地大丈夫かい?」


武田さんが俺達を心配して聞いてくる。


「床にカーペットが敷いてあるので、問題ありません」


「そうか、それはよかった」


俺がそう答えると、武田さんは満足そうにそう返してくる。


「何でカーペットを敷いているんですか?」


「いつか、この車で日本中を旅したくてね。車内で生活できるように、敷いているんだよ」


「なるほど」


ハイエースで旅かロマンを感じるな。


「まぁ、こんな世界になっちゃって旅なんて出来なくなってしまったけどね」


武田さんは少し残念そうにそう呟く。


「こうやって役に立ってくれたから、これはこれでよかったよ」


殆ど独り言のように武田さんは話し続けていた。俺はそれに相槌を打っているだけになってしまう。

こんな時なんて言葉を掛ければいいのか。


「前の職場って消防士だったんだろ?それだと纏まった休みも取れないから、旅なんて無理だろ。むしろこんな世界になったおかげで、ハイエースに乗って、出かけられてるんだから良いじゃないか」


助手席に座っていた吉田さんがそう話す。


「そうだな。吉田の言う通りだよ」


武田さんはそう言われると何か吹っ切れた感じがした。そんな会話をしていると、目的地のスーパーマーケットへとたどり着いた。


スーパーマーケットでは、母さんにお願いしデッドウォカー掃討時には、俺に止めを刺させてもらった。

そうして、安全を確保した後は全員で食料などを調達し、トラックへと積み込んでいく。

人数が増えた分効率がいいな。


本日はこの流れ作業を6件ほど行っていった。6件目の積み込みを行っている時、青山先生がトラックから降り、こちらに近づいてきた。


「す、すいません。静香さん、そろそろガソリンの方が」


「そうね。一度ガソリンスタンドによりましょうか」


積み込み作業をしていると、2人の会話が聞こえてきた。


「それならちょっとお願いがあるんだけど」


俺は二人に近寄ってそう話しかける。


「食料も今日で十分確保できたと思うし、ホームセンターに寄ってもらってから、ガソリンスタンドに向かって欲しいんだ」


「どうしてホームセンターに寄るの?」


俺の提案に母さんがそう質問してくる。


「多分そろそろインフラの方がやばいと思うだ。そうなると停電でガソリンスタンドが、使えなくなると思う。その前にできる限りのガソリンを確保しようと思って。これを集めたいんだ」


俺はインベントリーに入れてあったドラム缶を取り出す。


「なるほどね、新の言っている事は正しいわね。じゃあ、この後はホームセンターに寄って、ガソリンを集めましょうか」


俺の提案が通り、物資の積み込み作業の後、俺達はホームセンターへと向かった。今回訪れたホームセンターは、秀樹たちと出会った場所とは違うホームセンターだ。店内の安全を確保した後は、各々必要そうな物資を探して回っている。


俺は前回同様に、建築などで使う木材や、石材などを集め、ドラム缶や、ガソリンを入れらそうな容器を集めて回った。調達が終わり、店内の入り口に戻ると、すでに全員が集まっており、色々な物資が集められていた。


「新見ろよ、ソーラー発電なんてもんがあったぜ」


「すごいな、もしもの時は使えるな」


そんな自慢などをしながら、俺達は調達した物資をトラックへと積み込んでいく。


「この後は、ガソリンスタンドに寄ってから避難所に戻るわよ」


母さんがそう指示を出し、俺達は車へと乗り込んだ。ガソリンスタンドに着くと、俺はインベントリーからドラム缶などの容器を出していく。


「これにガソリンを入れて行ってくれ」


「でもよ、ここセルフだから金が必要だぞ、、、」


「任せなさい」


母さんはポケットから財布のような物を取り出し、機械を操作していく。

チラッと見えたが、多分黒いカードだ。あれだよ、上限ないやつ。


母さんが6ヵ所の給油機の操作を終えると、青山先生、誠、秀樹、山田さん、有志メンバーはドラム缶などに、給油を行っていく。俺は他にガソリンを入れられそうな物を探しながら、ガソリンスタンドを調べて回っていた。その間母さん達はデットウォーカーが来ないかの見張りを担当している。


使えそうな物を集めた後は、満タンに入れられた容器を回収して回った。そうして、すべての容器、トラック、車にガソリンを入れ終わり、俺達は避難所へと戻った。


避難所に戻る頃には夕方になっており。俺達は荷下ろしをした後、玄関前に集まっていた。


「みんなお疲れ様。今日の作業はここまでよ。この後はゆっくり休んで明日に備えてちょうだい」


玄関前で母さんがそう伝えると、各々解散していく。俺達は居間へと戻り休息を取ることにした。

ふと外を見ていると、部屋の明かりが一度消え、再び点いた。


「なんだったんだ?」


「瞬間的な停電じゃないか?」


俺と誠がそんな会話をしていると、母さんが居間へとやって来た。


「水が止まったわ、多分さっきの電気も、ソーラー発電に切り替わったみたいね」


そう言われ俺はインフラが完全に止まったことを察した。


「とうとうそうなっちまったか」


「遅かれ早かれ、こうなることは分かっていたから、心配ないわ。私はこの後、避難民の皆さんに説明してくるから、あなた達はここで待機よ」


そう言い残し、母さんは今を出ていった。俺もそうだと思うが、みんな不安そうな顔をしている。

でも、これが日常になる世界がやって来た。頭で理解していたつもりだけど、現実で起こると、やっぱり不安にはなるな。


インフラが完全に停止したことを確認すると、俺は完全に世界が止まってしまったんだと思った。

そして、止まってしまった世界で、俺達は生き残っていくのだ。どんな過酷なことが待ち受けようとも。

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