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神が終わりを告げた世界で  作者: てんま
第1章 変わる世界
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脱出への準備

「これで一安心だな。すまないけど情報交換がしたい、3人は校舎から逃げて来たのか?」


俺達は一息つきながら歩き始め、話し合い始めた。


「俺達は昼飯を食べた後先生に頼まれて、校庭の倉庫で、次の体育の準備をしてたんだ。その時にあの校内放送が流れてな、一度本校舎に戻ってみたが、あの状況に出くわして、慌てて別館校舎に来たってわけだ」


「長谷部の説明通りよ。私達の他にも、ここを目指してくる生徒が来るかもしれない、誰か入り口で待機していた方が、いいんじゃないの?」


たしか、、、佐城だっけか?女子生徒がそう提案してくる。まぁ、その可能性はかなり高いが、この状況がゾンビ映画と一緒なら、多くの人を引き入れるには、かなりのリスクが生まれる。


それでも反対なんかしたら、非人道的だとか言われるんだろうな。こいつらには、友達とかいるだろうし。

俺がそう考えていると小柄な田中が話し出した。


「さ、さっき生徒同士が襲いあっていたのって、なんでなんですかね。まるで人じゃないみたいに、他の生徒に噛みついていたし、、、」


そうか、こいつらは校庭にいたから、校舎内で突然暴動が起きたように見えるのか。信じるかわからんが、俺が校門で見た光景を3人に言って聞かせる。


「ホントなのか」


3人は半信半疑だが、自分が見た光景もあって。完全に疑いはしなかった。先程まで、何も変わらない平和な日常だったから、簡単には理解が追い付かないよな。


「ああ、事実だ。仮に今の状況がゾンビ映画と同じだとしたら、噛まれて死んだ人間は、蘇り人を襲うようになる。噛まれた人間がどうなるかは、まだ確認出来ていないが、暫くすると歩く死体になると思う」


俺は自分の考察も交えながら、現状について説明していく。


「3人と俺はまだ奴らと、接触していないから確実に安全だが。これから来る他の人が、噛まれていたら爆弾を抱えることになる」


「そんなの!可能性の話でしょ!友達やほかの子を、見捨てるなんて最低よ!」


佐城が俺の話に割って、否定してくる。


まぁ、そうだよなそれが常識的な考え方で、間違ってはいない。今この時、そしてこれから先は、その常識が変わっていく、常識が非常識へと変わっていくんだ。


「俺も可能な限り、助けられる人は助けたいと思う」


長谷部も佐城の意見に同意のようだ。


「ぼ、僕はなるべく人を入れない方が、、、」


田中は後半消え入る感じで、反対意見を言う。俺としても反対なので、2対2か意見が割れたな。どうしたもんかな、、、


どうするべきか考えていると長谷部が話し出す。


「助けられる人は助けて、そのあと噛まれていないか、確認していけばいいじゃないか?」


「俺もそれでいいと思うが、仮にか噛まれている人が入ってきたらどうする?」


全員が噛まれず、ここまで辿り付ければいいが、現実はそう簡単にはいかないはずだ。


「その場合は、その人に申し訳ないが空いている教室に、隔離すればいいと思う」


「そうよ!長谷部の言う通りよ」


なんだこの女。ただ自分の思ったことを言って、思考を他人任せてのっかてるだけじゃねぇか。


「わかった、長谷部の言う通りにしよう」


俺はあまりこの場に長居するつもりもない、こんな閉鎖的空間の学校に長居なんかすれば、身動きが取れなくなるからな。俺は早く妹のいる学校に行かなければ、その為に必要なのは移動手段と武器だ。


「入り口の見張りは3人任せてもいいか?俺は武器になりそうな物を探してくる」


「わかった。俺は渡り廊下を、田中と佐城は校庭側の入り口を見張るよ。武器の方は任せた神田君」


話し合いが終わると、各々移動を開始し別れる。

俺は武器を探す前に、まだ連絡をとっていない父親に、電話をかけることにした。


「新か!無事か!」


「ああ、父さんもまだ無事みたいだな。安否を確認するってことは、現状がどうなってるか理解してる感じなのか?」


「ネットや社員の身内、色々情報が回って来てな。父さんはみんなで、会社に立てこもっている状態だ。父さんはここから動けそうにない。母さんには連絡がついたんだが、葉月はづきは学校で連絡がつかないんだ」


両親の無事は確認できたが、やはり妹の安否が確認とれないのか。父さんも動けない以上、俺が動くしかないみたいだな。


「父さん、葉月は俺が助けに行くから安心してくれ」


「バカ野郎!お前にもしものことがあったらどうする!」


「そんなこと言ったて父さんが動けない以上、俺が動くしかないだろ。俺の高校からなら、そう遠くないし、葉月を助けた後は、家で母さんと合流するよ」


俺の高校から葉月の小学校まで自転車で10分、そこから家まで自転車なら5分で着く。問題さえ起らなければ30分もかからず、父さん以外の3人で合流ができるはずだ。


「し、しかし、、、分かった。だが、お前の身を第一に考えろ、無理だけはするんじゃないぞ」


「わかってるよ父さん、必ず葉月を助けて母さんと合流するよ。また落ち着いたら連絡するよ」


俺はそう言って電話を切る。


先ずは武器を探さないとな、ゾンビ映画通りなら弱点は脳を破壊することだけだ。頭蓋骨を割って脳へダメージを与えられる道具か、、、


「ロングレンチ、バール、ハンマーとかか?」


俺は思いついた物を探すために、教室を一つづつ探して回り始める。30分ほど経過し、粗方探し終え1階へと戻った。一度見つけたものを廊下へと並べてみる。


「バールが3本、ハンマーが3本、レンチが5本ってとこか」


あとは自分用にカバンに隠してるやつが1つ、これは誰にも渡せないな。

バールは先が尖っているのが1本あるが、これは俺がもらってしまうか。便利そうだし、奴らと安全に戦えそうだ。


「神田君!そっちは順調そうだな」


渡り廊下の方から、数人の生徒を連れて長谷部が近寄ってきた。どうやら何人かの生徒を、引き入れたようだ。


「ああ、割と集まったよ。そっちも何人か、助けられたみたいだな」


「みんなケガ一つなく、ここまで逃げてこれたみたいだ」


そんな会話を交わしていると、校庭側の入り口から突如、誰かの叫ぶ声が聞こえてきた。


「誰か助けてー!」


「神田君、佐城の方で何かあったみたいだ」


駆けだそうとする長谷部達を俺は呼び止める。


「長谷部君!取り合えず、ここにある物を持って行こう。下手したら、必要になるかもしれない」


俺がそう言うと、各々武器を持ち、校庭側の入り口に駆けていく。

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