ミーシャ・ローランのパン屋さん
Yukako Ohde's illustration Galleryさんのイラストより想起して書き出した物語であります。
(https://www.yukakoohde.com)
illustrationを見て、お話しを想起しようと思い立ちました。
検索した画像から想起しました。
お断りを入れていないので、この場を借りて、御礼申し上げます。
気に入っていただけたら幸いです。
中央から南へと続く道の途中にある町に、今日も大慌てで開店準備をする猫のミーシャがいました。
料理コックの帽子が右に揺れ、左に揺れ。ミーシャの頭の上で踊っています。
そんな料理コックの帽子の真ん中あたりによじ登る影が……。
ねずみのローランです。
「クロワッサン。今日はいつもより美味しそうだ。うまく焼けたね」
「ありがとう。ローラン」
「今日の目玉商品は何にしたらいいかな?」
そう相談するミーシャをローランは笑います。
「まったくおかしなことをいうなミーシャは。今僕は何て言ったか、もう忘れちゃったのかい?」
笑い飛ばしながらそういうローラン。
ミーシャは「え?」と言って、体が固まったように動かなくなってしまいました。
静かな店内。
ローランはミーシャが固まって動かないことを気にしていないのか。
鼻歌を歌いながら、料理コック帽子から肩へと移ります。そっとミーシャの顔を覗き込みます。
ミーシャの視線だけが、ローランへ向かって移動し、ぴたりと止まったかと思うと静かに告げました。
「え、えっとー。ク、クロワッサンでいいんだよね?この場合。ね?」
「うふふふふ。何を動揺しているんだい?そうに決まっているだろう、相棒!」
「そ、そうだよね? そうだね。そういうもんだよね? うん、そういうもんだ」
「そうそう」とまるで自分に念じるようにまだ呟くミーシャ。
仕方がないとローランは口を開きます。
「僕が考えて、ミーシャ、君が作り出す。それが僕たちだろう」
「ぼ、僕も考えてることあるんだからね」
「この前だって」と過去のことを語ろうとします。
するとローランは遮るように「分かっているさ、相棒」
「それなら、いいんだけど……」
「さぁ、時間だミーシャ! オープンだ!」
「あぁ、そうしよう。今日も頑張るぞ~!!」
「もう一日の一番重要な仕事は終わってるんだけどね」とミーシャを見てほほ笑むローランは、何故か誇らしげです。
カランカラン。
お店の扉に備え付けられている鈴が鳴りました。
「「いらっしゃいませ」」
重なる二人の声。
「「よーこそ。僕たちミーシャ・ローランのお店へ」」
いかがだったでしょうか?
主従というより、仲間感が出せていたでしょうか?
そうであれば幸いです。
ありがとうございました。