8話 キャラバンがやってきた
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風属性の精霊の力を借りて、乾燥をさせてみることでS品質の初級ポーションを作り出すことに成功した。これは大きい。確かに効率は良くないかもしれない。それでもS品質という所に価値がある気がする。これを大切にしたいと思うし、これを試してみたいとも思う。
そして、その機会は直ぐにやってきた。大規模なキャラバンがカルトールにやってきたのだ。……なんとなくだけど、覚えているな。毎年3回程来ていたのを覚えている。孤児院の出身だから、特に何も無かったイベントなんだけど、町全体が活気に溢れるくらいの事は解っている。そうか。大規模キャラバンがやってきていたのか。
大商会が率いているってのもあって、かなり凄い規模なんだよな。通りが1つ潰れてしまっているし。そこで商売もやっているから、お客も凄い入っている。ここには無い物も沢山あるんだろうとは思う。けど、そんなものには興味がない。僕がやることは、良い商人を引き当てる事なんだ。ここでいい出会いがあれば良いんだけど、それは僕の運がかかっている。なるべく良い商会であって欲しいなとは思うんだけど、どうなる事やらだ。
さて、こっちも動かないといけないだろう。早速一番大きな商会であろう所にやってきた。……一応は全部の商会を回る予定で居るので、デカい所から行くべきだろうと思ったわけだ。デカい所がスルーするのであれば、他の商会も望み薄だからな。ここは大きく出ても良い所だろうと思う。勝負は1回。最高の手札を揃えたつもりはある。が、初手で最高の手札を切るつもりはない。様子見で行くしかないと思うんだよな。
「すみません。買い取りをお願いします」
「はい。畏まりました。こちらにお越しください」
奥へと通される。……見えないように工夫をしてあるな。何の取引なのかが解らないようにしてあるのか。成る程なあ。出来るだけ声を外に漏らさないようにしてあるわけだ。聞き耳を立てている人も居るかもしれないし、情報を抜き取られる可能性もあるもんな。
「待たせたね。買い取りって言うのも珍しいから、何を買い取れば良いのかな?」
「これを買い取ってもらいたくて」
「これは、初級ポーションだね。……一見するとC品質に見える。……ふむ」
「どうですか? 買い取って貰えますか?」
「丁度100個揃えられているし、35000レギンで買い取るよ。他にはあるかな?」
「後はこれなんですけど、買い取ってもらえるでしょうか?」
「これは、……A品質の初級ポーションか。成る程ね。薬師な訳だ。さっきの初級ポーションを見る限り、腕のいい薬師みたいだね。A品質だし、550レギンで買い取るよ。この町では売れないだろうからね」
「ありがとうございます! また来ます」
「うん。ありがとう。こちらも良いものを売って貰えた。ではまた会う事もあるだろうね」
ええ、十分です。見極めには丁度良かったと思う。成る程、流石は大商会だけある。初級ポーションの違和感にもしっかりと気が付いていたし、こっちもそれで用意した価値があったってものだ。これは当たりだな。でも、一通りの商会を確認した方が良さげだから、一応全部の商会を回るつもりで居るんだよ。その為に初級ポーションを量産したんだから。まだまだストックはある。次の商会に行ってみよう。
「すみません。買い取りをお願いします」
「はいはい。こちらに来てくださいね」
また良い感じの奥に連れていかれる。これが標準なんだなあ。凄い事だ。
「ふん。子供か。それで? 何を売りに来たんだ?」
「これなんですけど……」
「……初級ポーションか。C品質で揃っているな。これなら35000レギンで買い取ろう」
「ありがとうございます。後はこれなんですけど、買い取って貰えますか?」
「こっちも初級ポーションか。……A品質か。薬師って訳だな。まあ、ここでは売れんだろうな。350レギンで買い取ろう。それで不満は無いな?」
「ありがとうございます」
「ああ、さてもう無いか?」
「はい、ありません。ありがとうございました」
ここは駄目だな。価値を認めて貰えなかった。A品質であるという事で、何かしらの金額の変動があると思っていたんだけど、そうでもなかったし。商人って言っても色々とあるんだろうな。色々と目を肥やさないといけない。こっちもそれが商売になる事もあるんだから。
結局、この大規模キャラバンには14の商会が集まっていた。その中で、A品質であるために買い取りを拒否した商会が8、買い取りはしたが350レギンだったのが5、そして、550レギンをつけたのが1だった。やっぱり大きな商会だけあって、価値が変わってくるんだな。冒険者組に依頼をかけてまでポーションの素材を集めて貰ってよかった。かなりの時間とお金を使ったけど、薬師の儲け方ってこういう感じだからな。人を雇って採取をしてもらい、自分は生産に専念する。それが普通の事なんだよな。そう、普通の事なんだよ。僕みたいにお金をケチるタイプは大成しないんだよな。今回の事でよく解ったけど。人は動かすべきなんだなって。
そして、価値を付けて売るべきなんだなって。品質をCで揃えないといけないって事が間違っているとは言わないが、それ以外にも価値があるって事を解ってくれる人もいるって事なんだよ。それがこの町には居ないってだけで。
「すみません。買い取りをお願いします」
「はい。畏まりました。こちらにお越しください」
さっきまでと同じように奥へと通される。そして、暫くすると、さっきの青年が笑顔でやってきた。
「お帰り。どうだったかな? 俺のキャラバンは。見どころが無かったわけではないだろう?」
「そうですね。でも、ここが一番でした。買ってくれない所もありましたからね」
「そうだろうね。目の肥えた商人はまだまだ育ってきてないかな。俺もまだまだなんだろうね。ここに来たって事は、他の商会では駄目だったって事なんだろうし」
「そうですね。1つだけもしかしたらって商会もありましたけど、それでもC品質と変わらない値段でしか取引できませんでした」
「こっちへの転売目的か、それとも自分が使う用か。解らないけれど、もうちょっとしっかりと育ててきたつもりではあったんだけどな。俺もまだまだだ」
「それで、買い取りなんですけど、お願いできますか?」
「勿論だよ。A品質のポーションを仕入れられるって事は良い事だしね。知っているかな? こういった町では需要が無いかもしれないが、大きな都市ではちゃんと需要があるんだよ? 勿論、正規の値段で買ったつもりでいる。それ以上の値段は付けられないけど、いいかな?」
「勿論です。これがA品質の初級ポーションの全てになります」
「29個か。思ったよりも少ないね。こういっては何だが、君には期待をしていたんだ。こっちを値踏みする様な事をやらかしていたし、それを隠そうともしていなかったからね。若さゆえの感性なのかなとも思っていたけど、違うと俺は読んだ。それは帰ってきてくれたことで確信に変わった。さあ、俺に何を見せてくれるんだい?」
「僕を買ってくれてありがとうございます。お言葉に甘えて。これがS品質の初級ポーションになります。一応、今作れる範囲ではこれが全部です」
S品質の初級ポーション。A品質とは格が違うと思っている。スキルもそうだ。SランクとAランクでは格が5段も6段も違う。別次元のものであると思っているんだ。だから、ポーションもそうなんじゃないかと思っているんだけど、どうだろうか。
勿論、僕が思い込んでいるだけってのもある。価値があるんだって思い込んでいるだけってのもあり得る。だからここが勝負だ。これで切り札は全部切った。これでどう反応されるのか。答えやいかに。