終わりのはじまり
その日俺はいつものようにゲームをし、夜更かしをした。
その日までの平和な世界が、終わることを知らずに、、、。
その日は昨夜のゲーム徹夜のせいで、少し寝不足状態で学校に登校する。いつものように、うわの空で授業を聞いていた。昼休みに入り友達も少ない俺は、校舎の非常階段で一人、登校途中のコンビニで買った菓子パンと、ジュースを食べていた。
「今日もかわらねぇな」
何も変わらない、平和で退屈な日常に、俺はいつも飽き飽きしている。
「太陽が眩しくてうぜぇな」
ガン!!!とどこからか、甲高い騒音が鳴り響く、音のした方を確認すると、校門に一人の男が頭を何度も、ぶつけている光景が確認できた。
「なんだあれ?不審者か?」
騒音に気づき駆けつけて来た教師陣3人が、不審者に近づいていくのが見える。不審者に向かい、何やら警告のようなことを、言っているように聞こえるが。遠すぎて、何を言っているのかわからない。
不審者の方は、教師陣の言葉に耳を傾ける様子もなく、ただ、ただ頭を門に叩きつけている。その様子に、1人の教師が不審者に近づいていき、不審者の腕をつかむ。
「なんか、やばそうな雰囲気だな」
不審者に掴みかかった教師は、強引に不審者を門にぶつけるように引き寄せ、何かを叫んでるように見える。
「これ以上不審な行為を続けると、警察を呼びますよ!」
そんな大声が、俺の耳にまで聞こえてくる。しかし、不審者が唐突に動き出し、つかみかかってきた教師の腕に、嚙みついたように見えた。
「か、噛みついたのか?」
不審者はそのまま噛みついた腕を噛み切り、教師の腕から大量の血が噴き出すのが確認できる。
噛まれた教師は腕を離し、そのまま地面にのた打ち回る。ほかの二人の教師陣は慌てて倒れた教師に近寄るが、しばらくすると、のたうち回っていた教師の動きが完全に停止した。
「は?噛まれただけで死んだのか?」
俺はその光景をただ、憮然と眺めいていた。しかし、突如倒れていた教師が起き上がると、近くにちか寄っていた、ほかの教師に襲い掛かた。そしてそのまま、教師の首元に噛みつき、噛み切ったのだ。さらにもう一人の教師に襲い掛かると、同様に首元を噛み切った。
「なんだよこれ、、、どこぞのゾンビ映画かよ」
首を噛み切られた残り二人の教師も、暫くすると立ち上がり、校舎の方へと歩き出していくのが見えた。
仮にこれが現実でゾンビ映画のように、噛まれて死んだ人間が蘇り、さらにほかの人間を襲っていくなら、あの三人を皮切りに、この学校はすぐにパニックになるだろうな。いや、もうこの学校以外の、外の世界も同じような状況に、なっているのかも知れない。
「今俺とるべき行動は安全な場所の確保と、家族の安否確認だな」
ポッケにしまってあるスマホを取り出し、母親に電話をかけてみることにした。
「あら、新何かあったの?」
母親は普段通りのようだ、今俺の前で起きた状況を、把握していないようだった。
「母さんテレビつけてニュースを、確認してもらえないかな」
「急にどうしたの?まぁわかったわ」
「何か変なニュース流れてない?」
「そうね、、、暴動が色々な所で起こっているみたいね。外出自粛してくださいねって、放送してるわよ。怖いわね~」
どうやら俺の予想通り、あの状況は街の方でも起きているようだな。
「わかった、ありがとう母さん。念のため家の鍵を全部閉めて、絶対に今日は外に出ないでくれ。また、連絡するよ」
母さんの安否は確認できたな、あとは父さんと妹だが、妹は小学生で携帯持ってないんだよな。父さんは都心で仕事してるし。
そんなことを考えていると、校内放送が聞こえてきた。
「ただいま、校内で暴動が起こっております。生徒の皆さんは教師の指示に従い、速やかに避難を開始してください!これは訓練ではございません!速やかにひな、、、山田先生?うあああああああ」
どうやら先ほどの三人が、校舎内に侵入し人を襲い始めたようだ、俺もそろそろ、逃げ出す準備を始めないとな。まずは襲われた時の為に、武器になるようなものが必要だな。
「イヤー!助けて!」
「こっちに来るな!」
校舎内はかなりカオスな状況みたいだな、先ずはこのまま非常階段で外に出て別館の校舎に向かうか。そこならまだ、襲われることはないだろう。工業高校のうちなら、何か武器になる物も、あるかもしれないな。
俺は考えた通りに行動し、始め非常階段を駆け下りていく。3階に居たこともあり、すぐに非常階段を下り終える。その先は別館校舎まで、校舎裏を駆け抜けていくだけだ。
走り抜けている中、廊下の窓を確認すると、生徒がほかの生徒に襲い掛かっているのが見えた。
「よかった、昼休みの時間だから、外にいる生徒が少なくて。その代わり校舎内は、大変なことになってるみたいだけど」
校舎裏の角を抜けると、別館校舎に続く渡り廊下が見えてくる、渡り廊下でも数人の生徒が逃げてきたようだが、襲われているのが確認できた。正直助けてやりたいが。俺に何かできるわけでもないので、そのまま別館校舎へと入っていった。
「ほかの生徒には悪いけど、鍵をしめさせてもらうか」
俺は内側から鍵を閉める。たしか、別館校舎は3階建てで、1階は製鉄など大きい機械がある教室が多かったはず。2階は電子工作などの教室だったか。3階はPC教室だったかな。取り合えず、1階全ての入り口のカギを、閉めて安全を確保しなくちゃな。
「親しい友達もいない学校だ。罪悪感はあるが、俺が生き残るためだ、わるくおもわないでくれ」
確か別館校舎の入り口は、全部で3ヵ所、今閉めた入り口と。後2ヵ所だな。本校舎に近い、入り口から先に閉めるとするか。俺は駆け出し、校庭に面している入口へとむかった。
入り口に近づくと、何人かの生徒がこちらに走ってくるのが見える。このまま閉めるのは、流石に俺でも気が引けるな。
「こっちだ!早く来い!」
俺がそう叫ぶと3人の生徒が、別館校舎に駆け込んできた。俺は全員が入ったのを確認し、すぐさまカギを閉めた。
「ハァ、ハァ、た、助かったありがとう」
確かこの3人は同じ学年の生徒だったか?クラスが違うから名前がわからん。
「申し訳ないんだけど、まだこの校舎の安全が確保できてないんだ。このまま全員で、反対の入り口のカギを閉めに行きましょ」
「わかった」
3人の1人が返事をして、俺達は最後の入り口のカギを閉めに走り出した。
「確か君は4組の人だよね?」
3人の中の短髪が声をかけ来た。これは自己紹介的なのを、求められているのか?状況を少し、考えて欲しんだが。
「えっと、4組の神田です」
「神田君ね、俺は3組の長谷部だ」
「ぼ、僕も3組の田中です」
「私も3組の佐城です」
短髪が長谷部で、小柄な奴が田中で、女の人が佐城ね。まぁ、成り行きで行動を共にするわけだから、名前ぐらいは覚えておくか。自己紹介を終える頃には、最後の入り口にたどり着き、無事にカギを閉めることができた。