有志メンバーと雪音のテスト
次の日、今日は稽古が休みと言われていなので、何時ものように早朝に起き、居間へとやって来た。他の面々も起きて居間へと集まっている。
「みんなおはよう」
「お兄ちゃんは、いつも最後だね」
「しょうがねぇだろ。朝は弱いんだよ」
そんな会話を葉月としていると、母さんが居間へとやって来た。
「全員揃っているわね。最初に伝えることがあるわ」
母さんが話し出すと、全員母さんの方を向く。
「今日の稽古なんだけど。昨日有志で募集した物資調達メンバーも参加するわ。雪音ちゃんの能力テストもね。だから、人数が増えた分見えない所で手を抜かないように、ちゃんと見ているからね」
手を抜いて母さんにバレたらどんな罰が課せらるか、想像しただけで死ねるな。
「朝食後はいつも通り玄関前集合よ。以上。解散」
母さんにそう伝えられた後、朝食を取り稽古の準備を終え、玄関前に集合した。
玄関前には、いつものメンバーに加え、雪音、他5名の姿があった。
「全員揃っているわね。先ず、有志で参加してくださった5人には感謝します。これから、沢山の危険な場面に遭遇するかもしれません。でも、今日からは私がバッチリ鍛え上げるので、一緒に乗り越えていきましょう」
有志で参加している5人が母さんの言葉に、気合の入った返事を返す。
「では、軽く自己紹介でもしましょうか」
母さんがそう言うと、俺の方を見る。
俺からってことですね。
俺から順番に自己紹介が進んでいった。
「自分は武田勇樹と申します!職業は消防士をやっておりました!どんな訓練でも付いていきますので、よろしくお願いします!」
有志メンバーの1人目が自己紹介をする。見た目はソフモヒの筋肉ムキムキお兄さんって印象だ。
「私は吉田康生と言います。職業はサラリーマンをしていました。ブラック企業で養われた精神力で、頑張っていきますので、よろしくお願いします」
ブラック企業なら辞めればよかったろうに。
2人目の人の印象は、目の下にクマがあり、髪もボサボサで、細身って感じだ。
3人目番だ。
「山田太郎です。職業は色々やってました。頑張ります」
なんだろう、名前と言い、特に印象がない。もはや存在が薄い感じがする。
3に目の人については、平均的な体格に、坊ちゃんヘアーって感じだ。
そうして4人目と、5人目の自己紹介が終わる。
「では、自己紹介も終わったことだし。早速稽古を始めていくわよ!」
母さんがそう告げると、いつも通り、外壁に沿ってのランニングから始まった。雪音、有志メンバーの武田さん、吉田さん、山田さんは最後までランニングに付いてきていたが、残り二人は麻陽瑠と一緒に途中リタイアとなった。
正直言って武田さん以外は、付いてこれないと思っていた。人を見た目で判断してはいけないな。
次は筋力トレーニングだ。人数が増えた分、鉄棒のスペースが足りなくなったので。前後半で懸垂組、スクワット組と、分かれて行うこととなった。
雪音、武田さん、吉田さん、山田さんは結局最後まで付いてこれていた。
てか、武田さん、吉田さん、山田さんって、何度も言うのめんどいから、ダーサンズと呼ぼう。
道場は現在、居住スペースとして開放して使えない為、敷地内の空いているスペースで、道場の稽古をしていく。いつもの様に母さんが、有志メンバーの顎に1発入れ実力確認は終了した。
次は雪音の番だ。
「では、雪音ちゃん前に」
「はい!」
母さんに呼ばれ、母さんの正面に対峙する雪音。稽古用の警棒を剣道の竹刀のように構える。
何というか、様になっている。隙がない構えってやつか。
「ちゃんと自主練は欠かしていないようね。では、始め」
雪音は剣道の試合のように一定の間合いを取り、構えている。母さんも同じ様に間合いに入り込まず、待っているようだ。雪音がフッと深呼吸したように見えた時、高速で剣道の面を打ち込む。しかし、母さんは警棒でそれを軽くいなす。雪音は前のめりに体勢が傾く、その隙に母さんは雪音の頭に警棒を当てる。
「あ、ありがとうございました」
雪音は距離を取り、一礼し、悔しそうな表情を浮かべていた。
俺も昔は毎回母さんに負ける度に、そんな顔してたっけな。
その後の稽古は、俺、誠、葉月に雪音が加わり、3対1の試合を行っていき。その他のメンバーは、母さんの、しごきを受けることとなった。
雪音が加わったこともあり、葉月も簡単に俺達をボコボコにはできなくなってきた。今までが一方的過ぎたんだけど。
女子小学生に負ける、男子高生二人って今考えたらヤバいな。
稽古が終わり、全員が1列び、母さんはその正面に立っている。
「今日の稽古はここまでよ。雪音ちゃん以外は解散していいわ。午後は物資調達に行くから、それまでにしっかり休むように」
母さんがそう伝えると、ダーサンズと、有志メンバーは、お互いに肩を貸し合いながら解散していった。
雪音のテストを兼ねていることを知っている俺達は、母さんの言葉を待っている。
「では、結果から言うわね、、、。合格よ」
緊張した表情で母さんの言葉を待っていた雪音は、そう告げらると笑顔に変わった。
ふむ、笑うと可愛いのか、、、
「ホントですか!!ありがとうございます!」
「雪音ちゃん少し落ち着いて、合格は出したけど。私が出来るのはご両親の説得だけよ。最終決断は雪音ちゃんのご両親が決めることよ。それだけは分かってちょうだい」
「分かっています。でも、よろしくお願いします」
「ええ、出来るだけのことは、させてもらうわ」
2人は両親の説得の為、道場の方に向かって行った。俺達も居間へと戻ることにした。
「やっぱ女王様は別格だったな」
歩いていると、誠がそう話しだした。
「女王様?」
「新知らないのか?雪音ちゃんって中学時代は、剣道で負けなしの女王って呼ばれてたんだよ」
先ほどの身のこなしを見ていなければ信じられなかったが、あの試合を見た今なら納得だ。
「女王様ね、、、」
俺に向けてくる鋭い視線も女王様だからか?
そんな会話をしながら俺達は居間へと戻って来た。女子二人はそのまま風呂に向かい、俺達は居間でくつろいでいる。秀樹は壊れて寝かされているけど。
「お疲れ様です」
そう言って青山先生が俺達にお茶を入れてくれた。俺はそれを飲みながら、今後のことについて考えていた。
「そろそろインフラ関係もいつ止まってもおかしくないよな」
「そ、そうですね。自衛隊の方々にも限界はありますし、そこで働いている職員の限界もありますからね」
「そうなると、今後必要な物資は冷蔵倉庫を稼働させる電力ってことか。発電機ってどこで売ってるんだ?」
「この前のホームセンターで売ってるの見たぞ」
ホームセンターなら他の物資も調達できてちょうどいいな。
今日はホームセンターを中心に回ることを母さんに提案してみよう。
暫くして、雪音の両親の説得を終えた母さんが戻って来た。俺は先ほどの提案を母さんに伝えてみる。
「それなら心配ないわよ。うちってソーラーパネルがあるから、基本それで賄えるわ」
待ってそんなのうちの何処に付いてんの?今初めて聞かされたんだけど。
母さんの説明を聞くと、倉庫と、冷蔵倉庫の屋根に取り付けてあるらしい。うちの電力はそれで全て賄われていたようだ。
自分で言うのもなんだが、やっぱこの家おかしいよ。




