避難誘導と再会 中編
自宅の居間に戻ると、そこには青山先生と雪音の姿があった。青山先生は何だか居心地が悪そうにしている。
「雪姉ぇ!久しぶり!」
何故か葉月が雪音へと抱き着いた。知り合いだったのか、それにしても親しげに見えるな。そんな仲良くなる繋がりなんてあったのか?
「葉月ちゃん久しぶりね。元気にしてた?」
「うん!最近道場に来てくれないから寂しかったよ」
「ごめんね。高校に入ってから何かと忙しくて」
なんだと、コイツうちの門下生だったのか。そうなると葉月と親しいのは頷けるな。でも、俺一回も会った記憶がないんだが、、、
「えっと佐城はなんで家に居るだ?」
単刀直入に俺が質問すると、先ほどまで笑顔だったはずが、急に鋭い目つきになりを俺を睨んでくる。
「あなたと話しに来たわけじゃないわ。静香さんはどこなの?」
「母さんなら避難してきた人達と話し合いに行ったよ」
「そうなのね。道場に顔を出せていなかったから、ちゃんと挨拶したかったのに」
「ならここで待ってれば、そのうち戻って来るんじゃないか?」
突然話に加わって来た誠がそう提案してくる。
いや、俺が気まずいんだけど、、、。何か知らないが嫌われてるみたいだし。
「そうさせてもらうわ」
「ならさ!待ってる間に久しぶり一緒にお風呂入ろ!」
「ええ!でも、助けてもらっておいて何だか申し訳ないわ」
「私が一緒に入りたいからいいの!」
そう言って強引に雪音と、麻陽瑠を連れて風呂場へと葉月達は消えていった。残された俺達はテーブルに座り、青山先生が用意してくれたお茶を飲み始める。
「誠なんで佐城がうちの前に、住んでるって教えてくれなかったんだよ!」
「いや、本人が知られたくなさそうだったからな、言いづらくて」
誠の言うことも分かる。佐城家の前にある家が俺の家だと自分だけが知っていて、その家に住んでいる俺が佐城のことを、認知していなかったわけだからな。しかもうちの門下生だったとか、なんで今まで気づかなかったんだろ?
「避難誘導が始まる前に教えてくれよー」
「すまん、すまん」
「でもさ、あの女もかなり強いんじゃないか?」
話に加わって来た秀樹がそう尋ねてくる。
「そうか?」
「なんか只者ではない雰囲気を感じたぜ」
「まぁ、うちの門下生っぽいから、何かしらの武術を母さんから習っていたとは思うけど」
「お前の家って外部の人も招いて稽古してたのか?」
「言ってなかったっけ?」
俺は2にうちの道場について説明する。うちの道場は基本何でも教えますって感じの道場だ。母さんが何でもできる人なので、武術、弓術、その他いろいろ教えていた。佐城もそのどれかを習っていたんだと思うが。
「やっぱ師匠は只者じゃないぜ!」
なんだか、秀樹の中の母さんの株価急上昇しているのだが。お前は稽古で、サンドバックにされているのを忘れたのか?まぁ、記憶が飛ぶほどボコボコにされているから仕方ないけど。
「青山先生の方は今日問題とかありませんでした?」
せんべいを片手に、ノートPCをいじっている青山先生に問いかける。
「え、ええ。特に問題はりませんでしたよ。皆さん協力的で、私の誘導にも素直に従ってくれましたよ」
「今は問題がなくても、この先不満なども出てくるんじゃないか?」
誠がそう聞いてくる。
「そうですね。現代社会で生活していた人たちが、1か所に押し込まれれば、不満が溜まり、いざこざ等も起きると思います」
「そうならない為にも、簡易住宅の建築も急がないとな」
「そうなると、物資調達にも行かないといけないな。まだまだやることだらけだな」
暫くして、風呂から上がった3人が戻ってくる。3人の髪はまだ少し濡れており、頬も少し赤めいている。服は家にあった浴衣を着ており、何だか修学旅行を思い出す。
こう見ると全員美少女ってやつだよな、、、
「何見てんのよ」
「お兄ちゃんキモ」
「、、、」
葉月と、雪音は俺に軽蔑の視線を向け、麻陽瑠は無表情のままだ。
そんなクズを見るような目で見ないでほしい、ちょっと直視していたのは事実だけど。
青山先生は戻った3人にもお茶を入れ、またノートPCをいじり続ける。
何だか青山先生が家政婦にでもなったような感じだな。
「俺達も風呂にするか」
俺がそう伝えると、俺、誠、秀樹の3人が立ち上がる。俺はノートPCに夢中になっている、青山先生を引きずって風呂場へと向かった。脱衣所で各々洋服を脱ぎ、風呂へと入る。
そう言えば、4人で風呂に入ることってなかなか無かったな。俺は3人の体を確認してみる。
誠は引き締まった体をしており、細マッチョって感じだな。秀樹は見た目通りと言った感じで、筋骨隆々と言った印象だ。青山先生は細いな、、、骨と皮しかないんじゃないか?
「新さっきも女子たちの体見てたけど、こっちにも興味がるタイプなのか?」
突然誠が俺にそう質問してくる。
「そんなわけねーだろ。ちょっと見てただけだよ」
「いや、見てる時点でそう言うことだと思うぞ」
そんなことを言う誠に俺は背後から、桶いっぱいに入った冷水を浴びせる。
「これで少しは頭を冷やして、まともな思考に戻れ」
「冷たっ!よくもやってくれたな!」
誠が桶に入った冷水を掛け返してくる。隣に居た秀樹にもそれがかかり、3人で冷水を掛け合うことになった。
「皆さん、お風呂ぐらい静かに入りましょうよ」
体を洗い終わったのか、俺達3人のもとへ青山先生がやって来てそう告げる。しかし、俺達3人には、そんな言葉より青山先生の陰部に目が行ってしまう。
そこにはいたのだ、成熟したアナコンダが、、、
先生は何食わぬ顔で浴槽へと向かって行った。俺達は何だか敗北感の様な物を抱え、黙って体を洗い浴槽に浸かった。
何だろう、先生には男として負けたような気がする。
黙って浴槽に浸かりながら俺達はきっと同じことを考えていたと思う。




