神とギフト
国連会議場の壇上に、突如として現れたその人間は、自分のことを、神と名乗っていた。
何故だろうか、その人間を見ていると、男か、女か。顔も、どんな感じなのか、認識ができないのだ。
まるでモザイクでも、掛かっているのかの様に、見える。
その後も、自称神は、話し続ける。
「私はこの銀河系を見守り。そして唯一、生命が存在するこの地球を、ずっと観察してきました。何百億年もの間、地球では、いろいろな生物が繫栄し、そして滅んで行きました」
自称神は、肩を竦めるような仕草をし。さらに続きを、話始める。
「人間が繁栄した時代も、何度もありました。それ以外の生物が、繁栄した時代もありましたね。そのすべてが、滅んだんですけどね」
笑っているかのように、見えるが。うまく認識できない。
「私が瞬きをすれば、1度で数百年も時間が、流れます。数十回もすれば、文明は滅び。また、新しい生物が誕生し、繫栄していきます。たまに、私が手を貸した時も、ありましたね。例えば、皆さんは、どの国でも、同じ言語を使っておりますが。それは、私の力によるものです。私がどれだけ手を貸しても、最後はどの文明も、同じ生物同士で殺し合い、滅ぶんですけどね。私は、そんな無駄な繰り返しを見ているのに、正直言って飽きました」
自称神はそう言って、両手を上へ広げる。
「観察に飽きた私は、この文明を滅ぼすことに、決めました。ですが、滅ぼす前に少し、世界を見て歩くことにしたんです。その時、一つの面白い作品に出合いまして。それは、ゾンビが世界に蔓延る。そんな物語でしたね」
何となくだが、話の展開が読めて来た。今この現状と、神と名乗る者の話。神と名乗る者が、何をしたのかをだ。
「ですので。この世界に、何体かの特異点を用意し、放ちました。まぁ、順調に事が運んだようで、現在世界人口の、約3割ほどが。えーっと、なんでしたか。そう、デットウォーカーだ。デットウォーカーとなっています。この先、どんどん増えて行くでしょうね」
楽しんでいる。
この自称神は、楽しんでいるとし言えない口調で、そう話している。
「ここまで話せば、皆さんもお分かりでしょう。デットウォーカーをこの世界に、解き放たのは私です。デットウォーカーに噛まれた、人間は感染し、デットウォーカーとなります。これが、私が作った、新種のウィルスです。皆さんに、最後のチャンスを、与えましょう。この文明がただ、デットウォーカーに滅ぼされるのか。それとも、私の作り出したウィルスに、対抗する何かを作れるか。私は、その先の結果に、興味があります」
自称神の興味から始まった、この残酷な状況。生き残りかけた、デットウォーカー達と、人類の戦いを、自称神は望んでいる。
「私が作ったこのウィルスに、現状で対抗手段など、用意できませんよね。これでは、デットウォーカーの圧勝で、終わってしまうでしょう。私から皆様へ、ささやかですが、ギフトを差し上げましょう。それでは、よい終末を」
自称神は、そう言い残すと、忽然と姿を消した。国連会議場内は、突然の来訪者と、その者が告げた内容に騒然となり、中継は途絶えた。
俺も情報量の多さに、しばらく考え込んでいた。周りのみんなも、同じように考え込んでいるようだ。
自称神いや、もう神でいいか。そいつの言った通りなら。俺達が生き残るには、安全で、安定した生活が送れる、拠点を確保し。デットウォーカーと、戦いながら、生きてくしかないようだ。
ふと気が付くと、俺の前に、プレゼント用に包装された、箱が置かれていた。
なんだろう?光ってるように、見える。
「この箱、置いたのだれだ?」
俺が回りにそう尋ねると、全員が?マークを浮かべていた。
「いや、これだよ、これ」
指を差しながら、そう再度問いかけると。
「いや、何も見えないけど」
誠がそう答える。
「そんなわけないだろ。俺の前に、箱があるんだって」
誰も信じてくれる様子はなく。俺は仕方なく、その箱に、触れてみることにした。
少し触れたところで、箱が勝手に開かれる。その瞬間、俺の意識は途絶えた。
薄れゆく意識中、俺の中で、何かが聞こえた。
『インストール中、、、失敗しました。再インストールします、、、失敗しました』
誰だ、頭の中で話しているのは?
『外部からの妨害を、確認しました。対策を講じます、、、失敗しました』
うるさいな!何の話をしてるんだよ。
『イ、インストール、、、さ、再開します。インストール中、、、成功しました』
次に目を覚ますと、ベットの上だった。どうやら、誰かが俺を、自室のベットまで、運んでくれたようだ。その前に、気になることがある。俺の視界に、変なものが映っている。それは、視界の下端に、表示されており。見慣れたような、表示だ。
まだ夢の中なのだろうか?
よし、2度寝でもするか。
「お兄ちゃん。2度寝なんかしたら。ママに二度と、起きられな状態に、させられるよ」
勝手に部屋に入ってきた葉月が、部屋の入り口で、そう告げる。俺は、渋々起き上がると、妹と2人、居間へと向かった。居間ではすでに、誠と、青山先生が起きており。部屋で、テレビを見ている。
「おはようさん」
「おはよう、2人とも早起きですね」
居間の時計を見ると、朝の7時だ。普通なら、まだ寝ていても、おかしくない時間だろう。
「いや、何か目が覚めちまってな」
「わ、私は歳なので自然と、、、」
そんな会話をし、俺達も、居間のテーブルへ座る。妹よって強制的に、連れてこられたせいで、忘れていたが。現在、俺の視界の下隅には、6つの四角形が、並んでいる。これは、最近やっていたゲームに、そっくりな表示だ。
んー、寝ぼけてた、わけでもないし。どうなってんだこれ。
そんなことを考えていると、母さんが居間にやって来て、朝食の準備を進めていく。あっという間に、朝食の準備が完了する。全員が席に着き、箸を持ち、手を合わせる。
俺も箸に手を伸ばすと、視界に『拾う』と表示される。俺は頭の中で、『拾う』と考えると。目の前にあった箸が、シュッ!とどこか消えた。視界の下隅にある、6つの四角形の1つに、箸のような物が表示されている。
これは拾えたのか?
次に、箸のような物に、意識を集中してみた。すると、先ほど消えた箸が、俺の手に現れる。視界の下隅にある表示には、まだ箸が存在しており。装備している状態、ということだろうか。箸を手に持った状態で、隣の何もない四角形に、意識を集中してみる。今度は、箸は手元から消えた。
「お兄ちゃん、、、手品でも覚えたの?」
横に座っていた妹が、そう尋ねてくる。周りのみんなも、同じことを、思っていたのだろう。不思議そうに、俺を見てくる。
「いや、ちょっと、変わったことがあってな。飯食った後に、説明するよ」
俺は同じ手順で、箸を手元に出し、手を合わせる。
みんなも、まぁいいかと、手を合わせる。
「「「いただきます」」」




