話し合い
股間にダメージが残っているが俺は葉月と共に、朝食が配られている外へやって来た。誠達を見つけ俺達は合流した。
「ほら、お前達の分」
「悪いな、ありがとう」
俺と葉月の分を、受け取ってくれていたので、ありがたく受け取る。
「今日の朝食はおにぎり2つと、みそ汁か」
「少し物足りないけど、人も増えたわけだし贅沢はできないよな」
「文句言ってないで黙って食べなさいよ」
何で貴方が此処に居るんですか?雪音さん。しれっと俺達の輪の中に居る雪音が俺にそう言ってきた。
「文句なんか言ってねーよ。現実を再確認したんだよ」
何故だろう、コイツに何か言われると反論したくなってしまう。
「避難民を受け入れたせいで、飯が減ったって、そう言いたいんでしょ」
「そうじゃねーよ」
「2人とも喧嘩はよそでやってよね。ご飯がまずくなる」
俺たちの言い合いに葉月が割って入ってくる。
「すまん」
「ごめんなさい」
俺はその後黙ったまま、飯を食い終わる。朝食の後片付けの後は、避難民を交えての話し合いだ。
話し合いの場は大広間で行われることになった。大広間にはいくつかのテーブルが並べられている、家族の代表達は並べられたテーブルに座り、話し合いが始まろうとしていた。
「それでは、これより今後の避難生活について話し合いを行なっていきます」
母さんが立ち上がり、そう告げる。俺たち母さんを中央に、左右に別れて座っている。
「そうですね、初めは皆さんについて、教えていただけませんか?お名前と、ご職業、家族構成、家族のご職業など、わかる範囲で構いません」
母さんはそう言って、テーブルの端にいる人を指差す。指された男性は、母さんに言われた通りの事を話し出す。
順番に進んでいき、スムーズに自己紹介は終了する。青山先生はその間、忙しそうにパソコンに話の内容を入力していた。
「ありがとうございます。次の議題ですが、この避難所の責任者を、私が務めるということに反対があるかどうかです」
母さんはいつもの様に、腕を組み仁王立ちで、堂々とした態度で話し続ける。
「現状、私が皆さんのまとめ役をやらせていただいてますが、私に責任者が務まらないと思う方は、挙手をお願いします」
会場の全員が1度互いに目を合わせ合い、様子を伺っていた。しかし、誰も手を挙げる者はいなかった。
「では、これからも私、神田静香がこの避難所の責任者としてやらせて頂きます」
母さんがそう告げると、会場の全員が拍手をする。
全員賛成ということか。
「話し合いに戻りますね。当面食糧に関しては問題ありません。定期的に調達に行く必要はありますが、備蓄の方は十分にある事をご理解お願いします」
ただ使っているだけではいつか無くなる、もしもに備え定期的に補給することは大切だろう。
「次に、居住スペースに関してですが。現状、倉庫と道場を、開放しています。今後物資が整い次第、1家族1つ簡易的ではありますが、住居を提供していく予定です」
母さんがそう話すと、会場から「ありがたい」などの嬉しそうな声が聞こえた。
「食料やその他の物資を調達するのにも人員が必要です。現状、私含め今皆さんの前に居る、この7名で物資調達を行っております。現在この敷地で生活している58人の物資を、この7名で確保するのは不可能に近いです。ですので皆さんにも可能な限り、有志で構いません、物資調達に参加していただきたいのです」
母さんがそう説明すると、話し合いに参加している代表者達は少し戸惑っているようだ。
「外に出ることは死を覚悟する必要があります。絶対に生きて帰れる保証もありません。ですが、生き残る為には、物資が必要です。今すぐに答えを出せとは言いません、1度ご家族と相談し合い、個々で構いませんので、私へご返事ください」
そう話し終え母さんは深々と頭を下げる。
「次のお話ですが、この避難所では働かざる者食うべからず、で行かせていただきます。要するに色々と、皆さんにお仕事を振らせていただきますので、ご協力お願いします。働かない人には、それ相応の答えを出させていただきますので、よろしくお願いしますね」
なぜか最後の語尾にハートマークが付いてそうな口調で母さんがそう伝える。
「これで話し合いを終了しようと思うのですが、最後に1つ私から皆さんへ言わせていただきます。こんな世界で先の事なんて、どうなるか分かりません。此処に居る今は安全で、安心できるでしょう。だから、安全で安心できるこの場所を、此処に居る皆さんで協力して、このクソッタレな世界から守っていきましょう!」
そう言い終えると、母さんは再度頭を下げ座る。話し合いが終わると、参加者は各々自分の家族の元へ戻っていった。
今気づいたんだが、なんで雪音がこっち側座ってんの?
参加者全員が退室した後、俺達も居間へと戻った。青山先生が全員に茶を配ると、少し緊張感がなくなった母さんが話し出す。
「この後は各自、自由行動よ!母さんは今からパパと電話するから邪魔しない事。以上!解散!」
父さんとのラブラブ電話タイムを邪魔するなってことか。俺も俺でやることがあるから、そっちに集中するか。
「葉月はこの後どうするんだ?」
「2度寝」
さす側が妹、我が道を行きますな。
「お前は?」
俺は雪音に尋ねてみる。
「あなたに言う必要ある?」
「ないな」
俺がそう答えると、雪音は居間を出ていった。多分、さっきの話し合いの内容を、家族と相談しに行ったのだろう。誠と、秀樹も自主練の為外へと出ていった。麻陽瑠も秀樹たちについて行ったようだ。先生は先ほどの話し合いの内容をまとめているのか、ノートPCに掛かり付けである。いつの間にか葉月も自室へと戻っていた。
「さて、俺もやることやるか」




